あらすじ
ミステリー小説が大好きな大学生・葉村譲(神木隆之介)は、ミステリー愛好会の会長を務める明智恭介(中村倫也)に強制的に入会させられ、学内で起きる事件に首を突っ込む毎日を過ごしていた。ある日、同じ大学に通いながら私立探偵としても活躍している剣崎比留子(浜辺美波)が、犯行予告が届いた音楽フェス研究会の夏合宿に行こうと彼らを誘う。三人は山奥の合宿地・紫湛荘を訪れる。
2019年、映画館での25作目。
平日の朝の回で、観客は15人くらいでした。
原作が『このミステリーがすごい!2018年版』で1位になってから2年。ついに映画化されました。
僕も原作を読んだのですが、密室をつくるための状況設定を語ることが、即ネタバレになってしまうという作品でもあり、なかなか語りづらいところはあるのです。
結局、ああいう「飛び道具」、しかも「なぜ彼らが出現してきたのか、という背景が説明されないまま」で、物語が動いていくことを受け入れられるかが、この作品については大きいですよね。
僕は「まあ、こんな『バカミス』的なアプローチもありだよな」という気持ちと、「これが『このミス』1位というのは、どうなっているんだ日本のミステリー界!」というのが入り混じった気持ちになったと記憶しています。
これだけ街に監視カメラがたくさんあって、Nシステム(走行中の自動車のナンバープレートを自動的に読み取り、手配車両のナンバーと照合するシステム)が道路に配備されていて、みんながスマートフォンを持っている時代というのは、ミステリーを書く側にとっては、けっこう厳しいのだろうな、とも思うんですけどね。
この映画化に関しては、Yahoo!映画での評価をみて、「うーん、地雷か、『インシテミル』みたいなことになっているのか?」と思いつつ、浜辺美波さん見たさ半分で、覚悟しつつの観賞だったのですが、ハードルを下げまくっていたせいか、「けっこう面白かった」のです。
というか、基本的に「原作通り」になっていました。
ミステリとしては、「トリックはともかく、犯人がわかりやすすぎるだろ!」と言いたくもなりますが、神木隆之介さんの葉村譲、浜辺美波さんの剣崎比留子は、はまり役だと思います。
この映画版に対する評価は、ストーリー云々よりも、浜辺さんか神木さん、あるいはその両方を好きかどうかで大きく左右されるかもしれません。
個人的には、美しくてコミカルな浜辺さんを観られて満足、という面が大きかったので。
しかし、こうして映像でみると、この人たちはなんでこの状況下で個室に籠ることにするのだろうか、とか、あまりにも犯行が運頼みではないか、とか、そもそも、こういう体育会系のOBパワハラみたいなのが不快極まりないよな、とか、いろいと考えてしまいますね。
やっぱり、「人の顔がみえる」と、小説を読んだときに比べて、個々のキャラクターへの感情移入度が変わってくるものだなあ。
というわけで、キャストのファンの人は、映画館で観ても、それなりに満足できるのではないかと思います。
中村倫也さんのファンにとっては、微妙かもしれませんが。
浜辺美波さんはどうでもいいけど、この映画が気になっている、という人には「映画観だと微妙だけれど、DVD(あるいはストリーミング配信)で観ると、ちょっと得した気分になる」くらいの映画ですよ、というのが、僕のスタンスです。