琥珀色の戯言

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【読書感想】佐藤優の挑戦状 地頭を鍛える60題 ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

内容紹介
いざ、教養の力試し! あなたの思考力と基礎知識を試す「新時代の頭の体操」を、教養の怪物・佐藤優が厳選。時代を生き抜くための頭脳を磨け!

「本書は、この地方上級公務員試験で過去実際に出題された問題から、私自身が良問と認めた60問をピックアップし、解答と私独自の観点からの解説を付記したものである。また一般的な公務員試験の問題集とは異なる本書独自の特色として、この60問を出題分野ごとに並べるのではなくジャンル横断的に、なおかつ大体の難易度順に並べてある。(中略)

この中に「歯が立たない」という問題があれば、即ちそれこそがあなたの「知識・教養の欠損」である。解けないことを嘆くのではなく、学び直しの機会を得た喜びを感じながら読み進めてもらいたい。」ーー「はじめに」より


 あの佐藤優さんからの「挑戦状」ということで、外交や宗教に関する、正解が無い「問題」が出されているのではないか、と尻込みしてしまったのです。
 書店で内容を確認してみると、地方上級公務員試験で実際に出された問題のなかで、佐藤さんが選りすぐった「良問」60問、ということなんですね。

問24
 A~Fの6人が分担して作業を行うことになり、そのグループ分けをした。最初は2人ずつ3人のグループに分けその後、3人ずつ2つのグループに分けて、それぞれ作業を行った。6人の中には互いに仲の悪い者がおり、いずれの場合も、仲の悪い者どうしは同じグループにならないようにした。次のア~エのことがわかっているとき、最初の2人ずつのグループで確実に一緒だった者の組み合わせはどれか。(平成23年度)


ア:AはB、Cと仲が悪い
イ:Cは、2人ずつのグループで一緒だった者とは、3人ずつのグループでは一緒にならなかった。
ウ:Dは3人と仲が悪い。
エ:EとFは仲が悪い。

(1)AとD
(2)AとF
(3)BとE
(4)CとE
(5)DとF

 僕は今まで公務員試験も入社試験も受けたことがないので、「公務員試験って、こんな『頭の体操』シリーズみたいな問題が出ているのか……」と驚きました。
 もちろん、こんな問題ばかりではなくて、数学の図形の面積を求めたり、数の並びのパターンを考える問題があったり、歴史や地理の問題があったり……
 「知識」中心ではなくて、読んでいて頭が痛くなるような文章を読解する力が問われる問題もあります。
 AI(人工知能)にできない仕事をするために、人間は読解力を鍛えることが必要だ、と言われているのですが、まさにその「読解力」を、公務員試験では、10年、20年前くらいから重視しているのです。

 解き始めるまでは、「とはいえ、僕もそれなりに受験で結果を残していたし、けっこう本も読んできたのだから、それなりにやれるんじゃないか」と思っていたんですよ。
 「頭の体操」みたいな問題は、昔は得意だったし。
 『レイトン教授』シリーズも、ずっとクリアしてきたし。

 ところが、実際にやってみると、「解けそうな感じがしたのに解けない問題」の連続で、疲労困憊してしまいました。
 そもそも、こんなふうに、自分の仕事以外のことで、エンピツを握ってメモしたり計算したりしながら問題を解いていくのが久しぶりだったのです。
 
 正解したのは60問中30問。ちょうど5割でした。最後のほうは、「なんとか半分くらいは正解したい!」と、けっこう頑張ったんですよ、これでも。

 地方上級公務員ってすごいんだな……こんなの、どうやって勉強していいのかわからない、というか、国語、数学、社会、理科、そして一般常識と、まさに「総合力」が問われるのです。
 もちろん、問題集とか参考書みたいなのがあって、受験する人は、それなりの傾向と対策を意識して勉強しているのでしょうけど。
 
 この問題を解いていくと、自分の知識・思考力の「弱点」がわかるんですよ、たしかに。
 僕はやっぱり理数系が苦手で、計算とか図形の問題は壊滅状態でした。
 第一印象では「解けるはず」だった問題が、押しても引いてもわからずに答えをみたら、「中学生レベルの知識で解ける」なんて解説に書かれていて、「キーーッ!」となってしまいました。

 加齢とともに、思考力が落ちているのだとしても、それを突き付けられるのは、正直、つらい。
 でも、こうして久しぶりに「テストに向き合う」ということに、新鮮な気分にもなったのです。
 こうして、人は「テストで好成績を取ると偉くなれる宗教」とかにハマってしまうのかもな、などと思いつつ。

 平均的な厚さの新書なのですが、本気で解こうとすれば(この本、真剣に解かなければ面白くないと思います)、これ一冊で、東京から博多まで新幹線で行くくらいの時間は潰せるはずです。「潰す」というか、やっていると、あまりの自分のふがいなさに、意地になって解いてしまうんですよ。
 解説を読むと「なんでこれが解けなかったんだ……」という問題も多いですし。

 「紙と鉛筆を持って、真剣に問題に向き合う」感覚を忘れかけている大人たちにおすすめです。
 

地方上級 教養試験 過去問500 2020年度 (公務員試験 合格の500シリーズ6)

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サバイバル組織術 (文春新書)

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