あらすじ
音に反応して襲撃してくる何かによって、人類は滅亡の危機にさらされていた。リー(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)の夫婦は、聴覚障害の娘ら3人の子供と決して音を立てないというルールを固く守ることで生き延びていた。手話を用い、裸足で歩くなどして、静寂を保ちながら暮らしていたが、エヴリンの胎内には新しい命が宿っていた。
quietplace.jp
注意:音が出ます!
2018年、映画館での30作目。
平日の夜の回で、観客は30人くらいでした。まだ時間が少し早めだったためか、高校生、大学生くらいの人がたくさんいました。えっ、こんなに人気あるの?ってけっこう意外だったんですよね。たしかに、なんだか気になる予告編ではあるけれど。
「ここで生き残るルールはひとつ。絶対に、音を立ててはいけない」
「音を立てたら、即死。」
この『クワイエット・プレイス』は、「大きな音を立てたら『何か』に襲われる世界」の話なのだけれど、驚いたのは、なぜそうなったのか、という経緯はまったく説明されないままに、「ここはそういう世界」という前提で描かれているということなんですよ。
そこが最大の「謎」だと思うじゃないですか!
登場人物もきわめて少数に絞られていて、低予算なんだなあ、と痛感させられます。
「絶対に音を立ててはいけない世界」って、どんな世界なんだろう、と思いながら観はじめたのですが、いろんな「ルールの例外」があって、ここに洗いざらい書いてしまいたくなるくらい、ツッコミどころ満載なんですよ。
予告編の印象では、ちょっとでも話したり、物音を立てたら「アウト」っぽいじゃないですか。
ところが、作中では、けっこうアバウトなんですよね。
えっ、そのくらいならセーフなの、とか、その仕組みで、自然の音や動物の鳴き声と区別がつくの?とか。
「即死」じゃないんかい!と言いたくなるシーンも満載です。
いや、それじゃ面白くなくなる、というのもよくわかるんですけどね。
その「何か」の正体ことが、このホラー映画の最大の謎に違いない!と思ったのですが、見事に肩すかし。
そもそも、主人公一家、とくに両親の行動が謎すぎる。
音が出せない状況で産気づいたエヴリン。いやしかし、その状況で出産なんてムリだろいくらなんでも……
これぞまさに、絶体絶命、なわけですが、作中の異変が生じてからの経過日数をチェックすると、なんと、こういう「音を出せない状況」に陥ってから、そういうことをして子どもをつくったのか君たちは!けしからん、というか、そんなに静かにできることなのか、そして、こうなることを想像もしていなかったのか。子どもたちもいるっていうのに!さすがに、無鉄砲というか、家族計画はどうなっているんだ……
ただ、この映画の「静かにしなければならない」という縛りは、けっこう「効いている」のです。
ツッコミどころ満載にもかかわらず、館内は、みんなで申し合わせたかのように息を呑み、静まり返って、すごい緊張感に溢れていました。別に観客が音を立てても襲われるわけじゃないのに。
この映画のいちばんの見どころ、体験しどころって、「観客の緊張感」なのかもしれません。
先日、映画館でみた、予告編のあいだ、ずっと大声で喋り続けているおばちゃんをここに連れてきてみたい。
ものすごく面白い、とか感動する、とか、意外な展開に驚かされた、という映画ではまったくないのですが、こういう映画って、話の種になるし、観なかったら、けっこうずっと、「どんな映画だったんだろう?」って気にはなりますよね。
ネタとして、レイトショーの割引料金くらいで観るにはちょうど良い作品、という感じなんですよ。
この映画の魅力を味わうには、そこそこ観客がいて、機が散らない映画館、というシチュエーションが重要だと思います。家でDVDを観ていたら、よくわからないシーンを、いちいち検索してしまいそうだし。あの女の子がつけていたのが補聴器だった、というのを、僕は気づかなかったというか、「音を立てずに会話するために試験的につくられた道具」だと思い込んでいたのです。
この映画って、制作側が「伝わっているはず」と考えているところが、観客にはいまひとつ伝わっていないのではないか、という気がします。
上映終了後、館内がけっこうザワザワしていたんですよ。「何これ?」という反応かと思いきや、けっこうみんな「怖かったねー」とか言い合っている。
うーむ、辻褄が、とか世界観が、とか言うのって、案外気にしない人が多くて、断片的にでも「すごく怖いシーン」とか「感動できる場面」とかがあれば、満足してしまうのかなあ。
この『クワイエット・プレイス』の登場人物の行動って、「なんでわざわざそんな危ないことするんだよ……」と言いたくなることばかりなのですが、人間って、そんなものなのかもしれないよね。
「声や音を絶対に出せない状況」に対する潜在的な恐怖って、多くの人が持っているのでしょう。
細かい設定にこだわるよりも、「みんなが怖いと思う状況」をつくってしまったもの勝ち、そんな感じの映画です。
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