王の息子として生まれ、その跡を継ぐ者とされていたアーサー(チャーリー・ハナム)。だが、暴君ヴォーティガン(ジュード・ロウ)によって父と母を殺され、スラム街へと追いやられてしまう。過酷な環境の中、アーサーは生き抜く知恵を身に付け、肉体を鍛える。やがて、無双の力をもたらすとされる聖剣エクスカリバーを手にする。仲間たちと共に圧政を敷くヴォーティガンを倒し、王座に就こうとするアーサーだったが……。
2017年の映画館での14作目。2D字幕版。
週末の夕方で、観客は僕も含めて3人でした。
僕は『昔のヨーロッパの英雄伝記映画』というのがけっこう好きで、『300』とか(続編は駄作でしたが)、『グラディエイター』、『トロイ』など、お気に入りの作品も多いのです。
そういえば、同じタイトルの『キング・アーサー』が2004年に公開されているんですよね。僕は観ようと思いつつ、結局未見なんですが。
「アーサー王伝説」については、日本でもけっこう知られているというか、「誰も岩から引き抜くことができなかった伝説の剣をアーサー王が手にするシーン」や「円卓の騎士」の話は、断片的に知っている人も多いはずです。
その一方で、「アーサー王伝説」の全体的なストーリーをすぐに説明できる人は、そんなにいないと思われます。
この映画を読んでいても、アーサー王と伝説の剣・エクスカリバー以外の登場人物や舞台設定の知識がないので、イメージとは違う、と感じることもなく、ああ、こんなものなのか、とスムースに入っていけるというメリットはあるんですよね。
「アーサー王伝説」に子供の頃から親しんでいる欧米人たちは、「なんじゃこれは?」なのかもしれないけれど。
この映画、時間の経過をあらわすのに、短い時間で場面転換を次々に見せたり、現在の映像のなかに、突然未来の映像がカットインしてきたりと、「古典的な物語を斬新にみせようとする監督の工夫」が垣間見えるんですよね。
ただ、正直なところ、そういうのは監督にとっては「クール」なのかもしれないけれど、いち観客としては「そんなところで自己主張のために、観づらくしないでくれよ……」と言いたくもなるんですよ。
これ、どこまでが現実に起こったことなの?と悩んでいるあいだに、話は先に進んでしまうし、そもそも、あんまり時間を使う必要がなさそうなところをけっこう一生懸命描いているような気もします。
でも、そういう、監督の「アクの強さ」みたいなものが、この「ありきたりな英雄譚」の最大の個性ではあるんだよなあ。
それがなければ、「ありがちな英雄映画」というか、単なる、キャラが立っていない安物マーベル・コミックになってしまうのです。
気軽にみられるし、政治的な主張や道徳的なテーマにこだわっていない分だけ、「純粋なエンターテインメント」になっているんですけどね。
アーサーがエクスカリバーを振り回して大勢の敵をなぎ倒すシーンは「『三国無双』かよ!」と言いたくなる爽快さですし、クライマックスのアーサーとヴォーティガンとの対決は、観ていて、「これは……『北斗の拳』のケンシロウ対ラオウ!」と、けっこうワクワクしたのです。
アーサーの無想転生はいつ出るのか?(本当に出るかどうかは、いちおう内緒にしておきます)
あえてやっているのか、一対一の宿命の対決というのはこういうものなのか、そもそも『北斗の拳』が、それまでのさまざまな英雄譚のベスト盤みたいな作品だったのか、まあ、いろんな観かたはあると思うのですが、僕のなかでは、けっこう盛り上がったんですよ、これなら『北斗の拳』も実写化できそうだな、とか、帰りにアニメの『北斗の拳』のDVD借りよう、とか。
正直、これと実写版の『美女と野獣』が同じ金額でみられるのであれば、大部分の人には、「まず、『美女と野獣』を観ておいでよ」と言いますよ。映画って、いろんな質や上映時間のものがあるのに、一部の子供向けの短いものを除けば、どれを観ても同じ価格って、すごいよね。
ただ、こういう『英雄譚』が好きな人は日本にも少なからずいるだろうし、なんか家に帰りたくなくて映画館に来たんだけど、あんまり観たいのないなあ……という際には、こういう映画が良いのではなかろうか。
映画館でみるとちょっともったいないけど、DVDで観たら、少し得した気持ちになる、そんな感じです。
「アーサー王伝説」に詳しい人がみたら、どう思うのだろうか。
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