琥珀色の戯言

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【読書感想】マニア力 ☆☆☆

マニア力(まにありょく) (マイナビ新書)

マニア力(まにありょく) (マイナビ新書)

内容紹介
「休みの日に何をしたらいいかわからない」
「好きなことが見つからない」
こんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。


そこで本書では、経済に関する博識ぶりだけでなく、ミニチュアカー、フィギュア、グリコのおまけなど、多分野にわたるコレクターとしても有名な森永卓郎氏に、「熱中する力」について説いてもらいました。


「なんでも3点以上集めれば、すでにコレクションは始まっており、コレクターになると忙しくも充実した日々が待っている。なぜなら視点を変えれば、世界は宝の山だから」と語る森永氏。


長引く不況と重い停滞感を払拭する「モリタク流・人生の楽しみ方」を、みなさまもぜひご覧ください。


うーむ、これはなかなかの「奇書」だと言えましょう。
巻末にカラーで掲載されている、森永さんの「ペットボトルのキャップコレクション」を眺めながら(せっかくだから、1個1個丁寧に見るように心がけたのですが、すぐに飽きてしまいました」、これを見て喜ぶ人、何人いるんだろう……と考え込まずにはいられませんでした。
いや、「ペットボトルのキャップのQooちゃんって、こんなにたくさんの表情があったんだなあ」って、ちょっと感心はしましたけど……


この新書、ミニカーにはじまり、空き缶、ペットボトルのキャップ、ランチパックの袋、ブリキのおもちゃなど、さまざなまものをコレクションしている「マニア」、森永卓郎さんが、いまの時代に充実した人生を過ごすためのひとつの方策として、「お金があまりかからないものをコレクションする」ことを奨めているものです。

 ここで友人のやくみつるさんの名言を紹介しましょう。
 氏いわく、「同じものを3つ揃えたらそれはもうコレクションだ」。
 そうです。あるひとつのジャンルのアイテムが手元に3つあれば、それはすでに堂々とコレクションと呼べるのです。

 作家の荒俣宏さんの名言に、こういうものがあります。
「どんなものでも100年もてば宝になる」


この新書を読んでいると、空き缶とかお菓子のおまけみたいに「ものすごく大量に流通しており、だからこそみんなが捨ててしまうもの」には、後世、意外な高値がついていることがわかります。
いかにも貴重そうなものは、みんな保存しておくけれど、「そんなものとっておいて、どうするのっ!」と言われるようなものは、なかなか残りづらいのです。


お菓子のおまけのプロ野球選手のカードやブリキのおもちゃがこんなにもてはやされるようになるとは、当時の親たちは想像もつかなかったでしょう。


僕が驚いたのは『なんでも鑑定団』でおなじみの北原照之さんに関するエピソードです。

 私も北原さんの噂は昔から聞いていました。その噂とは、「おもちゃ屋の倉庫を根こそぎ買っていく」というものです。
 それは噂でもなんでもなく、事実でした。実際に北原さんはミニバンでおもちゃ屋さんに乗りつけ、倉庫の中身、ありとあらゆる玩具を根こそぎ買っていたんです。まさに超スーパー大人買いですね。
 実は、私がトラックドライバーと全国のおもちゃ屋さんを巡っていたとき、倉庫がからっぽになっているところがいくつもあったんです。まさにイナゴの大群が通ったあとの田畑のような有り様でした。それが、北原さんのしわざだったんですね。
 根こそぎということは、店頭に出しても売れないようないわゆる不良在庫も含めて、全部買っていったということです。リカちゃん人形やバービー人形、ママレンジ、ままごとセット、着せ替えセットなどなど、とにかくなんでも、です。当然、そこにはミニカーも含まれていましたし、当時はミニカーに比べればかなり下に見られていたブリキのおもちゃもありました。
 しかも、いまではとても信じられないことですが、おもちゃ屋の倉庫をそのように根こそぎ買っても、あの頃は数万円だったのです。ミニカーを10台買っても数万円なのに、倉庫まるごとで同じ額ですよ。要は、店頭でさばけない不良在庫のおもちゃなど、あとから価値が出るとは誰も(おもちゃ屋さんでも)考えていなかったのでしょうね。

おそらく、実際に商売をしていた「おもちゃ屋さんだからこそ」考えもつかなかったのだと思うんですよね。
「売れてなかったから、ずっと倉庫に入っていた」のでしょうし。
北原さんが買いにきたときには「とりあえず倉庫が空になってよかった。おまけにお金まで払ってくれるなんて!」という感じだったのではないかなあ。
そして、当の北原さんも、「投機として」買っていたわけではなく、好きが高じて、見落としがないように超大人買いをしていたのだと思われます。
いまは、北原さんのコレクションには、すごい価値がついているそうですが、「誰も見向きもしなかった時代、値段なんてつかなかった時代に、好きで集めていた」からこそ、こういう結果になったのでしょう。


いまは、コレクターにとっては、「やりやすくもあり、やりにくくもある」ようでうす。
ネット時代になって、「凄い人の姿が見えすぎてしまう」というのは、中途半端なコレクターにとっては、かえってつらい時代かもしれませんが、トレードがしやすくなったり、仲間が見つけやすくなったりしているのも間違いありません。


ちなみに、森永さんは、さまざなまコレクションが家の中に入りきれなくなったため、コレクション保存用の家を一軒建て、そこも3年で手狭になってきたため、もう一軒建てたいと奥様と交渉中なのだそうです。


ペットボトルのキャップや空き缶のために、家を一軒建ててしまうという価値観!
これぞマニア道、ですよね……


ハッピー・マニア 1巻 (FEEL COMICS)

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