琥珀色の戯言

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鹿男あをによし ☆☆☆☆


鹿男あをによし

鹿男あをによし

「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」;神経衰弱と断じられ、大学の研究室を追われた28歳の「おれ」。失意の彼は、教授の勧めに従って2学期限定で奈良の女子高に赴任する。ほんの気休め、のはずだった。英気を養って研究室に戻る、はずだった。あいつが、渋みをきかせた中年男の声で話しかけてくるまでは……。;慣れない土地柄、生意気な女子高生、得体の知れない同僚、さらに鹿…そう、鹿がとんでもないことをしてくれたおかげで、「おれ」の奈良ライフは気も狂わんばかりに波瀾に満ちた日々になってしまった!;「壮大な構想、緻密な構成、躍動するディテール、ちりばめられたユーモア…。これが二作目なんて信じられない。この作家は、いずれ直木賞を獲るだろう」と"本読みの達人"金原瑞人氏が絶賛した、渾身の書き下ろし長編。


「ひとり本屋大賞」ついに最後の10冊目。
今年もなんとかギリギリ間に合いました(「本屋大賞」は明日発表)。
ずっと、最後はこの『鹿男あをによし』にしようと思っていたのですが、それはとりあえず読みやすそうだったのと、木曜日の夜に放送されていたTVドラマの『鹿男あをによし』を楽しみに観ていたから、なんですよね。
でも、結果的には、「先にTVドラマを観てしまったこと」が、この作品に対する僕の評価をちょっと下げてしまったかもしれません。
いや、この『鹿男あをによし』って、本当に「良質のエンターテインメント」だと思うんですよ。
ただ、TVドラマが完全に優れているのではないとしても、先にあちらを観てしまうと、この小説版のキャラクターはやっぱり「ドラマで演じていた人」の姿になっちゃうんですよね。
主人公は玉木宏だし、堀田は多部未華子、リチャードは児玉清の姿と声になってしまうのです。
そうなると、TVドラマでは綾瀬はるかが演じていた藤原先生が小説版では男であり、いまひとつ存在感が薄いこと」が、正直物足りなく感じられるのです。まあ、僕が綾瀬はるか大好きだからなんですけど。
TVドラマでは、これだけの分量の1冊の本を1クールのドラマ(10時間くらい)にしなければならなかったため、各キャラクター、とくに藤原先生がかなり重要な役回りとして描かれています。そして、そのおかげで「恋愛ドラマ」としても愉しめましたし、観終えたときも非常に爽やかな気分になりました。その他のキャストも、TVドラマ版はとても「いい雰囲気」をつくりだしていました。人と人とが傷つけ合わないドラマって、なんだかとても新鮮で。
この原作を読んでいると、TV版では、ちょっと説明的過ぎると感じられる部分やトリック(アナログとデジタルの話など)は、視聴者にわかりやすく変えていたのだということも伝わってきます。

鹿男あをによし』のTVドラマは、僕にとっては、『のだめカンタービレ』以来、久々に「全部通して観た連続ドラマ」で、すごく気に入っている作品なんですよね。残念ながら、視聴率的には「成功」と言い難い結果に終わってしまってすごく残念なのですが、

参考『鹿男あをによし』の視聴率
最終回視聴率:11.2%
第9話視聴率: 9.2%
第8話視聴率:10.1%
第7話視聴率: 8.8%
第6話視聴率: 8.9%
第5話視聴率: 9.0%
第4話視聴率: 8.0%
第3話視聴率: 9.7%
第2話視聴率:11.4%
第1話視聴率:13.0%

そのうちDVDが出たり再放送されたりすると思いますので、多くの人にぜひ一度観てもらいたい(最初の展開がちょっとゆっくりなので、できれば3話目くらいまでガマンして観てもらえれば……)と。音楽もすごく良かったですし。

ドラマ『鹿男あをによし』の失敗というのは、どんなに丁寧につくっても、「歴史ファンタジーをメジャー化するのは難しい」ということなのだろうか……

すみません、本の話でしたね。ドラマがあまりにもお気に入りだったので、脱線しまくってしまいました。
というわけで、「良質のエンターテインメントなんだけど、綾瀬はるかが出てこなくて残念!」、というのが僕の感想です。
先に原作を読んでいたら、「ドラマは原作と違いすぎる!なんで藤原先生が女になってるんだ!」とか言ってたような気もしますけど。


鹿男あをによし オリジナルサウンドトラック

鹿男あをによし オリジナルサウンドトラック

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