琥珀色の戯言

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【読書感想】美術館で働くということ 東京都現代美術館 学芸員ひみつ日記<美術館で働くということ> ☆☆☆


Kindle版もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
アートに囲まれながら働く、美術館の学芸員。「知的で優雅なお仕事」なんてイメージを抱かれがちだけど、その実態は…毎日がてんやわんやの大忙しなんです!!展覧会が開催されるまで、舞台裏では何が起こっているのか?新人学芸員の奮闘の日々を描くお仕事コミックエッセイ!


 東京都現代美術館で「学芸員」として働いている(ことを想定した)人の日常を描くコミックエッセイ。
 実際に関係者に取材して描かれており、美術館の舞台裏がどうなっていて、どんな人たちが働いているのかがわかります。
 コミックエッセイとしては、そんなに情報量が多いほうではないので、「自分も学芸員を目指していて、細かく知りたい」というよりは、「どんな仕事か、まずは興味がある」というくらいの人向け、だと思います。


 そもそも、「学芸員」というのは、何をしている人なのか?
 展覧会に行ったときに、展示室の片隅や絵の横に、じっと座って、さりげなくこちらの様子を確認している人がいますよね。
 僕も最近まで、「あの人が学芸員」だと思っていたのです。
 でも、あれは「監視員さん」なのです。
 ああやってずっと見張っているのは、けっこう大変そうではあるけれど。
 ちなみに「お客様のお問い合わせに答えたり、ご案内したりするのが仕事」だそうですよ。
 そうか、「わからないことを問い合わせてみる」こともできるのだなあ、やったことないけど。


 学芸員というのは、展覧会の企画を立て、作品の手配をしたり、美術館に収蔵する作品を選定したり、図録の文章を書いたり、あるいは学術論文を書く、というような仕事をしている人たちで、彼らの多くは休日には他の展覧会を巡り、海外旅行に出れば現地の美術館を回っているそうです。
 アートが好きじゃないと、やってられない仕事ですよね。そんなに高給、というわけじゃないみたいだし。
 ひとつの展覧会の企画を立てるには、年単位の時間が必要だし、企画だけではなく、世界各地から作品を集めてこなければならない場合もある。
 そして、その展示の仕方も、自分で決めなければならない。
 そこが面白いところ、でもあるのでしょうけど、とにかく「オンオフがあまりはっきりしない、ずっとアートのことを頭の中で考えているような仕事」なのです。


 あと、受付カウンターの人の、こんな話もありました。

 ちなみによくお問い合わせをいただくのは、「展示を観るための所要時間」。新人の頃は「そんなの人それぞれ!」なんて動揺しましたが、経験を積むうちに「会期中にお客様が展示室に入って出るまでの時間がなんとなくわかってくるものだ」ということがわかったので、それを目安にお伝えしたりしています。

 そんなの観る側がコントロールしろよ!と言いたくなるのですが、いちおう、目安として答えてくれるんですね。
 でも、こういうことを尋ねる人が少なからずいる、ということに、僕はけっこう驚きました。


 美術館では、どんな人が働いていて、どういう仕事しているのか?
 その概略がわかるお仕事コミックエッセイです。
 これを読むと、学芸員というのは「憧れ」だけじゃなくて、本当に「好き」じゃないとできない仕事だということがよくわかります。

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