Kindle版もあります。
本好きなあなた! ! 書店員の仕事を体験してみませんか?
書店員の仕事ってラクそう? 使っている道具は? 書店員あるあるも!
コミックエッセイによる初の書店ワークマニュアル。本書は、書店の現場からTwitterを発信、SNSで話題沸騰中の著者による「書店員のお仕事コミックエッセイ」です。
幼い頃から本と絵を描くことが大好きな著者が憧れの書店員になり、本屋の仕事を通じて生きがいに目覚め、次々と自己実現していく毎日が生き生きと綴られます。
「書店員の装備品」「本棚と陳列について」「レジ付近について」など、書店員についての豆知識も満載!
書店員さんの一日の仕事に沿って描かれたコミックエッセイ。
子どもの頃は、僕も「本屋さんになったら、ときどきレジ打ちをやるくらいで、あとは好きな本を並べて読んで過ごせるなあ」なんて思っていたのです。
それは幻想であり、本は重いし、そんなに儲かるものではないし、万引きには悩まされるし……というのも大人になって分かったのですが、それでも、ひとりで書店を経営している人、カリスマ書店員さんが書いた本などを見かけると、手に取ってしまいます。
このコミックエッセイ、これまで「書店員さんが書いた本や書店関係者のインタビュー」をけっこう読んできた僕にとっては、「特別なこと」は書かれていません。
でも、読んでいてすごく心地良い「お仕事本」だったのです。
いま、書店、とくに紙の本を扱う「リアル書店」には、あまり景気が良い話って無いですよね。
ネット書店の影響もあって、街中の家族経営の小さな書店や20年前くらいにはたくさんあった郊外型のレンタルビデオも扱う書店はどんどん減り続けています。
書店員さんの本を読んでも、安い賃金で、本は重いし売れない。お客さんから厳しいクレームを受けることもある、これからもリアル書店は減り続けていくだろうし、将来が不安、という話が多いのです。
あとは、出版社や作家との交流も盛んで、業界でも有名な「カリスマ書店員」さんの華やかな仕事ぶりとか。
僕自身、職業人として、全く偉くなれなかったこともあり、そういう「すごい人たち」の話を読むとコンプレックスを感じてしまうし、「リアル書店の危機」には「わかってはいるけど、もうその話題には疲れてきたな」とも思うのです。
もちろん、実際にやっている人たちにとっては、「危機」はずっと続いているのですが。
この『本屋図鑑』の主人公は、地方の中規模書店で働いている30代の女性なのですが、「もともとは事務の仕事に就いていたけれど、好きなものに囲まれて仕事をしたい」ということで書店で働くことにしたそうです。
有名作家から声をかけられることもないし、POPで有名になってテレビで本を紹介するような「カリスマ」でもない。
仕事が終わった後も自分の店以外の書店に「遊びに行って(半分くらい見学の意識で)」しまうくらい本が好きで、給料も本代でけっこう消えてしまう。
業界全体の衰退はわかっているけれど、今は少しでも長く、好きな本を扱う仕事をしていたい。
ああ、こんな感じで、あまり向上心とか野心に駆られずに、好きなことに寄り添うように仕事をしているって、すごくいいなあ。
ふつうの人が、ふつうに働いているって、なんだか励まされる。
こうして、Twitterで話題になったり、本を出せたりする時点で「ふつう」ではない、かもしれないけれど。
あれ?文庫本なのに、文庫本サイズのカバーに本が入らないぞ?
あぁ… ハ○カワ文庫
のような「書店あるある話」や、本のタイトルを聞いて発注したら、お客様から「タイトルはあっているけど、この本じゃないです」と言われ、確認してみたら、ライトノベルとそれがコミカライズされたものの2種類があった、という話も紹介されています。
最近は、人気ライトノベルの多くが漫画化されていますから、こういう話、よくありそうですよね。注文する側も気をつけたほうが良いかもしれません。
著者は、それ以来「漫画の方ですか?小説の方ですか?」と確認しているそうです。
あと、レジで買った本の背表紙をじっと見ているのは「この人はこんな本を読むんだな」とか考えているわけではなくて、「出版社名を確認して、レジで配布する特典がないか確認をするため」なのだとか。
最近の紙の雑誌は付録が多くて、通常版と表紙違い版が出ることもあり、扱いが大変になっていたり、SNSで人気タレントが表紙になるというのが拡散された途端に、大量の予約が入ったり、時代による変化もあり、「ネット書店の影響」が言われる一方で、リアル書店もネットの恩恵を受けている面もあるのです。
僕は長年リアル書店もネット書店も愛用しているのですが、「注文してから届くまでに何日間か必要で、宅配ボックスに取りに行く手間もかかる(人によっては、自宅で配達時間に待つこともあるでしょう)ネット書店よりも、帰りにちょっと書店に寄って買ったほうが一度で用が済んでラクなことが多い」し、老眼の影響で、電子書籍が少し読みづらくなってもいるのです。
Kindleでは文字を拡大できるのだけれど、拡大したり元に戻すって、けっこうめんどくさいし、Kindleに最適化されていない本(特に本の中の図表や写真が見にくい本)って、けっこう多いのです。
本当に、何かすごいことが描いてある、というわけではないのですが、だからこそ、読んでいてなんだか癒される本でした。
本好きの人が描くと、コミックエッセイでもやたらと情報量が多い(文字数が多い)な!などと感心しつつ。