琥珀色の戯言

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【読書感想】ダーリンは71歳 ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

内容紹介
美容整形業界にとどまらず、今や全国的な人気者の高須克弥院長・71歳。そしてコミック界の最終兵器・西原理恵子・51歳。合計122歳のバカップルが、今回も世界中で大騒ぎです。感涙の描き下ろしマンガ「りえくまちゃんとぼく」シリーズの新作も載っています。恋って大変!


 西原理恵子さんが、高須クリニック高須克弥院長との「老いらくの恋」を赤裸々に描き続けるシリーズの2巻目。
 ダーリン(高須院長)も、70歳から71歳に。
 

 もうなんというか、とにかく破天荒というか、なんなんだよこの贅沢!と憤る気持ちもここまで徹底していると途中からは失せてしまって、リアル『おぼっちゃまくん』かよ!と笑いながら読みました。
 大富豪(月給5億!?)で、みんなからチヤホヤされる高須院長が、定宿にしているホテルで、朝から(高齢者は朝が早いので)Twitterで絡んでくる人々にリプライしている姿を西原さんは半ば呆れながらも、微笑ましく描いています。
 そうか、いつも粘着される有名人の「裏側」って、こんなふうになってるんだなあ、でも、いちいち相手にするよりは、自分の時間を大事にしたほうがいいのに(それは、僕自身にも跳ね返ってくることなのだけれど)、などと考えてしまいます。


 それにしても、高須クリニックホールディングスの全体会議中に西原さんと電話で世間話をしている高須院長を周囲の人はどう思っているのだろうか?僕が社員だったら、「ちょっと公私混同はやめてくれないかなあ」なんて言いたくなりそうなんですよ。
 でも、こうしてマンガで高須院長の「無邪気さ」が描かれていることによって、みんな「まあ、こういう人だから、しょうがないよな」って納得している部分もあるんじゃないだろうか。
 西原さんは赤裸々に恥ずかしいことを書いているようで、こうして尿漏れの話などで「落とされている」ことによって、いろんな面倒事から高須院長をうまく切り離しているようにもみえるのです。
 エミレーツ航空でドバイにファーストクラスで行くと、150万円もかかるのか……(2人で300万円ですよ、年収かよ!)とか、レースに出た車が爆発して10秒が3億円がパー、とか、金持ち自慢を超越して、ファンタジーの世界ですよねこれは。

エミレーツ
「はっぽう酒くださーい」
「ヴィンテージドンペリしかございませんが」
「しか」

 バージュアルアラブのアメニティは全てエルメス しかも大箱 
 朝 盗んでおくと昼には全て補充されそれをさらにガメれば 夜にはまた


 しばらく前に、エルメスにおっかなびっくり入ったときに、すべての商品が僕のイメーjいするブランド品から、さらに一桁高いことに驚愕しました。
 (買うつもりはないのだけれど)ここでいちばん安い商品を探してみようということで、見つけたベルトみたいなものが「2万円」だったのです。
 ふーん、こんなのでも2万もするんだ、と妻に言うと、「いやそれ、そのアクセサリーじゃなくて、その前に置いてある値札みたいなのだけで2万円だから!」と教えられました。
 このアメニティだけで、僕が想像できるような「高級ホテル」に泊まれるのでは……


 『70歳』に比べると、今回は性的能力の話が多くて、しかも、同じような内容が繰り返されているのと、「いい話」にまとめようとしすぎているように感じて、若干のパワーダウンは否めないのですが、これは、ふたりの関係が落ち着いていることの証でもあるのでしょう。
 

 71歳と51歳 おじいさんとおばさんの恋は
 はたから見ると ずいぶんと 可笑しいんだろうな


 うん、たぶん、可笑しい。
 でも、この『ダーリンは○○歳』シリーズには、その「傍からみたら可笑しくみえる」ものの、普段は他人から見えないところが描かれているのが魅力だと思うんですよ。
 ああ、若者の恋愛と同じだな、と感じるところもあるし、「終わり」を意識せずにはいられない切なさもある。
 年齢差があっても、「後妻業」みたいなカップルばかりじゃない。
 そういうことを多くの人に「伝えている」作品でもあると思います。


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