- 作者: 小西利行
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2016/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
- 作者: 小西利行
- 出版社/メーカー: かんき出版
- 発売日: 2016/01/19
- メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
企画、アイデア、プレゼン、会議、こんな使い方があったんだ!サントリー「伊右衛門」ほか数々の名作CM・ヒット商品を量産してきた魔法のメモ術を初公開!著者のおともだち、伊坂幸太郎氏のメモ術も掲載!
最近、メモ、とってますか?
スマートフォンのおかげで、必要最低限の情報は、メモ代わりに写真に撮ったり、Evernote(でも、これもよく使い方がわからないんですよね、正直なところ)に保存したりはしているのです。
便利なのは確かなのだけれど、何か違うな、と思うところもあるんですよね。
僕がこの本を手に取ったのは、伊坂幸太郎さんのメモ術が公開されている、というのを見たからなのです。
読んでみると、「どうせこういうのを読んだって、そんなにマメにメモなんてしないだろう」という考えが、ちょっと変わりました。
でもある日、会議でたまたま配られた書類を見て、すべてが変わったのです。
それは、誰かがメモした紙をただコピーしただけのものでした。
当時は「メモなんて……」とバカにしていましたが、少し読んでみると、驚くほどにわかりやすかったのです。
そこには「→」や「☆」など、いろいろな記号が書いてあって、その先に、大きな「○」で、いくつかのヒントや「答え」が書かれていました。とても汚い字なのに、すごく明快。当時、まったく仕事ができなかった自分でも、何を、どうやって考えるべきかが、スッと理解できました。
ものすごく綺麗に整理整頓して書かなければならない、というわけではなくて、ほんのひと手間を追加するだけで、単なる言葉の羅列みたいなのが「情報」になるんですね。
「とても汚い字」でも、構わないのです。
むしろ、ちゃんとしたメモをとろう、と思いすぎると、敷居が高くなってしまうのかもしれません。
それでは手始めに、過去のアイデアを復活させて活用するためのメモ術をお話ししましょう。
第3章「つたメモ1」で紹介する「メモ年月日」です。
方法は簡単。ただ、生年月日のように、メモが生まれた日付を買いておくだけ。
「それだけ……?」と思われた方も多いですよね。そうなんです。たった、それだけ。
実は、メモを取り始めた当初は、私も日付なんかには意味がないと思っていました。でも、ただの整理のために続けていたら、意外にも過去に考えたアイデアが、未来にどんどん復活するようになった。とても簡単なのに、実は、効果抜群なのです。
小西さんは、たくさんの名コピーを生み出しておられるのですが、「日産セレナ」の仕事のことを、こんなふうに振り返っておられます。
コピーライターにとっては、車の仕事というのは「花形」で、若くして抜擢された小西さんは、一生懸命にコピーを書いてみたのですが、なかなか良いものが書けず、悩んでいたそうです。
そんなとき、見返したメモで、ひとつの「○」に出会います。
それは、このクルマを担当して初めて、日産自動車へクルマを見に行ったときに思った”ファースト「?」”でした。
「みんな、どんな思いで、このクルマを買うんだろう?」
最初、私は、その疑問を持ったのです。そして「○」を付けた。それはとても大切な「?」だったのに、そfれを忘れていた。たくさんの会議を経るうちに、数字やデータやグラフや資料に追われ、より明確な差別点は何で、競合との優位点はどこで、市場は何を求めているか? ばかりを考えるようになったからです。
広告としては、それも正しいことです。でも、それだけじゃ人の心を動かせない。親の本心や、子どもの願いは何か? 何と伝えれば、人はこのクルマを買って遊びにいこうと思うのか? クルマが家族に与えてくれる歓びは何か? そこを考えるべきだ。「○」との再会が、そのことを思い出させてくれたのです。そうして生まれたコピーが、
「モノより思い出。」
それは、当時、仕事ばかりで子どもを振り返っていなかった親世代に、「子どもとの思い出をつくるべきだ」という強い気づきと共感を生み、それをきっかけに、販売台数も飛躍的に伸びました。
あのコピーをつくった人だったのか!
こういう「成功体験」とあわせて語られると、メモの威力というものを痛感させられます。
ここで紹介されている「メモのとりかた」は、本当にシンプルなものばかりで、僕のような「絵心のない人間」にもできそうなものばかりでした。
いやむしろ、僕でさえ「こんな雑然としたメモでいいのか……」と驚いたくらいです。
絵が描けなくても、人は「丸と線だけの棒人間でいい」と、実例もあげておられます。
また、見る人を惹きつけるプレゼンテーションのやり方についても書かれていて、プレゼンテーション初心者は、一度目を通しておくと役に立つと思います。
ちなみに、伊坂幸太郎さんが実際に使っていたメモというか、アイデアノートの一部が紹介されているのですが、見ていると本当にアイデアの断片のみというか、落書きみたいな感じなんですよ。
でも、そうやって「書いてみる」ことがとても大切なのだと、伊坂さんは強調されています。
どんなに「簡単でいいよ」って言われても、やっぱり、慣れるまではめんどくさいものではありますけどね。
みんなが「紙のメモなんて」と思う時代だからこそ、かえって「差別化」できるところもあるんじゃないかな。