琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

『琥珀色の戯言』が選ぶ、2017年の映画ベスト5

年末恒例の企画、そして、今年最後の更新。
2017年に観た映画のベスト5です。


今年は33本観ました。
3年前から、37本、30本、24本ときて、33本。
昨年は2か月休みがあったことを考えると、このくらいが平均的な数かもしれません。
しかし、年とともに長尺の映画はいろいろと辛くなってくるところもありますね。


では、さっそくランキングの発表です。


第5位 君の膵臓をたべたい
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 この映画を観て痛感したのは、人は文章で書かれた物語は比較的客観的に受け取ることができるけれど、映像で観せられると弱い、ということなんですよ。
 『世界の中心で、愛をさけぶ』も、小説を読んだときには、「この時代にベタな難病ものかよ、しかもそれがこんなに大ヒットするなんて」と思っていたのです。でも、映画で長澤まさみさんの闘病姿を観ると号泣してしまいました。
  正直、僕が高校生だったら、こんなの見せられたら、「こんな女の子、いるわけないだろ、ベタな難病もので感動スイッチ連射しようとしやがって!」と苛立つと思います。
 でも、僕はもう40代半ばのオッサンなので、ファンタジー小説みたいなものなんですよね、これ。
 『ロード・オブ・ザ・リング』に、エルフとかドワーフとかホビットなんていねえよ!なんて言うのは不粋じゃないか。
 浜辺さんが演じる山内桜良を観るための2時間。だが、それがいい、それでいい。



第4位 沈黙 -サイレンス-
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 安全なところから、「神を信じているなら殉教すべきだ」なんて、他者に強要する資格がある人なんて、いるのだろうか?
 でも、そういう「建前」がないと、信仰を広めることはできないのです。
 最近話題の『サピエンス全史』という本では、人間というのは、実在しない想像の産物を大勢の人が「共有」できるからこそ、ここまでの進化を成し遂げることができたのだ、という分析がされています。
 宗教というのは、ある意味「もっとも人間的なもの」であり、「人間と動物を分かつもの」だった。
 しかしながら、それが、「非人道的な行為」の大きな要因ともなってきた。


 なんだかやたらと話が大きくなってしまってすみません。
 でも、これは本当に「いろんなことを考えさせられる、圧倒的な映画」だと思います。



第3位 ダンケルク
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本当に、「大きなストーリー」がない映画なんですよ。
 氷山に激突したあとの『タイタニック』みたいな状況を延々と見せられて、イギリスの民間船で起こった苦々しい出来事も目の当たりにして、その一方で、飛行機のパイロットが厳しい状況のなかで、味方を救うためにギリギリの出撃をしていく姿もあって。
 個々の登場人物が置かれた状況のなかでやっていることを、個々の視点で描いているだけです。
 ダンケルクが、全体としてどういう状況なのかは、個々の兵士にもわからなかったように、この映画の観客にもわからない。
 先日観た『関ヶ原』では、「石田三成が味方を説得してまわっているうちに、いつのまにか西軍が負けていて、戦場の全体像がわからない」と不満を述べたのですが、この『ダンケルク』は、個々の人々がみた「戦争」を体験する映画なんですよね。
 九州で1ヶ所だけしかないIMAXで観るために、久しぶりにキャナルシティ博多に行ったなあ、そういえば。


第2位 美女と野獣
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 1991年のアニメ版に思い入れがある人は、「金のために実写化したのかよ」なんて斜に構えてスルーする前に、騙されたと思って、映画館で観てほしい。
 「ここまで来たのか……」って感じますよきっと。
 実写映画の表現力も、自分自身の人生も。
 この実写映画化によって、「古典としての名作」になりかけていた『美女と野獣』というコンテンツは、また新しい生命を得たのです。
 これを観た人は、また四半世紀後くらいに、アニメ、あるいは実写での新しい『美女と野獣』を観て、「2017年版は……」って、言うことになりそうな気がします。
 これはきっと、そういう運命の物語なのでしょう。
 ディズニーの歴史と底力を見せつけられましたよ本当に。



第1位 スター・ウォーズ/最後のジェダイ
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 こんなの、☆5つ付けるしか無いじゃないですか。
 もう、覚悟して見届けるしかないよね、これは



【総括】
今年、ベスト5を選ぶのは例年に比べて時間がかかりませんでした。
あんまり言うことがない、というか、個人的には、いまひとつの続編ものが多かったような印象です。
あえて言えば『ラ・ラ・ランド』と、『夜は短し歩けよ乙女』をどうしようかな、とちょっと思ったくらいです。
オリエント急行殺人事件』も好きだったんだよなあ、途中ちょっと寝落ちしたけど。


それでは皆様、よいお年を!


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