琥珀色の戯言

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【読書感想】「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ) ☆☆☆☆

「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)

「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)


Kindle版もあります。

仕事に追われるすべての人へ。
その仕事、自分の命より大切ですか?


「これ、まんま私のことだ。」「この漫画は命の恩人です。ありがとう。」「涙が自然と流れてきて止まりません。」
Twitterで30万リツイート! この漫画で助けられた人続出!
NHK毎日新聞産経新聞、ハフィントンポストでも紹介された 話題騒然の過労死マンガを書籍化しました。
精神科医・ゆうきゆう(『マンガで分かる心療内科』シリーズ)が監修・執筆を担当し、 過労死・過労自殺する人が「死ぬくらいなら辞めれば」ができない理由をわかりやすく解説しながら、 仕事や会社に追いつめられている人がどのようにすればその状態から抜け出し、 自分の人生を大切にするための方法と考え方を描きおろしました。
また、過労やうつ状態から抜け出して幸せになった人を取材して描きおろした「実録! ブラックな状況を抜け出しました」も収録。
もうあのような過労自殺の事件を繰り返したくない。
現代日本で働くすべての人に必読の1冊です。


 このマンガの元となった作品、僕もTwitterで読みました。
 今回、ゆうきゆう先生のコメントやアドバイスを併せて読んで、あらためて感じるのは、こういうのは「早期発見、早期治療」が大事だ、ということです。

 このように、「まだ大丈夫」なうちに判断しないと、判断そのものができなくなるのです。


 極論すれば、希死念慮にとりつかれて、日常生活もままならなくなってから、会社を辞めて「転職」を考えたとしても、良い条件で採用されるのは難しい。
 そもそも、働けない状態になっているでしょうし。
 「ここまで頑張ったのだから、辞めるくらいなら死ぬ」とか、思ってしまうこともある。
 本当に追い詰められると「選択肢の存在そのものが見えなくなる」ことも多いのです。
 本人は頑張ってなんとか働いているつもりでも、仕事が滞ったり、イライラしっぱなしで周囲は困っていたり、結局、誰も幸せになっていない、ということになりがちです。


 でも、どこまでが「まだ大丈夫」なのかって、本当に難しいですよね。
 職種によっては、ギリギリのところで踏ん張れるかどうかで、その後の人生が決まってしまうこともあります。


 この本のなかでは、「とりあえず法律でそう決まっているし、月平均80時間が一つの目安」とされています。
 というか、仕事に対する耐性というのは個人差がかなり大きいので、「このくらいまでは大丈夫」って決められないところがあるのです。
 ただ、「残業どころか、基本的な勤務時間も働き続けられない」ということであれば、「それでもその仕事を続けさせてほしい」というのは、難しいところはありますよねやはり。
 ネットなどをみていると「時間や場所を決められて、定期的に働くこと」そのものに不向きな人というのもいるので、万人向けの基準を定めるのは難しい。


 著者のお母さんが、一度だけ、こんなことを仰ったそうです。

 会社はいちいちあんたが本当に大丈夫かなんて考えてくれへんよ
 自分で注意しとかんと


 たぶん、家族や同僚などの自分以外の人が心配してくれることは、少なくないはずです。
 でも、結局のところ、自分がどれくらいきついか、というのは、自分自身にしかわからない。
 自分自身も、誰かにとっては「他者」なわけですから、「他の人のことが本当にわかっているのか?」と想像してみてください。
 家族に対してさえ、少しキツそうにみえても、なんとなく「大丈夫だろう」なんて先送りしてしまうことは、少なくないはずです。
 「もう辞めたら」と言っても「余計なお世話、今はそういう時期なんだよ!」なんて、かえって機嫌を損ねてしまうこともある。


 この本には、すごく大事なことが書かれているんですよ。
 しかしながら、それでも僕は、そこで踏みとどまることができるかどうかは、最終的には誰かを頼る勇気を持てるかどうかと、「運」なのかな、とも思うのです。
 この本のなかにも、ふと死のうと思ったときに、「マンションのフェンスが高くて登れなかった」「職場の窓がはめ殺しだった」「電車通勤ではなかった」というのが「死ななかった理由」として挙げられています。
 もし、これらのうち、ひとつでも「死んでしまいやすい環境・状況」であれば、ふとした拍子に、著者も命を落としていたかもしれません。


 最近、僕もいろいろ考えることも多いのですが、結局のところ、自分自身のプライドをちょっと捨てて、誰かに頼ってみれば、助けてくれる人ってどこかにいるんですよね。もちろん、100%ではないかもしれないけれど。
 にもかかわらず、多くの追い詰められている人は「捨てる神」の存在は確信しているのに、「拾う神」は居ないと思っているのです。どちらも同じ「神」なのに。
 ネットでは「働かずに生きている人」と「働きすぎな人」の両極端ばかりが採りあげられ、どちらもバッシングされているけれど、ほとんどの人は、その真ん中のグレーゾーンで働いているはずです。
 世界は広いし、仕事も、働きかたも、たくさんあります。
 一生懸命働く時期があれば、働かない時期があってもいい。


 まあでも、こういうことを書きながらも、僕はこれが「綺麗事」であり、僕自身も「プライド」に縛られていることを知っています。
 ただ、そういう人が多いからこそ、「広い視野を持つ」ことは、自分の可能性を広げることにもつながるのです。
 「そんなの恥ずかしい」って思っているのは、案外、自分自身だけだったりするんですよね。


 1時間もかからずに読めますので、「最近、ちょっと仕事がきついな……」くらいの状況の人こそ、気軽に手にとってみてほしいと思います。
 

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