琥珀色の戯言

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【映画感想】マイティ・ソー バトルロイヤル ☆☆☆☆

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あらすじ
アベンジャーズのメンバーであるソー(クリス・ヘムズワース)の前に、邪悪な敵ヘラ(ケイト・ブランシェット)が出現する。ヘラはソーの武器ムジョルニアを破壊し、ソーを宇宙の果てへと飛ばしてしまう。とらわれの身となったソーは、脱出を懸けてチャンピオンと対決することになり、彼の前に現れたのは……。


marvel.disney.co.jp


2017年の映画館での29作目。平日のレイトショーで、観客は僕も含めて10人くらいでした。
いま僕が観たい映画として、『ブレードランナー2049』『IT』と、この『マイティ・ソー・バトルロイヤル』があったのですが、上映時間となるべく気楽に楽しめて、長すぎない映画がいいなあ、ということで、この作品になりました。
Marvelの映画って、『アベンジャーズ』の主力メンバー絡みの作品は、どれもソツのない娯楽映画になっていて、中には『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のような傑作もありますし。

マイティ・ソー』シリーズって、結局、「お約束」な感じなんだよなあ、と思っていたのですが、いきなり、ぶら下げられたソーがぐるぐる回りながら、ちょっとしたコントを始めるという展開に、ちょっと驚いてしまいました。
『ソー』って、もともとこんな感じのコミックだったのかな、それとも、今回の監督の個性なのだろうか。
これで良いの?と思いつつも、こんなの「ソー」じゃない!って言えるほど、この作品に詳しいわけでもないしなあ。

今回の敵のヘラはドロンジョさまみたいだし、ロキは相変わらずだし(「助けてくれ」作戦!)、アベンジャーズシリーズの最大の見せ場、仲間割れのシーンも満載です。
というか、オーディン一家、毎回家族の問題でみんなに迷惑かけすぎなんじゃなかろうか。佐藤優さんによると、「神は身勝手なもので、人々の思い通りにならず、畏れられる存在だからこそ神なのだ」そうですが。
「それはあんたの家の問題でしょ!」という某登場人物の発言に、僕は思わず頷いてしまいました。
全体的に、コメディタッチで描かれているところが多いのですが、前作までの「地球に降り立った神と地球人とのギャップを描く」というのではなく、ソーと仲間たちのセリフの応酬で緩急をつけているんですよね。
展開は良く言えばご都合主義的、悪く言えば支離滅裂ではあるのですが(あの場面でいきなり切り替わって、なぜソーが次の場面でああなっているのか、僕はよくわかりませんでした。ロキの最後の場面も、とりあえずそれで良かったような気はするけど、どうやってあの場所に?とは思う)、ストーリーの整合性よりも、爽快さとかテンポのよさを重視して、ややこしくなるような説明は省く、というのは、今回の『マイティ・ソー』の世界に、うまく噛み合っているように思われるのです。
同じ『アベンジャーズ』でも、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』でこんなアバウトな展開だとなんか言いたくなるだろうけど、「まあ、神さまのソーだしな」と、なんとなく受け入れてしまう緩さがあります。
髪を切ったソーを観て、なんだか『グラディエイター』を思い出しました。
ラッセル・クロウに、けっこう似てる。
いや、わざと似せているのかな、あれ。
『グラディエイター』久しぶりに観たくなったな。
僕はあの映画大好きなんですよ。とくに、皇帝が「ポエニ戦争」を模した見世物をやろうとして、ハンニバル役をあてがったはずのマキシマスが勝っちゃうところなんて、ハンニバルフリーク(レクター博士のほうじゃないので念のため)の僕にはたまりません。

あと、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』をバックにソーが敵をなぎ倒していく場面は、往年のプロレスファンとしては、ブルーザー・ブロディを思い出さずにはいられませんでした。
ソーがチェーンを振り回して暴れてくれれば最高だったのですが。


なんというか、ソーというキャラクターと世界観をうまく利用して、遊び心のある娯楽映画を作ったな、という感じです。
コアなMarvelのファンにとっては、「必殺仕事人・現代版」みたいな、微妙な作品なのだろうか、それとも「面白い!」って受け入れられているのかな。


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