(146)自分のことだけ考える。: 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2018/03/28
- メディア: 新書
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Kindle版もあります。
自分のことだけ考える。 無駄なものにふりまわされないメンタル術 (ポプラ新書)
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2018/04/13
- メディア: Kindle版
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内容紹介
ホリエモン初のメンタル本! 思い込みを振り払え、炎上を恐れるな。 メンタルコントロールの極意49。 他人の目が気になる、人前だと緊張が止まらない、モチベーションを持続できない……。 こうした心の悩みを抱え、自分のやりたいことにブレーキをかけてしまっている人は多い。 無駄なものを遠ざけ、心をフラットに生きる方法。
僕は堀江さんの著書をほとんど読んでいるのですが、読みながら、「とはいえ、堀江さんのように生きるのは難しいよなあ」とも思っているのです。
一種の「キャリアポルノ」として消費している、と言うべきなのかもしれません。
この新書のタイトル『自分のことだけ考える。」を見て、僕は「ああ、それができれば、苦労しないんだけど」と思ったのです。一時期大流行した「アドラー心理学」でも、「過去のことは気にしなければ大丈夫」って、それができないから苦労しているんだよ……と言い返したくなったのです。
さて、ここであなた自身に問いたい。
「本当に、”自分のことだけ”考えて、生きていますか?」と。
こんなことを言うと「また堀江が自己中心的なことを言っている」と思われるだろう。投げかけられる反論なんて、おおよそ予想できる。
「”自分のことだけ”考えるだなんて、ホリエモンだからできる生き方だ」
「普通のビジネスパーソンには、到底無理な話だろう」
「”自分のことだけ”考えて生きることができたら、世話はないよ」
「そんなの利己的すぎて、敵ができるだけじゃないか」
でも、よく考えてみてほしい。言わせてもらえば、”自分のことだけ”考えて生きない、だなんて「おこがましい」としか思えない。
”自分のことだけ”考えて生きる、という言葉に込めた思い――。
それは表面的に「自己中心的に」「利己的」に生きる、という意味ではない。
つまるところ、僕らは「自分のことだけ考えて」生きるしかないのだ。
人は「自分のことだけ」に集中して、生きるしかないはずだ。
だってそうだろう。
他人の心や行動を、コントロールできる人なんていない。
ビジネスがアイデアがうまくいくかなんて誰にもわからない。
天災や景気を言い当てられる人もいない。
1秒先の未来だって、誰にもわからない。
だとしたら……。
自分が「正しい」と信じることを、やるしかない。
自分が「必要だ」と感じるものを、手に入れるしかない。
自分が「後悔しない」と言える、好きな道を行くしかない。
自分が「こうだ!」と決めたことを、努力し続けていくしかない。
堀江さんって、基本的に「あたりまえのこと」を言っているんですよね。「あたりまえのことを、あえて角が立つような表現で口にしている」ように僕には見えるのです。
堀江さんの視点を借りると、世の中の多くの人たちは、「自分で自分を縛りつけている」ようにも思えてくるんですよね。
ひと頃流行った「ブラック企業」という言葉が、今は一般化している。長時間労働や休日出勤、残業代未払いなどを会社から強要され、「何でこんなつらい思いをしなければならないのか?」と嘆いている人が大勢いた。
僕がツイッターで「嫌だと思ったら辞めればいいのでは?」とつぶやいたら、「辞めるに辞められない弱い立場というのもある」などと、しつこく食い下がってくる人が多くて辟易した。でも、冷静に考えてみてほしい。「辞めるに辞められない弱い立場」なんて、実際はない。
いったいどこの国の、いつの時代の話をしているのかと不思議でならない。自分が嫌だと思ったら、自由に辞めればいいのだ。
中には「辞めて、次の選択肢がなくなる怖さもありますよ」という反論があった。そんな人には「だから付け込まれるんでしょ」と指摘したい。
僕から言わせれば、「ブラック企業だ」などと文句を言いながらも会社を辞めない社員が多いから、会社のほうがつけ上がってブラック企業になるのだ。
ではなぜ、多くの人がブラック企業を辞めないのかというと、それは「生真面目」だから。学校教育の弊害で「会社では皆と同じように、真面目に働かなければならない」と洗脳されているから、会社を辞められないのだ。
僕はどちらかというと、「辞めるに辞められない立場」に共感してしまうのですが、「そこで頑張ってしまう人がいるから、ブラック企業が存続できる」というのは、たしかに事実なのだと思います。本当にみんなが辞めてしまうのであれば、会社を畳むか、働いている人の待遇を改善するしかないはずなので。
「急に辞められたら困るし、無責任だ」なんて言われて、ズルズルと働かざるをえなくなる、というのは「生真面目さ」や「レールから外れることの恐怖感」からなのでしょうね。
本来、自分に合わない会社を辞めることは、けっして悪いことではないはずなのに、日本では、2018年になっても、「会社(仕事)を辞めた」というだけで、何かこの人には問題があるのだろうか?なんて勘繰られてしまう。
炎上の効用として「コスパのよさ」が挙げられる。
炎上すると、情報がとにかく拡散するのだ。僕が何となく思いふとツイートしたものが、瞬時に数百万人の目に入る。ときに非難の声が巻きおこるが、それは大勢の人の貴重な時間をもらっているともいえる。そして、何より人の記憶に残る。
『「なんで保育士の給料は低いと思う?」低賃金で負の循環』(朝日新聞デジタル)という記事に対して、「誰でもできる仕事だからです」とツイートしたところ、僕への非難が殺到、「大炎上」した。
堀江さんの話を読んでいていつも感じるのは、結局のところ、ネットでの「炎上」というのは、割り切れる人にとっては、効率のよい宣伝でしかない、ということなんですよ。
「炎上」によって、社会的な地位を脅かされたり、精神的に追い詰められたりしてしまう人もいるのだけれど、芸能人や政治家といった「評判」や「イメージ」が大事な人でなければ、しばらく身を潜めていれば、嵐は去ってしまいます。
「悪名もまた名なり」と言いますが、かなり尖った意見でも、多く人の目に触れれば、賛成する人は出てくるものです。
あまりに批判が大きければ、「私の発言で、議論が深まったのなら結構なことです」という定型的な手のひら返しもあります。
結果的に「調子にのってしくじってしまった普通の人」は大ダメージを受けるのに対して、「炎上芸人」は、炎上を「成果」とみなし、大喜び。
こういう状況は、けっして健全とはいえないと思うのですが。
堀江さんは単なる「炎上芸人」ではないのだけれど、言葉が足りないところはありますよね。
この保育士の話にしても、この本のなかでは、こう説明されています。
『「なんで保育士の給料は低いと思う?」低賃金で負の循環』(朝日新聞デジタル)という記事に対して、「誰でもできる仕事だからです」とツイートしたところ、僕への非難が殺到、「大炎上」した。
保育士の仕事を定義すると、「誰でも(やろうとしたら大抵の人は)できる(大変かもしれない)仕事」といえる。
確かに、「誰でもできる仕事」のひとことだけだと、誤解を招きやすいかもしれない。
けれども、「誰でもできる」から「ラクな仕事」ということではない。
僕の言う「誰でもできる仕事」をかみ砕いて説明すると、「誰でも、やろうとしたら大抵の人はできる、大変かもしれない仕事」だ。
でも実際のところ「誰でもできる」からこそ、仕事としての希少性が低く、給料も低いという残念な構図になっている。
「仕事が大変」で「誰でもできる」が「低賃金」のため「人手不足」。
保育士だけに限らず、例えばコンビニやスーパーの店員などが、その典型だろう。
保育士というのは、幼少時の教育の重要性を考えたら、もっと好待遇であっても良いと思うのですが、現実的には「保育士(あるいは育児)にお金をかけたくない(あるいは、かけられない)」という人が多いから、給料も上げようがない、と堀江さんは仰っていて、たしかにその通りなんですよね。
ただ、最初の堀江さんのツイートから、ここまで読み取るのは「エスパーじゃないと無理」だと思います。
堀江さんを嫌っている人も多いので、悪く解釈されやすいところはあるとしても、このケースは、さすがにねえ。
堀江さんが言うことを実行すれば、成功につながる人もいるだろうし、どうしても受け入れられない、という人もいるはず。
前者は大いに参考にすればいいし、後者は「世の中には、こういう考えの人もいるのだな、と知る機会にする」ということで、あんまりカリカリしなくても良いんじゃないかな。それこそ「自分のことだけ考える」ほうがマシです。
「炎上はコスパがよい」と割り切っている人に挑んでも、「燃料」にされてしまうだけだから。
- 作者: 堀江貴文,落合陽一
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