琥珀色の戯言

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【映画感想】名探偵コナン ハロウィンの花嫁 ☆☆☆☆

渋谷で執り行われていた警視庁捜査一課強行犯三係の佐藤美和子刑事の結婚式に暴漢が乱入し、彼女を守ろうとした高木渉刑事が負傷してしまう。そのころ、警察庁警備局警備企画課に所属する降谷零は、脱獄した連続爆破事件の犯人を追跡していた。かつて佐藤刑事が思いを寄せていた松田陣平刑事を殉職させた因縁の相手を追い詰めた降谷だが、そこへ現れた謎の人物に首輪爆弾を着けられてしまう。爆弾を解除しようとする江戸川コナンは、正体不明の仮装爆弾犯「プラーミャ」と一連の事件の関連を知る。


www.conan-movie.jp


 2022年9作目の映画館での鑑賞です。
 公開から1週間経った週末のレイトショーで鑑賞。観客は50人くらいでした。
 観終えた後、後ろの席でみていた若い(20代前半くらい)の男性が、友人に「神回!」と言っているのが聞こえてきたのです。
 僕自身は、『名探偵コナン』のマンガやテレビシリーズは「あれば読む、やっていれば視る」という程度で、毎年の映画に子どもたちと行っているうちに、けっこう映画の公開が楽しみになっているオッサンでしかありません。
 マンガの連載開始が1994年、テレビアニメが1996年1月から、劇場版映画が1997年4月に第1作ですから、本当に息が長い作品ですよね。
 連載開始時に子どもだった人たちから、今の子どもたちまで、広い世代が一緒に観て、これほど楽しめる映画というのはそんなに無いのではなかろうか。
 
 僕はこの映画の冒頭の部分、事件の経緯を説明するプロローグから、江戸川コナンの「真実はいつもひとつ!」の決め台詞、そしてオープニングテーマへの流れが大好きなのです。
 もう、あのオープニングテーマを聴いている時点で「映画代の元は取った」ような気分になります。
 冒頭のコナンと仲間たちのやりとりなんて、「これが『お約束』であることを登場人物もみんなわかっていて、いつ出るかと待っている観客をじらしている」ようにすら見えるんですよね。
 こういうのは、長寿人気作品ならでは、の盛り上がりなのだと思います。

 大人視点からすると、「今回の悪役は最初からバレバレだったな」「でも、こんな杜撰な行動しかしないヤツが、国際的なテロリストとして長年活動しつづけられるのか?」とか、「コナンの小道具(今回は大道具かな)、いきなり使ってあんなにうまく機能するものなの?」とか、「今回は毛利親子の回じゃなかったな」など、いろいと思うところはあったのです。

 ちょっとありえないようなコナンの活躍も含めて、「まあ、リアリティとかを超越しつつも、あまりにも荒唐無稽にはならないのが、『名探偵コナン』のバランス感覚なんだよな」と思うんですよ。

 僕のなかでは、アニメの「悪役」では『DEATH NOTE』の夜神月が印象に残っているのです。
 「そうか、本物の『持続可能な悪党』って、ここまで賢く、慎重なものなのだな」と感心しながら読んでいました。
 それに比べると、『コナン』の悪いやつらは「こんな隙だらけの奴ら、すぐ捕まるかやられるかだろうに」とは思うのです。

 人が人を「恨む」なんて、そんなに簡単にリセットできるものではないだろう、と僕は内心つぶやいていました。
 ただ、それはそれで、ものすごくひどい結末にはならないし、子どもたちにも安心してみせられる。

 僕にとっては「神回」まではいかないけれど、みんなが設定やキャラクターを知っているアニメを、お金と時間をかけてエンターテインメントとして追求したら、こんなに「面白くて、家族みんなで楽しめる映画」ができるのだな、と満足しながら家路につきました。
 『名探偵コナンのテーマ』を、心のなかで何度もリピートしつつ。

 近作にあった、シンガポールの豪華ホテルとか、リニアモーターカーの大破壊シーンのような派手な「流行りもの大爆破」はないし、「なぜこの時期に『ハロウィン』?」とか観る前は疑問だったのにねえ。

 心配なのは、映画が人気になりすぎて、終わらせるのがどんどん難しくなっているのか、ストーリーがなかなか進行していかないことなんですよね。安室さんを主人公にしたスピンオフ作品も大人気だし。
 僕が生きているあいだに、あるいは、作者が描けるうちに、終わることができるのだろうか、これ。
 いやもう、いっそのこと「終わらないでほしい」というか、「僕が生きているあいだは続いてほしいけれど、僕が死んでから大団円を迎えられるとけっこう悔しい」。
 あらためて、マンガを1巻から読み直してみようかな。

 ……ああ、去年の『緋色の弾丸』を観たときも、そう思ったのに、あれから1年、全然読んでないや……



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(しかし、毎年同じような感想を書いてますね……でも毎年満足してはいるんですよ。もはや花見みたいなものか。ある意味すごいな、このシリーズ)

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