未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/06/19
- メディア: 新書
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Kindle版もあります。
未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/06/19
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内容紹介
47都道府県はもはや維持できない。20年後の日本人はどこに暮らすのか? 累計76万部超の『未来の年表』シリーズ著者最新作!今回は、これまで誰も本格的に試みることのなかった2つのアプローチに挑んだ。1つは、現在を生きる人々が国土をどう動いているのかを追うこと。もう1つは、「未来の日本人」が日本列島のどこに暮らしているのかを明らかにすることである。
鳥取県の全人口は44.9万人に減る一方、横浜市の高齢者は120万人に激増する。奈良県上北山村では出産期の女性がたった1人まで減る一方、守谷・浦安・長久手・三田などでは80歳超の人々が2.5倍以上増加する――これが、あと25年後に私たちを待ち受ける未来だ。人口推計に基づく予測は、ほぼ外れない。
2045年まで各自治体の人口がどう変動するかをまとめた、最新版「日本の地域別将来推計人口」が公表されて以降、その詳細を深堀りした一般書はなかった。本書はその先陣を切るものである。
少子高齢化や日本の人口が今後は減っていく、ということは、ほとんどの人が知っていると思います。
その一方で、「では、自分たちはそれに対して、どう対応していくのか」なんてことは、あまり考えませんよね。
日本の少子化を憂えることはあっても、だからといって、日本のために自分がこれから4人も5人も子供をつくろうなんていう人はいないでしょうし、そもそも、できる、できないなんて自分で調節できるわけでもない。
赤の他人である若い夫婦に「子どもをたくさん作れ」なんて命令できるはずもない。
人間が自由になって、家を継ぐとかいう縛りから解放されれば、自分自身の人生を謳歌するためには、子どもを持たない、あるいはひとり、なんとかふたりくらいにとどめる、という選択をする人が増えるのは、当たり前のようにも思われます。
もちろん、子どもが好きで、なるべくたくさん欲しい、という人だって、少なからずいるのでしょうけど。
どんなに少子化対策をしたとしても、日本の人口は、どんどん減っていきます。
いま、子どもが少ないということは、その子どもたちが成長したときには、今よりも、子どもをつくる年齢の人が減る、ということです。
クローン人間とか、外国人労働者を好条件で集める、というような非現実的な変化がないかぎり、それは、避けられないことなのです。
日本の人口減少について検証した『未来の年表』シリーズがベストセラーになった著者が、2045年までをひとつの目安に、「日本全体の人口が減っていくなかで、人々はどこに住むことを選び、どんな生活をしていくのか」と日本のそれぞれの地域、各都市の変化を予測した本です。
書かれていることをひとことで表すと、これからの日本は「東京以外、全部沈没。その後は東京も沈没」なんですよ。身も蓋もない。
現時点での人々の動きを確認するにあたってまず注目したいのが、東京一極集中だ。政府の歯止め策も空しく、むしろ拡大し続けている。
総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(2018年1月1日現在)」によれば、2017年に日本人住民が増加したのは、7万2137人増となった東京都をはじめ、埼玉県(4247人増)、神奈川県(3240増)、沖縄県(2914人増)、千葉県(2764人増)、愛知県(1507人増)の6都県のみで、沖縄県と愛知県以外はすべて東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)である。
東京一極集中の実態については、「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」がさらに詳しくまとめているは、2018年の東京圏は、転入者が転出者を13万9868人上回る転入超過となった(日本人に限れば23年連続)。その数は前年より1万4338人多い。一方で全国の自治体の72.1%は人口流出であり、各地から東京圏へと集まっている状況が浮き彫りとなっている。
これを年代別に分析すると、予想通り若い世代が東京圏に集まっていることが明確になる。日本人に限って調べると、20~24歳が最も多く7万4996人、次いで15~19歳が2万6863人、25~29歳の2万3561人だ。進学や就職を機に東京圏に住み始め、故郷に戻らない若者は多い。
男女別に見てみると、20~24歳は男性3万3481人、女性は4万1515人と女性のほうが上回っている。15~24歳の総数で見ても男性が4万7370人、女性が5万4489人だ。多くの若い女性が「東京」を目指して集まってきている状況を裏付ける。
紹介されているデータをみていくと、全国各地から東京に人が集まってくる、という状況がこの先25年くらい続くことになるのです。
名古屋や札幌、福岡、仙台といった、各地方の中心都市に、その周辺地域から人が集まってくるのですが、これらの都市からも、流入者よりも多くの人が東京を目指して出ていくのです。
人口数十万人くらいの県庁所在地やもともと人口が少ない東北や四国、山陰の県は、激しい人口減少にさらされることになります。
いまから四半世紀後にあたる2045年にあたる2045年になると、日本の総人口は2015年に比べて2067万人ほど減る。それまで増え続けていた65歳以上人口も2042年をピークに減り始めるため、2040年代に入ると日本全体でも毎年95万人ほど人口が減っていく。
2045年時点で、減少率が最も大きいのは、41.2%も下落する秋田県であると述べたが、青森県も37.0%減、山形県と高知県が31.6%減、福島県31.3%減、岩手県30.9%減と、高知県を除き東北地方に3割以上の激減県が並ぶようになる。
(中略)
2045年の都道府県の人口を実数で見ると、最も小さい県となるのが鳥取県で、44万8529人。高知県も50万人割れし、60万人に届かないのが、島根県(52万8988人)、徳島県(53万5370人)、山梨県(59万8935人)の3県だ。この年の松山市は43万9316人、宇都宮市が48万1029人だから、県庁所在地1つぐらいの規模になる。
ここまで急激に人口が減っていくと、税収も減り、行政サービスが成り立たなくなるのではないか、と著者は危惧しているのです。
しかも、これらの地域は、高齢者の割合が非常に高い。
サノスが指パッチンしなくても、25年で、日本から人がこんなに消えてしまうのです。
これは、アベンジャーズも手の打ちようがない。
著者は「人口が60万人にも満たない県と、1360万人を超える東京都や831万人の神奈川県を横並びにして「47都道府県」と位置付けるのには、無理がある」と仰っているのですが、たしかにそうだよなあ、と。
この人口格差は、現在(2019年)にも言えることではありますが。
長崎市は、高度経済成長期に人口が急激に増え、斜面に沿って住宅地が拡大していった。当時は各世帯の人数も多く、中心市街地への利便性も高かった。眼下に広がる長崎港の眺めは住民たちの大きな宝物でもあった。
地形を生かして高台に住宅を開発してきた自治体では、そのこと自体があだになる。住宅地が開発された時代の若者たちが年老いた現在、若い世代の多くは中心市街地のマンションや駐車場が確保できる郊外の戸建て住宅を購入するようになった。この結果、地区によっては”限界集落化”が進み、「陸の孤島」とまで呼ばれるところも出てきている。
こうした「坂の上の民」の中には、生活に限界を感じ、坂の下に移り住もうという人もいるが、これがなかなか思うようにいかない。少ない平地を目指す人が多くなったぶん、地価が上昇する一方
坂の上の土地は買い手が付かず、転居のための資金を確保できないというのだ。平地暮らしは年金暮らしとなった高齢者には手が届かない。
九州に長年住んでいる僕にとっては、坂に家が密集している長崎市の風景は大変印象深いものなのです。
しかしながら、坂につくられた家は高齢の住民には生活が大変で、人口減にともなって住民が減り、買い物ができる店の数が減って不便になっていくのです。
30年後の長崎は、坂に廃墟だらけの街になっているのだろうか……
著者は、これからの人口減を前提として、日本がそれなりの繁栄を維持していくにはどうすれば良いのか、についても述べています。
既存の市街地を利用して、中心部に人を移住させる「コンパクトシティ」よりも、交通の拠点やショッピングセンターのような「もともと人が集まる場所」に住宅をつくり、生活のためのインフラを整える、という策も提示しているのです。
空港以外にも有望な場所がある。例えば、既存の高速道路のサービスエリア(SA)を街として作り替えてしまうことだ。幹線国道の「道の駅」でもよい。
ドライバー不足が深刻化しており、これからの地方は物資の確保に頭を痛めるエリアが広がってくることだろう。その点、高速道路や幹線国道はさまざまな物資を積んだ大型トラックが毎日往来している。
これに隣接する形で街を作ったならば、黙っていても物資を調達できよう。高速道路から離れた地域に比べれば、圧倒的なインセンティブである。ドライバーにしてみれば、街の中心部に立ち寄る感覚でSAを利用することになる。
そこには医療機関もあれば映画館もある。SAそのものが観光の目的地となることだってあるかもしれない。こうした「王国」ならば、定住者の人数以上の活気が生まれよう。
現在でも高速道路のSAの店舗は販売スタッフを集めるのに苦労している。SAがそのまま街になれば人手の確保もしやすく、住民側には働く場所もできる。
いっそのこと、みんなイオンモールや道の駅に住んでしまえば良いのかもしれませんね。
あと40年後には、日本の人口は9000万人を下回ると予測されています。でも、自分になにかできるのか、と言われると、思いつくこともないわけで。
いつのまにか、周りは廃墟だらけになってしまうのかな。
それはそれで、ちょっと見てみたい気もしますけど。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
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