高校生のピーター・パーカー(トム・ホランド)は夏休みを迎え、親友のネッド(ジェイコブ・バタロン)やMJ(ゼンデイヤ)たちとヨーロッパへ旅行に行く。ところが、ピーターの前にS.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、彼にある任務を与える。
2019年、映画館での14作目。
平日の朝の回で、観客は30人くらいでした。
前作『スパイダーマン ホームカミング』から2年ぶりの続編であり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界を描いた最初の作品となりました。
僕はサム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演のシリーズの「重さ」が好きだったので、トム・ホランド主演の新シリーズは、なんだかチープな学園ドラマみたいで物足りなく感じていたのですが、今作は「マーベルヒーロー+観光ロードムービー」という趣きで、けっこう面白かったのです。アメリカの高校生って、修学旅行(?)でこんなに豪華な旅をするのか……と驚きましたが。
『アベンジャーズ』や『アイアンマン』のような「切実さ」はないのですが、その分気楽に観られるので、好き嫌いはさておき、「面白い」映画だとは思います。
前作では、「何このすでにイケメンなやつ!とあまり感情移入できなかったピーター・パーカーを今回は応援したくもなったし……って、青春コメディかと思いきや、話は急展開!
正直、バトルシーンは物足りない感じはしましたし、映像はすごいのだけれど、設定が複雑で、観ていて頭がこんがらがってくるんですよね。いろんな情報が画面に隠されているのだけれど、それを追っていくのは、映画館での一度の観賞では難しい。
ただ、明るい雰囲気ながらも、「これからの時代の『悪』とはどういうものか」というメッセージ性は、『エンドゲーム』よりも、ずっと強く感じました。
サノスを超えるような物理で殴ってくるタイプの敵は、もう作れそうもないですし。
これからの人間は、自分の「信じたいものを信じてしまう心」と戦わなければならない。とはいえ、そのためには「スーパーヒーロー」の存在には、危険な面もある。彼らの存在は、人々の希望であるのと同時に「依存の対象」になるものだから。
「スーパーヒーロー」のなかでは、圧倒的な戦闘力はない「善き隣人」スパイダーマンが、『エンドゲーム』後の再出発の最初の主人公に選ばれたのには、それなりの理由があるのです、たぶん。
個人的には、昔から馴染みがある「スパイダーマン」が、マーベルヒーローズのなかで、「有名だけど弱い枠」に入れられているのは、ちょっと残念なのですけど。
まあでも、キャプテン・マーベルとかいないの?って聞きたくなるよねそれは。
正直、あの『エンドゲーム』のあとは、もうすこし間隔をあけてほしかったな……と、観るまでは思っていたのです。
余韻、とかも必要じゃないですか。
でも、この『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を観て、『エンドゲーム』は、集大成であるのと同時に、これまでの「昔ながらのスーパーヒーローと敵」という物語に終止符を打つ作品だったのかな、と感じました。
これからは、より「現代的な敵」というか、「それぞれの人間の内に存在している『歪んだ正義』」との戦いが描かれることになるのかもしれません。
それが「映画として面白い」かどうかはさておき。
それにしても、マーベルの「引き」というか「続きが気になる終わり方」のテクニックはすごい。僕が子どもの頃に読んでいた『週刊少年ジャンプ』みたいだった!どうなる?ピーター・パーカー!
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