琥珀色の戯言

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【映画感想】劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』 ☆☆☆☆

北海道・函館の斧江財閥に怪盗キッドからの予告状が届く。ビッグジュエルを追い求めているはずのキッドの目当ては、財閥が所蔵する新選組副長・土方歳三の日本刀だという。同じころ、名探偵コナンこと江戸川コナンは、西の名探偵の服部平次と共に函館を訪れていた。さらに、斧江財閥の初代当主が隠した財宝を探す武器商人やキッドの命を狙う謎の剣士が現れる。


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名探偵コナン』劇場版27作目。
 2024年映画館での鑑賞5作目。 公開から2回目の日曜日の昼の回で、観客は400人くらい(ほぼ満席)でした。こんなに劇場ロビーや物販に人がたくさんいる映画館を久しぶりに観たような気がします(僕が普段は平日の遅い時間に観ることが多いからでもあるとしても)。コナン映画の人気すごい!しかも、年々盛り上がりを増している!


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前作『黒鉄の魚影』は「灰原哀のターン」と言うべき、かなりエモーショナルで、「黒ずくめの組織」に関するメインストーリーが(このシリーズとしては)かなり進展した映画だったのですが、今回の『100万ドルの五稜星』は、ある意味平常運転というか、北海道(とくに函館)を舞台にした、ロードムービー調のエンターテインメントに振った作品でした。

服部平次回、あるいは怪盗キッドのターン、とでも言うべき内容で、阿笠博士や少年探偵団の出番は少なめです。灰原哀推しとしては、ちょっと寂しくもありましたが、むしろ前作で灰原さんが活躍しすぎだったのかもしれません。これだけ人気キャラクターが増えてきて、映画も年1回となると、今回は誰の話にするか、というのもなかなか難しそうではありますね。

今回は、江戸川コナンでさえ、服部平次や和葉、怪盗キッドに比べて、やや影が薄い印象もありました。
「黒ずくめの組織』に関する情報の進展もほとんどなし。

それはそれで、「エンターテインメント性を重視した、お祭り映画」として、満足度は高かったし、新型コロナの呪縛からようやく解放されつつある世の中にとっては、「よし、函館、五稜郭、行ってみよう!」となった人も多いのではないでしょうか。僕も函館では『ラッキーピエロ』に行っただけだったので、近いうちに五稜郭に「聖地巡礼」してみたいと思います。

一緒に観ていた人たちからも、「やっぱり」楽しかったね!と頷きあう声がたくさん聞こえてきました。
正直なところ、僕ももう50歳を超えてしまいましたし、青山剛昌先生やスタッフ、声優陣も焦る必要はないとしてもそれなりに年齢を重ねてきてはいるので、このペースだと、僕や青山先生が生きているうちに、「黒ずくめの組織」の正体がわかる日は来るのか、江戸川コナンが元に戻る日が来るのか、ちょっと心配になってきてもいるのです。

これだけ、「ドル箱映画」になってしまうと、ずっと毎年続けてほしい、と言うのは、制作する企業側、観客側の本音だろうし、やろうと思えば、『名探偵コナン』であれば、人気キャラクターそれぞれをクローズアップした映画を順番に作っていけば、マンネリ化も防ぎやすいはず。いや、「いつもの『名探偵コナン』を年1回観られればいいや」という人も多いのではなかろうか。

でも、『名探偵コナン』には、いちおう、「芯となるストーリー」があるし、その結末を見届けたい人も多いはずなので(作者だって、たぶん「描ききりたい」のではなかろうか)、「ドラえもん』や『ポケモン』のように、原作者がいなくなっても、スタッフがその作品世界を受け継いでいく、というのも、ちょっと違うのではないか、と感じています。

いや、正確には「感じていました」が、今回の『100万ドルの五稜星』を観て、年々興行成績が上がっていく劇場版人気を思うと、「もうこれ、メインストーリーに決着をつけなくても、ずっとこんな感じで、人気キャラクターがわちゃわちゃやっているだけでもいいのかもな」という気もしてきました。

個人的には、僕自身が死ぬ前に、どんなオチになるのかくらいは、プロットだけでも教えてほしいけど。
でも、ちゃんとした「終わり」があると、『エヴァンゲリオン新劇場版』みたいに、「どうせ最後、シンジはああなるんだよな」と、スッキリはするし、納得はしているけれど、ちょっと醒めてしまう面もある。
それでも、『エヴァ』に関しては、見届けられてよかった、と思っているし、庵野監督も安心はしたのではなかろうか。


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この『100万ドルの五稜星』に関しては、ほぼ万人向け、ひとりで観ても、大勢で観ても楽しめる、エンターテインメント超佳作、だとしか言いようがないし、エンタメって、ストーリーよりもキャラクターだよなあ、と思い知らされます。


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