- 作者: 吉田敬
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2019/02/27
- メディア: 単行本
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Kindle版もあります。
- 作者: 吉田敬
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2019/02/26
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内容紹介
妄想と現実の狭間で、時に怒り、時に涙しながら、
人の世の不条理と栄枯盛衰を綴る、
天才コラムニスト・吉田敬(ブラックマヨネーズ)の
哀愁ただよう猛毒エッセイ58篇!「初体験」
「卒業式で泣く奴の浅さ」
「アホかも知れない俺の後輩」
「選挙権を取り上げろ」
「不倫と浮気は別物論」
「2020 東京オリンピック」
「トランプの年収」
「角刈りの留学生を探して」
「生まれ変わるなら」
「一考して欲しい事」
「異常な街・東京」
「愚痴ることの大切さ」……ほか
『読み終えた後は「あぁ楽しかった」とか「ちょっと面白過ぎたぜ」とか「これについて自分も友人や恋人や妻と考えてみるのもワクワクしそう」という気持ちになると思います。
それくらい自信があります。
この本を読者の方が読み終えた後、「とても素敵な時間を過ごせたなぁ。自分は今ろくでもない人生を歩んでしまっているけれど、この本を読んでいる時間は楽しかった!」
そう感じてもらえるように、全力を尽くしました。』(「はじめに」より)
ブラックマヨネーズの吉田敬さんのエッセイ集。
いまの芸能人の文章の多くが、「自虐」や「感動的な話」になっているなかで、ポリティカルコレクトネスに過剰適応せずに、自らの性欲とか妄想に向き合いつつも、読んでいて嫌悪感を抱くには至らない(道徳的な人にはちょっと厳しいかも)、という絶妙なバランスで書かれています。
僕は吉田さんがテレビに出ている姿やギャンブル好きである、という情報くらいしか知らないのですが、読んでいて、「ああ、こういうのってあるなあ……」と共感してしまったところがたくさんありました。
とくに、ずっと一緒に暮らしていたお祖母ちゃんと、名前を間違えられたことがきっかけで疎遠になってしまった話など、「そのくらいのことで、とわかっていても、人と人との関係って、噛み合わなくなって、ずっと改善するきっかけもない、っていうことはあるよなあ……」と、自分の半生を振り返らずにはいられなかったのです。
それに対して、吉田さんは「謝罪の涙を流す」ような態度ではなくて、「人生にはそういうことがあって、それは、どうしようもないのだ」と、考えている、というのも、すごく率直な人だな、と思ったんですよね。
どうしようもないことは、どうしようもないんだ。
吉田さんの考え方は、イケてない、モテない人生を送ってきた僕にとっても、「刺さる」ところが多いのです。
(いまの吉田さんは、家庭にも恵まれ、ものすごく幸せそうなのだけれど)
とにかく、世の中にはどうしようも無く凄い人がいてるものです。そして、そこで皆さん思いませんか?世界を相手にする様な超一流級は、なぜだか男前、すなわちハンサムが多いなぁ、と!
これはがいい黒人にも言える事で、誰もが知るサッカー選手で何度もバロンドールを受賞したC・ロナウドなんかモデル級ですし、ウサイン・ボルトだってハンサム、マイケル・ジョーダンもハンサムだったし、平成の大横綱、白鵬だってハンサムではないかもしれないが超可愛らしい顔をされている。
そう。
すなわち、やはり顔が良いというのはスポーツ界でも有利なんです。
なぜ有利か?
それは、モテたいなぁとか女とHな事したいなぁとか、1人モンモンと悩む時間が無いからです。お笑いにおきかえてみても、例えば僕なんかはファミレスでネタを考えている時に、近くに綺麗な女性が座ろうものなら1時間の内30分は、
「あぁ、あの女えぇなぁ。何とかならんかな」
などと考えてしまいます。
しかし、これがハンサムならどうでしょうか?
ハンサムというのは女性に飢えてませんから、僕がいやらしい事を考えていた30分間も、夢に向かって、ただただ面白い事を考え続けることができるのです。
これは相当なハンデですよ。
夢を追うハンサムと夢を追うブ男の間には、えげつないハンデがある。
更に言うなら自分の服を買う時間も変わってきます。ハンサムは基本何を着ても似合いますから即決できる。すぐに服を買って夢に向かっての練習に打ち込めます。
なんという想像力!
僕はイケメンになったことがないので「黙っていてもモテる」という人生がどんなものか想像もつかないのですが、たしかに、イケメンだったらいろんなことが、もっとラクに、簡単になっただろうな、という気がします。
ただ、僕自身に関しては、出生時のハンデですでに諦めてしまって、吉田さんのように「何とかならんかな」と思う回路が失われてしまってもいるのです。ああいう女性は、僕のことは嫌いだろうな、って思うだけ。
きっと、イケメンでも、その恩恵を享受できている人もいれば、「自分の好みではない女性に寄ってこられてめんどくさいな」と感じている人もいるのではなかろうか。
まあでも、僕だって、モテすぎで困るくらいの人生を送ってみたかった、という感慨も、少しはあるわけで。
相方との競争心やコンビ仲が悪くなってしまうことについても、自らや周囲の芸人たちの経験が、けっこう赤裸々に語られています。
失礼ながら先輩の中にもいますよ。「あぁこの人らコンビ仲悪いんやろな」と感じる人達。せっかくコンビでやってるのにねぇ。
勝負してる相手がお客さんや他の芸人じゃなく、相方になってしまっている。
でも気持はわかります。
何でなんでしょうね。オスとオスだからなのか。2人で売れて金持ちになろうと決めてこの世界に入ってきたのに、それがいつしか「あぁ〇〇というコンビはA君の力で持っているな」と思われたくなってしまう。
せめて売れて、仲が悪くなっても生活ができるのであればまだ良いのでしょうが、1回の舞台ギャラがたかだか500円ポッチの奴らの中にもそういう考えになってしまってる奴がいてる。
そうなると非常に危険で、「スベれ相方!」となり、更にスベった相方に「ハイ、スベったぁ。何ですか? 今のギャグは?」となる。
すると今度は言われた側も当然覚えていて、逆の事が起こるとここぞとばかりに復讐をします。
もうウケるとかそんなん関係ない、ただただ相方をムカつかせる作業になる。
(中略)
で、実際ブラックマヨネーズはどうか? はっきり言ってありましたよ、そういうの。でも、僕も小杉も互いに2人目の相方なので、比較的少ないかもしれません。どっちもそういう経験をして1回失敗してますから。
だから僕が最初に自分の弱みをさらけ出しましたね。
「おい小杉、お笑いとバスケットボールは似てる。俺がシュートを外しても、お前がリバウンド取ってくれたら、まだブラマヨボールや。逆もしかり。だから間違っても何やねん今のシュートは、とか言ってはダメだし、リバウンドを取りに行くのを放棄した様な動きもやめてくれ。あぁ、ちゃんとリバウンドを取りに行こうとしてくれるんやと思えて初めて、遠い位置からの思い切ったスリーポイントシュートも打てるんや。そしてもう一つ。基本俺のシュートは入らないと思え!」
ムチャクチャですが、そういう風にパートナーに弱い部分を見せるというのはかなり大事な事だと僕は思ってます。
安い、誰も見てないプライドの様なものを大切にするあまり、生活できる程の金も稼げてない事の方が辛い。まぁ偉そうに言っておりますが未だにありますけどね、そういう水面下でのケンカは。
「アレ? ツっこんでくれない」
「エッ、今の頭たたくツッコミ、だいぶ暴力寄りに感じてんけど……」
みたいな。
そんな時は仕事終わりでできるだけすぐに言うようにしてます。
「何かあったんか?」と。
ボヤはボヤの内に消す事。火事は放っておくと更に消すのが難しくなる。
誰でも、コンビを組んだ最初の時点では、「この相手と一緒に、売れるために多少の不満は我慢して、がんばっていこう!」と思っているはずなのです。
ところが、売れていればもちろん、売れていない時でさえも、「相方への感情」というのは、複雑なものになりがちなんですね。
吉田さんも、相方の小杉さんもそういう経験をしてきて、そして、今はお互いにうまくやれている。その秘訣として、吉田さんは「自分の弱みをさらけ出しておくこと」と「仲たがいの芽は、なるべくはやく摘んでおく」ことを挙げています。
これはもう、お笑いのコンビだけではなく、いろんな人間関係に応用できるはず。
「ディープな洋モンきちんと見れば、犬のように発情するイボ猪吉田」
これが何を意味するのは知りたい人は、ぜひ、手にとってみてください。
ものすごく、ブラマヨの吉田さんらしいエッセイ集、だと思います。
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