番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)
- 作者: 久世番子
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2008/03/27
- メディア: コミック
- 購入: 4人 クリック: 71回
- この商品を含むブログ (103件) を見る
出版社/著者からの内容紹介
作る人も、売る人も、読む人も、
みんなみんな「本」への愛に溢れてました!!
「暴れん坊本屋さん」を描いた番子さんが、友達と本の貸し借りを楽しんでみたり、
本棚に収まりきらない本と戦ってみたり、
本好きのコミカルな生態をゆるゆる描きながら、たま〜に写植職人さんや校正さんといった
本に関係の深いお仕事をしている人達に
のんきに会いに行ってみた、新感覚「本が大好き」エッセイコミック!
2009年度版の『このマンガがすごい!』にさりげなくランクインしているのを見て購入。
こういう「本について書いた本」って大好きなんです。
マンガの絵柄がちょっと苦手なので☆ひとつ引きましたが、これで640円なら、かなりコストパフォーマンスが高いんじゃないかな。
「本」に関わっている人たちのよもやま話がたくさん収められているのですが、「写植屋さん」が、いまでも手動写植機で2862文字のプレートのなかから一文字をすばやく選んで打ち出す作業をしているということに唖然としたり、「校正さん」の仕事の奥深さに驚いたりしながら楽しく読めました。
校正者:あなた 30P,42P,43P,50P,52P,73P,137P,155Pでは「愛してる」と言っているのに、このページと207Pでは「あいしてる」でいいんですか?
(どの単語がひらがなか漢字か全ページをチェック!!)それに対して、著者も校正
「いいんです! ここは感情込めてひらきます!」校正者:他のページは「愛してる」に統一してよろしいですか?
「ええ、おねがいします」
それは6月8日、金曜日の出来事だった。
校正者:この話は何年の設定? 金曜日は2005年、2006年どちらにも該当しませんが
―――というなり、彼は急にきびすを返して
校正者:え? 彼って前のページで座ってましたよ。いつの間に立ったのですか?
僕はこれを読むまで、「校正」って、「誤字・脱字を直す」だけの仕事だと思っていました。
ここまで内容に踏み込んで「正して」いるのか……
よっぽど「読める人」「妥協しない人」じゃないとできない仕事だよなあ。
あと、「国会図書館」のレポートも秀逸です。
「どんな本も揃っている伝説の図書館」である国会図書館なのですが、田舎住まいの僕にとっては、「あこがれの場所」ではありつつも、「具体的にどんなところなのかはわからなかった」のですよね。
この本を読んでみると、「国会図書館」のすごさが伝わってくるのと同時に「ちょっとヒマ潰しに行くような場所じゃないなこりゃ」とも感じました。具体的に「読みたい本や資料」がある人が、それを探す場所なんですね。
ちなみに、国会図書館本館の図書カウンターの壁には、こんな言葉が刻まれているそうです。
真理がわれらを自由にする
おー、『図書館戦争』だ!
「本好き」にはたまらない本だと思います。
たぶん、このエントリをここまで興味を持って読めた人は、手にとっても損しないんじゃないかな。