- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/12/15
- メディア: 単行本
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Kindle版もあります。
- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/08/14
- メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。
『アメトーク』の「読書芸人」で、「オードリーの若林さんが、知り合いの作家に『オススメの小説は?』と聞くとみんな決まってこの本を挙げる」と、この『教団X』を紹介したそうです。
芥川賞候補作家のピース・又吉さんも「10年に1回あるかってくらいの作品」と大絶賛。
『本屋大賞』にもノミネートされ、なんか、「小説がわかっている人が薦める本」というポジションを得ていたのですが、率直に言います。
この『教団X』だけはわからん。
これは秘宝館みたいな小説で、洒落として笑い飛ばすには面白いかもしれないけれど、真面目に読むような作品だとは思えないんですよ、僕にとっては。
うふーん、とか、あはーん、とかいうのを500ページ以上も読まされて、しかも、内容が無いなんて、どんな自己満足小説なのか、と。
こういうエロ描写がやたらと多くて、しかも一昔前のスポーツ新聞に載っていたエロ小説の超劣化コピーみたいな感じだし、ストーリーもなんか伏線があるのかと思わせておいて、意味不明の断片的なイメージが長々と繰り返されるだけ。
何かの「象徴」だということなのかもしれませんし、「こういうのがわかる」と訳知り顔で絶賛するのが「読書人」だというのなら、僕はそんなのまっぴらごめんです。
単行本のオビには、西加奈子さんと又吉直樹さんの推薦コメントがついているのですが、あの世代の作家たちの「仲良し感」が僕はあまり好きではない、というか苦手なんですよ。
みんな本当にこれを読んで、「すごい作品だ」と思ったのだろうか……
そもそも、最近の本屋大賞って、ちゃんと書店巡りをして「営業」をやっている、「書店員さんの好感度が高い作家」がノミネートされがち、にみえるのです。
山田風太郎さんの荒唐無稽なエンターテインメントや、『ドグラ・マグラ』の狂気をめざした作品なのかもしれませんが、ひとことで言うと「真面目な人がつくった『秘宝館』」という感じです。
山田さんのような「遊び」もなく、突き抜けた狂気もない。
そして、長くてつまらない。
この小説、だいぶ前に読んだのですが、感想を書く気分になれませんでした(こういうことしか書けないし)。
みんなが「何これ?」って言っているならともなく、なんだかやたらと持ち上げているのも、薄気味悪い。
それこそ「『教団X』の仕業か?」って。
「友達が書いたわからないもの」=「すごい!」という変換はおかしいよ。
でも、そういう小説が最近はけっこうあって、書店員さんが、埋もれていた作品を「発掘」するための企画だったはずの『本屋大賞』でも、幅を利かせている。
いくらなんでもこれは、埋めたままにしておいてほしかった……
読んだ人は、本当に「面白い!」って、思ったのかな……