- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2015/07/10
- メディア: Kindle版
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内容紹介
就職した会社で、与えられた仕事をコツコツこなし、幸せな定年を迎える。
そんなレールに乗った、かつての成功モデルは既に崩壊している。
では、いま最も有効な働き方とは何か?
本書では、武田双雲、佐渡島庸平、増田セバスチャン、田村淳、HIKAKIN、小田吉男、小橋賢児、
岡田斗司夫というグローバルビジネス時代を生き抜くイノベーターの仕事論を紹介し、堀江貴文が分析。
新しい仕事論を再定義します。
起業・転職を視野に入れるビジネスマン必読の書。
[8人のイノベーターの仕事論]
武田双雲-いまこの瞬間に意識を集中し、幸福を引き寄せる
佐渡島庸平-会社から出て初めて見える世界がある
増田セバスチャン-オリジナルな世界を創り上げる
田村淳-ルールのキワッキワにしか面白さはない
HIKAKIN-より早く、より柔軟に、より愚直に
小田吉男-楽しさをひたすら追求する
小橋賢児-自分が違和感を感じる世界から飛び出す
岡田斗司夫-自らの生き方そのものでリスクを負い、常識や道徳を書き換える
[本書が提示する5のメソッド]
・目標から逆算せず、今だけに集中する
・常識にとらわれず、まっさらな目で見る
・遊びと仕事の境目をなくす
・皮膚感覚で違和感を感じえう仕事は捨てる
・失敗を恐れず、一つの場所に固執しない
この本の表紙には、堀江貴文さんの顔写真が大きく載っているのですが、実際に読んでみると、この「8人のイノベーター」と堀江さんが直に対談した、というのではなくて、取材してきたものに対して、堀江さんがそんなに長くもない「分析」をしている、という形式の本です。
だからつまらない、というわけじゃないけれど、そんなに、堀江さんの色が出ている本でもありません。
内容は、それぞれの人の「独白」形式になっています。
これを読んでいると、率直なところ「世の中にはすごい人がいるものだなあ」という月並みな感想しか出てこないところがあって。
そう簡単に真似できるようなものじゃないし、できる人は、この本を読む前に、自分でやっているだろうな、とも思う。
でも、こういう生き方をしている人がいる、というのは、世の中に対して、少し心強く感じるところもある。
書道家・武田双雲さんの回には、こんなエピソードが出てきます。
両親の影響が大きいと思います。両親ともすごい感動屋さんで、リアクション王でした。僕を天才、天才だと褒めてくれました。小学校の時に、「車の渋滞は、どこから始まるの?」って聞いたら、父親が急に涙ぐんで「お前はすごい。他の子と視点が違う!」と感動してくれました。
そういう風に育ってしまったから、問題の解決よりも、感動をもらえる方が、僕の中での順位は高いんです。喜びの感動に満たされた瞬間が、僕には一番気持ちのいい”ゾーン”です。
父親としては、「ああ、子どもって、こういうことを覚えているんだなあ」とか、「子どもはある程度厳しく、常識をわきまえるように育てなければ、という意識があったけれど、こういうやり方が、子どもを伸ばすこともあるのだなあ」と考えさせられました。
いや、「面白いこと思いつくなあ」くらいは感じるかもしれないけれど、ここまでのリアクションは、なかなか、ねえ。
講談社の敏腕編集者から独立した佐渡島庸平さんは、講談社という大企業から離れて独立するという「決断」に対して、こう仰っています。
講談社にいる時は上司がいて、その決定に従わざるを得ない場面が少なくありません。そんな時、将来後々まで納得できない感情を、僕は忘れないで引きずっていくだろうなという、悪い意味での確信がありました。だから辞めて、本当に正解だったと思います。
それに、こんなに世の中が変化する時代の中で、決定は自分でした方が、失敗した時も納得できるだろうなと思ったんです。僕の起業からの行動を見ている人は、佐渡島はポジティブだと思われるかもしれませんが、逆にすごくネガティブに考えているわけです。僕の頭の中にはネガティブな考え方がいっぱいあって、失敗する想像だらけ。その中で、失敗しても「まあいいか」と思える、自分的にOKな道を行っています。
ほとんどの人は失敗の可能性ゼロの道を選びたいから、怖がったり不安が消えないんじゃないでしょうか。絶対に失敗しない、成功間違いなしの道なんて、どこにもありません。リスクを減らすより、取ってもいいリスクを探していった方がジャッジは早い。僕はシンプルに、自分が納得のできる失敗の方向を選んでいるだけです。
成功のイメージを探すというよりも、納得できる失敗の可能性をいっぱい試しているうちに、細い成功のイメージが湧き出すという感覚でビジネスを進めています。
ネガティブを追求すると、かえって、外からはポジティブにみえる行動をとることがある。
これを読みながら、僕は「ずっと医局にいても将来が心配でしょうがないから」と、自分のクリニックを開業した同級生のことを思い出しました。
将来を本気で心配していたり、自分が所属している組織をずっと信頼することはできなかったり。
そういう「ネガティブな感情」から、「自分で起業する」という選択をする人もいるのです。
それは、「失敗を怖れない」というか、「何をやっても失敗する可能性があるのなら、自分で納得できることをやりたい」から。
実は、「ずっと同じ仕事を続けて、給料をもらい続けられる」という考え方のほうが、よっぽど「ポジティブ」あるいは「楽天的」なのかもしれませんね。
この本の岡田斗司夫さんの章は、「あの事件」のあとで取材したものなのですが、岡田さんの「懲りない生きざま」に、僕はちょっと感心してしまいました。
いやまあ、確かに「犯罪」ではないのだけれども。
僕は人格者であることを、最初から捨てています。世の道徳というのは、味方にはなってくれません。今回の女性スキャンダルで思い知りました。
自分の信じることをやっていけば、楽になれるのに、どうしてみんなやらないの?という実践を、何度繰り返せばいいのか。見回せばバッシングだらけ。憂鬱な気持ちにもなります。
でも今回の騒動で、8人いる彼女は誰ひとり、僕から離れていきませんでした。
ずっと僕をサポートすると言ってくれた。僕の実践中のモデルは、そんなに間違ってもいなかったようです。彼女たちがいるうちは、とりあえず大丈夫かなと思います。
どうして世の一般人は、常識や倫理を大事にしたがるんでしょうか。江戸時代ぐらいに出来上がった、貧しい民衆の相互扶助のためのルールだったと思うんですけど、そのせいでどれだけの人が苦しんだか、立派だとされている武士道や、商人道なんかで、善良な人たちが数え切れないほど非業の死を遂げています。
道徳というものは時代の流れと共に、迷信になります。特に最近はネットの発達で、迷信化のスピードが上がっている。かつての道徳、常識や倫理観は、人がより良く生きていくための足枷になっています。
うん、まあ、なんというか、岡田さんはブレない人だなあ、と。
それなら、「ニセ写真」とか言わずに、堂々としていればよかったのに、とか言いたくもなるけれど。
でももう、こういうふうに「自分自身でも信じてしまうような回路」が、岡田さんの中には、できあがってしまっているのだろうなあ。
ちなみに堀江さんは、「私は彼の意見に全面同意するつもりは全くないが、それにしても彼がやっている自らを実験台にした社会実験が興味深い事だけは間違いない」とコメントされています。
正直なところ、「普通の人は、マネできるようなものじゃないですよ」という「仕事術」が多いのですが、彼らの話は「興味深いことだけは間違いない」のです。