琥珀色の戯言

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【読書感想】伊豆漫玉日記 ☆☆☆☆

伊豆漫玉日記 (ビームコミックス)

伊豆漫玉日記 (ビームコミックス)


Kindle版もあります。

内容紹介
桜玉吉、待望の最新コミック集!! 伊豆山中の生活は厳しく、面白い!!

流浪の漫画家・桜玉吉が、長く暮らした漫画喫茶を抜け出し、伊豆の山中に引っ越した!! それは自然との闘いの日々のスタートであった!!

大きな話題となった『漫喫漫玉日記 深夜便』から3年、我らが玉さんは、あれ以来なにをしていたのか……、え? 虫と闘ってるの!?
玉吉ファン感涙、待望の短篇コミック集、お馴染み「読もう! コミックビーム」4コマもたっぷり収録して、遂に遂に、発売!!


 『週刊文春』に連載されている玉吉さんの作品が『日々我人間』として上梓されたのに続いて、『コミックビーム』連載分と恒例の宣伝マンガ「読もう!コミックビーム!」が『伊豆漫玉日記』として単行本化されました。
 読んでいると、正直、「この分量で、かなりがんばって一冊の本にしたもんだなあ……それでも定価880円+税だし」とか言いつつも、もうこれは玉吉さんへのお布施みたいんものだよなあ、と。
 最近、ネットで「この人が亡くなったら、自分もそろそろかな、と思う有名人は?」というアンケート結果が公開されていたのですが、僕は「桜玉吉さんが生きている間は、僕もなんとか生きていられるんじゃないか」と勝手に思いこんでいるのです。
 こんなに不定期で不安定な作家生活でも、玉吉さんの作品を待っている人がたくさんいるということは、僕みたいな人間も少なからず存在するのではなかろうか。
 漫画喫茶から伊豆に転居するという3年くらいの玉吉さんの生活を概観し、「50歳過ぎると……」なんていう衝撃の告白を読むと、笑いながらも、これからの自分のことを考えずにはいられません。
 でもさ、ちょっと前の玉吉さんの彼女のとんでもない出来事も、こうして漫画になってしまうと、けっこう笑えちゃうものなんだよなあ。それは他人事だから、なのかもしれないけどさ。


 これを読んでいると、玉吉さんが漫画喫茶生活をしている間もいきなり部屋にウイロウを投げ込んでくるO村さんとの長い付き合いと、O村さんの昔気質の編集者としての姿勢がすごく嬉しくなってくるんですよ。
 いろんなものが変わっていくし、玉吉さんもO村さんも僕もだいぶ年を取ってしまったけれど、きっとこの人は、このままのスタイルで、行けるところまで行くんだろうな、って。
 もちろん、「ソリが合わない」っていう作家もいるのだろうけど。


 最近の玉吉さんの単行本は、「1巻」とかの巻数がついていないよなあ、なんて、つい考えてしまうのですが、『日々我人間』ほど枯れてはいない桜玉吉が読める貴重な作品群なのです。


fujipon.hatenadiary.com

日々我人間

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日々我人間 (文春e-book)

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