- 作者: 木皿泉
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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- 作者: 木皿泉
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内容紹介
小国ナスミ、享年43。その死は湖に落ちた雫の波紋のように家族や友人、知人へと広がり――命のまばゆさを描く感動と祝福の物語!
「ひとり本屋大賞」6冊目。
木皿泉(きざら いずみ)さんは、脚本家夫婦の共同ペンネームです。
『すいか』、『野ブタ。をプロデュース』、『セクシーボイスアンドロボ』、『Q10』などのテレビドラマを脚本家として手がけています。
僕は前作『昨夜のカレー、明日のパン』を読んだときも、「これは苦手な小説だ……」と感じたので、また「本屋大賞」にノミネートされて、「うへぇ」って思ったんですよ。
ああ、またあの「お涙頂戴のために、人が死にまくり、意味ありげな人生訓みたいなのを読まされるのか……」と。
僕も人間ですから、人間が命を終えることに関しては、あれこれ思うところはあるのです。
でも、こういう「泣かせのテクニック自慢」みたいな小説には、もううんざりしているんですよ。
亡くなった人を周囲の人が語る、という形式なら、『横道世之介』を読めば十分です。
だいたい、家族がちょっと院内のコンビニに買い物に出かけている、という状況で心停止になったら、よほどの事情がないかぎり、死亡確認は家族が戻ってきてから、ということになるはず、なんていう、ディテールへの揚げ足取りとかをしたくなるくらい、僕にとっては「苦手」な作品でした。
いや、読む前から、「この人が書いたものは苦手」という意識があるから、斜に構えて読んでしまっているのも事実で、とにかくさっさと読み終えてしまおう、という感じではあったんですよ。だから、フラットに読めていないのだろうな、とも思う。
『コーヒーが冷めないうちに』よりは、はるかに「読める小説」だとは思うけれど、どこかで読んだことがあるような描写が延々と続いていて、不毛な読書でした。
ちなみにこれ、NHKで2016年、17年のお正月に放送された『富士ファミリー』というドラマの登場人物たちの話だそうで、そのドラマの存在さえ知らなかった僕には、とにかく「ふーん、速く読み終えて、次の本を読もう」としか思えませんでした。
ドラマでは、ナスミは小泉今日子さんが演じていたそうで、ドラマの役者さんたちの姿を当てはめることができれば、けっこう良い作品なのかもしれませんね。
『世界の中心で、愛をさけぶ』も、「何このアナクロ難病小説?」だったのに、長澤まさみさんがヒロインを演じて映像になると、こんな僕だって涙してしまったので。
みんな、泣きたいくらい優しかった。意地悪が懐かしく、しかたがないので自分が意地悪になってもみたが、それでもみんなは優しく笑うだけで、そうか、自分はもうこの世界から降りてしまったのだと気づいたのだった。最初は、まだ生きているのにと憤慨したが、そのうち、それもまたこの世で自分に与えられた最後の役なのだと思うようになった。癌の末期患者の役を演じている。その方が、まわりの人間も接しやすいだろうと思うからだ。テレビで見た患者のようにふるまった。新米の女の看護師の笑顔も、テレビで見たのと同じだった。彼女だってそれが正解だとは思っておらず、他にやりようがないから、そんなふうにしているのだ。みんなわからないのだ。まだ死んだことがないのだから当たり前だ。でも、わからないなりに、こんな感じかなと想像して精一杯やってくれている。
こういうのを読むと、僕自身が見送ってきた人たちは、こんな心境だったのかな、と思うところと、書いている人だって死んだことがあるわけではないことがあるわけではないだろうに、知ったようなことを書きやがって」みたいな、やり場のない憤りが沸き上がってくるのはなぜなのでしょうね。
正直、「苦手なものは苦手だ」としか言いようがなくて、とても困ってしまいます。
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