琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

海の仙人 ☆☆☆☆

海の仙人 (新潮文庫)

海の仙人 (新潮文庫)

 今年読んだ本のなかでNo.1!って、まだ今年になって1週間しか経っていないわけですけど。
 でも、本当に素晴らしい作品だと思います。「ファンタジー」って何なんだ結局?って考えてしまうのですが、逆に、この物語って「ファンタジー」不在だと、ちょっと安っぽい「お涙頂戴モノ」になってしまいそうなんですよね。そのあたりのセンスというのが、絲山秋子さんの凄さなのでしょう。人と人との「善意のすれ違い」みたいなものが、スッと心に入ってくるように描かれている傑作です。いままでの著作や経歴からすると、たぶん、絲山秋子さんは片桐に自分を反映されているのだろうけれど、いちばん容赦なく描かれているのが片桐なんだよなあ。

 以下ネタバレ感想なので、ご注意ください。

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