琥珀色の戯言

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【読書感想】会話は、とぎれていい ―愛される48のヒント ☆☆☆

会話は、とぎれていい ―愛される48のヒント

会話は、とぎれていい ―愛される48のヒント

  • 作者:加藤綾子
  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2019/04/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


Kindle版もあります。

会話は、とぎれていい ―愛される48のヒント

会話は、とぎれていい ―愛される48のヒント

内容紹介
目を見て話さなくたっていい、コミュニケーションは「先攻」だけじゃない、盛っていい話、ダメな話―人気アナウンサーが数々の話し方の達人の隣で学んだ「会話の本質」とは?

話し方、聞き方、相手への気遣い、仕事に対する姿勢、人間関係の築き方…愛されるコミュニケーションのヒントが満載!
明石家さんまさん、タモリさん、笑福亭鶴瓶さん…超一流のコミュニケーション能力を持つ人たちは何を考え、どうやって人と接しているのか。
カトパン』がアナウンサー生活で学んだ48の「愛されるヒント」をこっそりと伝えます。


 Kindle Unlimitedで読みました。
 コミュニケーションを生業にしている人の「会話術」「仕事術」は本当にたくさんありますし、もともと「話すことが大好き」という加藤さんのコミュニケーション術が僕の役に立つのだろうか、と疑問だったのですが、加藤さんが接してきた「芸能界などのコミュニケーションの達人のエピソード」には、興味深いものがありました。僕に真似できるかどうかはさておき、という話なんですが。
 僕の場合、「人とうまく話したい」というよりは、「用事がないときは、なるべく人と接したくない」からなあ……

 自分はコミュニケーションが苦手だ」と感じている方には、もしかすると「コミュニケーションは自分から発信すること」という思い込みがあるのかもしれません。だから、沈黙を前にすると「間を埋めるために何かを話さなければ」と焦ってしまい、逆にぎくしゃくするという結果を招いてしまうように思います。
 無理に話しかけようとすることよりも大事なのは、「相手を観察する」ことだと感じます。


(中略)


 『カトパン』が始まったばかりのころ、番組に出演してくださったくりぃむしちゅー有田哲平さんからこんなアドバイスをいただきました。
「無理に面白いことを言おうとするよりも、ニコニコ笑顔でいることのほうが大事だよ」
 番組経験の少ない私が何か成果を出そうと焦って話すことは、視聴者の方に違和感を与えてしまうと有田さんは気づいていたのだと思います。
 私は、有田さんのこの言葉に勇気づけられ、「まずは、与えられた役割をきっちりこなそう」と意識を切り替えることができました。
 心地よいコミュニケーションで大事なのは、「話す」ことよりも「自然さ」だと思います。必ずしも自分からボールを投げる必要はないのです。


 「ただニコニコしていればいんだよ」っていうのは、なんとなく「添え物」的な扱いをされているような印象を与えてしまうかもしれませんが、有田さんは「無理に面白いことを言おうとするよりも」と前置きをしているのです。
 コミュニケーションが上手くみえる人って、自分から会話を盛り上げて、面白いことを言うイメージがあるじゃないですか。
 それができれば一番良いのだろうけど、大部分の人には、そんな能力はありません。
 では、どうするか。
 「面白いことを言おうとして、相手の気を悪くするようなところに触れたり、自分の話ばかりになって場を白けさせたりすること」って多いですよね。僕もそういう経験がたくさんあります。
 
 「すべらない話」はできなくても、「人の話を真剣に(あるいは楽しそうに)聴く」ことができる人は、けっこう重宝されるのです。
 「自分のことを話したい人」は多いけれど、そのわりに「他人のことを聞きたい人」は少ない。
 だから、聞き役に徹する、というのはひとつのやり方だし、気の利いたことを言わなくても、ニコニコしている、それが無理でも、つまらなそうな顔をしないで座っているだけでも、それなりに場が成り立ちます。
 

 私が入社1年目で『笑っていいとも!』の仕事を始めたばかりのころの話です。
 笑福亭鶴瓶さんは、
「落語見たことないんだったら俺の寄席見においで。初心者向けで分かりやすいから」
 と落語に誘ってくださいました。鶴瓶さんは落語を見たことがない人に対して分け隔てなく誘ってくださる方なのですが、入社したてで心細いときに声をかけていただけて本当にうれしかったのを覚えています。鶴瓶さんは私が話したいことがあるときに、「ちょっと目が合うとニコニコして「なんや、どうしたんや」と声をかけてくれます。ロケなどでも街の人とすぐ仲良くなってしまうのが鶴瓶さんのおなじみのシーンだと思いますが、鶴瓶さんの雰囲気の良さに、みんな心が柔らかくなってしまうのです。
 内村光良さんも、いつも周囲の空気を明るくしてくださる方です。クイズ番組でご一緒したことがあるのですが、毎回の打ち合わせが本当に楽しかったのを覚えています。
 たとえば、資料が配られた瞬間、突然、すごい勢いで紙をめくり始め、
 内村「どうだ加藤君、早いだろう! 俺はめくるのが早いだろう!」
 加藤「さすがです!」
 毎回こんな調子なので、スタッフも含めて本番前の緊張感が和らいでいました。
 このお二人に共通するのは、「いつも明るく温かい」ことだと思います。
 ご本人がどれほど意識されているかは分かりませんが、地位が高い人の機嫌が表情や口調に出ると、周囲に与える影響も大きくなります。鶴瓶さんや内村さんの雰囲気が明るい、というだけで、スタッフの気持ちを一瞬にして高めることができます。


 すごいのは、これを読んでいるだけで、鶴瓶さんや内村さんのそのときの様子が目に浮かんでくる、ということです。
 視聴者の好感度が高いタレントさんというのは、テレビに映っていないところでも、こんなに感じの良い人なのか、と納得せずにはいられません。
 もちろん、裏表がある人、というのもいるのでしょうけど、長い間芸能界で生き抜いていくには、周りを和ませたり、やる気にさせたりすることができたほうが良いはずです。
 鶴瓶さんや内村さんは、人に好感を与えるプロ中のプロであり、簡単に真似できるようなものではありませんが(そもそも、「あの大物が、こんなに気さくに接してくれるなんて!」というボーナスポイントもあるし)、ひとつの「目標」として知っておくのも悪くはないでしょう。


 加藤さんは「断ることの重要性と断り方」についても書かれています。

 頼まれごとやお誘いを断るのが苦手な人が多いと聞きました。確かに私も局員時代、なかなか断れなくて悩んた時間があります。
 たとえば、上司が取引先の方と会食するので同席してほしい、といったことを頼まれることがあったのですが、朝の番組をやっていたころは午前1時起きも珍しくない生活だったので、夜の時間帯に予定を入れることを本当につらく感じていました。最初はある程度お付き合いし、勉強になることもたくさんあったのですが、自分の体力面の不安が高まっていくにつれ、
「なかなかお休みがなく、体力的につらいので、申し訳ないのですが……」
 という風に正直に伝える姿勢に変わっていきました。
 そして、お断りするようになってから気づいたのは、自分の置かれている環境や状況をきちんと説明して相手に共有してもらうことで、理解が得やすくなるということです。


 とはいえ、若手にとっては、「半ば仕事のような取引先との会食を断る」のは、けっこう勇気がいることですよね。人気の女子アナを連れてきた、という上司の手柄のためにつき合わされるのはたまらないだろうな、と思います。まあでも、取引においては、そういうのが「武器」にもなるのでしょうし、上司に嫌われるのも怖い。こういうのをきちんと断ることで、「アイツは付き合いが悪い」とか「生意気だ」なんて言い出す人もいそうです。
 でも、そこで流されてしまっては、身体をこわしたり、自分の番組で失敗することにつながってしまう。
 時間は有限なのだから、ちゃんと「断る勇気」を持つというのは、大事なことだと思います。
 ちなみに、加藤さんは「断るときは、後で返事をするのではなく、その場ですぐに断ってしまったほうがいい」と仰っています。
 僕が飲み会の幹事をやったときの経験からすると、「行けたら行く」と言われると、「その日は無理」とすぐに断られるよりも、ずっと対応がめんどくさくなるんですよ。いがちなのですが、そういう言い方をする本人は「即座に断るのは悪いから」と思いがちなのですが、曖昧な人数で店の予約をしたり、その人にまた確認したりする手間があるので、「すぐ返事できるのなら、そうしてほしい」のです。

 そう簡単に真似できるような内容ではないのですが(それができる人は、そもそも、コミュニケーションに不自由していないはず)、コミュニケーションの達人たちのエピソードを読むだけでも、けっこう楽しめます。「正解」は一つじゃない、ということも、よくわかりますし。


あさえがお 心のハンドルをぎゅっとにぎる33の言葉

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笑福亭鶴瓶論(新潮新書)

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田中みな実1st写真集『Sincerely yours...』

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  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 単行本
 

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