琥珀色の戯言

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【映画感想】ゴジラ×コング 新たなる帝国 ☆☆☆

巨大生物の調査研究を行う未確認生物特務機関「モナーク」が、異常なシグナルを察知する。モナークが警戒を強める中、かつて激闘を繰り広げたゴジラキングコングが現れ、再び戦いを繰り広げる。さらにゴジラキングコングそれぞれがテリトリーにする地上世界と地下空洞の世界が交錯し、新たな脅威が出現する。


godzilla-movie.jp


 2024年映画館での鑑賞6作目。平日の朝からの回で、観客は僕も含めて5人。
 最近は「映画館で映画を観る」のが、どんどんめんどくさくなってきているのですが、たまには、と腰を上げてみました。
 しかし、今年のゴールデンウィークとその後の作品は『名探偵コナン』が独走しているのを除けば、ちょっと厳しい。
 「これなら、家でアマゾンプライムビデオかネットフリックスでも観ていたほうが安上がりだな」などと、つい考えてしまいます。
 それならば、「大スクリーンで観たほうが良さそうな映画」ということで、このハリウッド版『ゴジラ』の新作を選択したのです。


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 近年、日本発のゴジラ映画が『シン・ゴジラ』『ゴジラ−1.0』と盛り上がっていることもあり、では、現在のハリウッドのゴジラはどうなっているのか、という興味もあって。


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 正直なところ、このハリウッド版『ゴジラ』シリーズ、前作『ゴジラvsコング』も「すごく面白かった」というわけではなく、エンタメ怪獣映画って、こんなもんだよね、という印象ではありました。
 この映画の予告を見て「まあ、こんな感じの映画かな」と思ったあなた。そう、本当に「そんな感じの映画」です。
 モスラの設定など、日本で受け継がれてきた「ゴジラの歴史」へのオマージュも伝わってきますし、地下空洞世界の生き物や環境などの世界設定にお金と手間がかけられている、ということもわかります。
 
 巨大怪獣が出てきて、バチバチに殴り合って、ひとまずの大団円。
 このシリーズも最初の頃は、渡辺謙さんが深刻な表情で出てくることもあったのですが、次第に社会性とかテーマ、みたいなものは失われていっています。
 ただ、それは『シン・ゴジラ』や『ゴジラ−1.0』という「社会派ゴジラ」が大ヒットした国の贔屓目、でしかないのかもしれません。

 思い返してみると、僕が子どもの頃に観た、「東映まんがまつりやドラえもん映画と併映される後期のゴジラ映画」って、とにかく人間の味方のゴジラが出てきて、地球を侵略する怪獣と派手に戦ってめでたしめでたし、みたいなワンパターンのシリーズものだったんですよね。

 日本で1954年に公開された最初の『ゴジラ』には、太平洋戦争で傷ついた日本人の姿や核兵器原子力への畏れが織り込まれていたのですが、日本の経済成長にともなって、『ゴジラ』は、シンプルなエンターテインメント映画になっていきました。観客もそれでよかったのだろうと思います。

 僕自身、子どもの頃に『のび太の恐竜』(ドラえもん映画の最初の作品)の同時上映で、ゴジラの何作目かを観ながら、子供心に「まあ、『ゴジラ』って、いつもこんなワンパターンの映画だよね。早く『ドラえもん』始まらないかなあ」と考えていました。

 こんなの『ゴジラ』じゃない!とか、日本人が描く『ゴジラ』とは違う!という声が上がるのもわかるのですが、日本で定期的に、もっとチープに「こういうワンパターンな怪獣映画」が作られていた時期があったし、そこに、一定のニーズはあったのです。
 
 『シン・ゴジラ』や『ゴジラ−1.0』は「原点回帰」であるのと同時に、『ゴジラ』というキャラクターを使って、監督が自分の言いたいことを表現することに注力している映画、でもあります。

 この『ゴジラ×コング 新たなる帝国』に関していえば、タイトルは『ゴジラ×コング』だけれど、そのわりにはゴジラの出番が少なく、また、ゴジラの神々しいまでの圧倒的な強さが感じられないところは物足りなかったんですよね。
 庵野秀明監督・山崎貴監督は、「こんなのに勝てるわけねーだろ!」と観客を絶望させるゴジラの「圧倒的な力」を見せつけています。
 僕自身のゴジラ映画の評価基準は、ゴジラがいかに強く、魅力的に描かれているか、に尽きるので、このハリウッド版は正直物足りない。
 「モナーク」っていう怪獣対策組織に見張られ、あるいは「希少生物として保護」されている、過保護なゴジラって、なんだかなあ。
 
 ただ、西欧的には「ゴジラやコングも環境の一部!」みたいな思想的な背景もあるんでしょうね。この映画、けっこう怪獣が暴れて人が死んでるはずなんだけれど、そういう「人間(一般人)の被害」にはほとんど言及しない、という潔さも感じます。
 いいじゃん、これは「怪獣映画」なんだから、って。

 主役はコングのほうだし(なんか動物の腸管にこの監督はこだわっているなあ、というのがもっとも印象に残ったかも)、敵にも魅力がないし、モスラはキャラクターの造形は見事だけれど、なんの役に立ったのかよくわからない。


 2000円払って観るのはちょっとコスパが悪いけれど、映画館だからこそ楽しめる作品ではあり、配信で家のテレビで観たら良くて倍速視聴になりそうです。

 ただ、「お気楽に2時間観ることができる、説教くさくない、それなりに迫力があるエンタメ怪獣映画」として、こういう映画がつくられ続け、それなりに映画館でヒットしているというのは、悪いことではないよな、とは思います。僕も『猿の惑星』の新作とどっちにしようか、と考えて、「上映時間が短くて、気楽に観ることができそう」という理由でこの映画を選択したので。



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