琥珀色の戯言

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続・「配偶者へのコンプレックス」について


「配偶者へのコンプレックス」について
まずは↑をどうぞ。

このエントリに関して、こんなコメントをいただきました。

sat
2008/06/20 10:19
はじめまして。夫のコンプレックスについて最近悩んでいたので、とても興味深く拝読いたしました。結婚して約2年になります。夫が先月頃から急に私を避けるようになり、何?何?浮気?と一人悩んでおりました。が…先日大ケンカをし、その原因が私に対するコンプレックスだと分かったのです。
私は全く自覚がなかったのでビックリ。

夫は4歳年下で、結婚した当初は私が彼の仕事のアドバイスをし、サポートをしてきました。その結果、仕事も順調にいくようになり本人も自信が付いてきたのですが、そうなればなるほど、周りの人から「奥さんはすごいね〜」と言われるのが気に触るようで… でも、私のことを周りに話したり、自慢しているのは夫自身なんです。私は何もしていないのに…

本人もすごく葛藤しているみたいですけど、私としてもどうしたものかと。とりあえずは気にしないことが一番かなと思っているのですが…

 satさんには、こういう形で取り上げてしまって申し訳ないのですが、僕なりに「どうすればいいのか?」を考えてみたので書いてみますね。
 うちの場合も、妻側からみると、satさんと同じような状況だったのではないかと思うのですよ。僕が「目の前のあなたに対してコンプレックスを感じている」ことをぶつけたとき、妻は「全く自覚がなかった」のです。というか、「そんなこと想像したこともなかった」みたいなんですよね実際。
 じゃあ、それで僕が救われたかというと、正直「僕がこんなに気にしていたことを、全く歯牙にもかけてなかったのか」「あーそりゃお前はよくできた人間だよ!」みたいな感じで、かえってプライドを傷つけられたのです。いやほんと、反発・反論されることよりも、「そんなの考えたこともない!」と言われることのほうが、はるかにキツイですよ。「そんなくだらないこと」だと自分でも理性ではわかっているだけに、「そんなことを気にしてしまう自分」をさらに責めたりして。
 いっそのこと「うるさい!私のほうがあなたにずっとコンプレックス感じてたのよ、何よ悲劇の主人公ぶっちゃってさ、キイーーー!」とか、やってくれたら、すっきりしたのかもしれないんだけどねえ。

 ただ、今になって考えると、僕はあのとき、ブチ切れて「配偶者にコンプレックスを感じている自分」を認めることができたから、ちょっとだけ前に進めたような気がするんですよ。自分自身にとっても、相手との関係においても。
 ですから、satさんのパートナーが、「自分が妻に感じているコンプレックス」を直接ぶつけられたのは、それはそれで「一歩前進」だと思うんです。僕にとっては限りなく恥ずかしい体験だったのですが、それを言葉にして伝えることによって、それ以来、ちょっと気が楽にもなりましたし、satさんのパートナーにとっても、たぶん、そうだったのではないかと思います。そういう「コンプレックスらしきもの」をはっきりと自覚できないまま、一緒に生活していくと絶対に歪みが出ます。たとえば、「自分を手放しで認めてくれる(ように見える)異性に惹かれてしまう」ような形で。
 
 僕はsatさんに、ちょっとだけでいいので、「気にして」ほしいんです。そういう弱みを見せたときに「そんなのたいしたことないじゃない」とか「私は気にしていない」というふうに「正論」で一刀両断にされてしまうと、前述したように、自分がイヤになってきて、さらに辛いんですよ。
 過剰に慰めたり、相手を立てたりする必要はありませんから、「人というのは、そういうコンプレックスを感じる生き物だし、自分の夫がそういう人間であるのは、別に特別なことじゃないんだ」ということを認めてあげてください。
そして、理詰めで「そういう考えかたの間違い」を正そうとするのではなく、「それでも私はあなたを愛している」「感謝している」(ここ重要です。「それでもあなたは有能である」じゃダメなんです)と考えてあげてほしいのです。
 おそらく、satさんのパートナーは向上心もプライドもある人だと思うので、彼自身も「そういうコンプレックスってよくないよなあ」と感じているんじゃないかとは思うのですが、それを「なかったこと」にもなかなかできないんですよね。
 自分のパートナーが「他人に自慢できるような人」であるというのはとても誇らしいことではあるのですが(僕もときどき自慢してます)、だからといって、「他人に『奥さんのおかげ』って言われること」は、やっぱりちょっと悔しい。「これからずっと『奥さんのおかげ』って言われ続けるのか?」と嫌気がさしてしまうのではないでしょうか。

 身勝手な話ですが、僕はときどき「人間が成長するときに必要なパートナー」と、「成功したあとに傍に居てもらいたい人」というのは、必ずしも同一人物ではないのかもしれないな、と思います。長く付き合っていると、「昔から自分を支えてくれた」という感謝と「気心が知れている」という安心感があるのに対して、「いつまでも昔の自分と同じに扱われる」という不満も出てくるのです。
 こういうギャップを埋めるというのは、本当に難しいことです。
 ただ、ひとつだけ言えるのは、お互いに「人間は変わっていくものだ」ということを受け入れなければならない、あるいは、「変わることを怖れてはならない」ということではないでしょうか。いつまでも「昔の自分」「昔のあなた」を引きずっていくのは、あまり得策ではないように思います。

最後に、昔書いたこんな文章がありましたので、御紹介しておきます。

僕がこの「『デキる』女性」たちに言いたいことは、別にあなたが悪いんじゃない、ということです。恋愛っていうのは、どちらも悪くなくても、うまくいかないときってあるし、お互いに頑張れば頑張るほどすれ違ってしまうときってあるんですよ。

逆説的に言えば、もしあなたたたちに「悪いところ」があるとするならば、「こういうときに『全部自分の責任』『自分が悪いことをした』と考えてしまうような弱さと傲慢さ」なのではないかと僕は思うのです。自分より能力があって、仕事ができて、二人の間に起こったトラブルは「全部自分が悪かった」と考える女……僕だったら、いや、多少なりとも自分にプライドがある男だったら、こんな女性とずっと付き合っていくと「窒息しそう!」です。

 ですから、自責の念に駆られる必要は全くないですが、あまりその「理不尽なコンプレックス」を責めないであげてください。それが「不合理」であることは、本人がいちばんよくわかっているはずです。

 本当は、こういうのって、satさんのパートナーにとっての「成長期の悩み」みたいなものなのかもしれません。仕事で成果を挙げて、自分なりに自信をつけてしまえば、「なんであんなふうに、妻にコンプレックスを感じていたんだろう?」と青かった自分を振り返る日が来るような気もします。
 そうそう、「そんなことわかってるはず」って思わないで、ときどきは「感謝の気持ち」をちゃんと口に出してあげるとベターですよ。

 しかしこのエントリ、「男目線(あるいは、勝手にコンプレックスを感じている側目線)」の非常に身勝手な内容ですね、すみません……

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