琥珀色の戯言

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【読書感想】壇蜜×西原理恵子の銭ゲバ問答「幸せはカネで買えるか」 ☆☆☆


Kindle版のみです。

内容紹介
文化人としても活躍するグラビアタレントの壇蜜と、自身の波乱万丈の人生をネタに笑わせつつ人間の魅力を描くマンガ家の西原理恵子に、こんな質問、相談が寄せられました。


「とにかくモテたいんです」
「家庭を壊さず、愛人をつくりたい」
「浮気相手に3Pを求められています」
「いままでで一番ハードだった仕事は?」
「上司から”行き遅れ”」と言われます」
「いままで生きてきてよかったな、と思った瞬間は?」


二人が真剣に、そして赤裸々に答えます。
「心の中に小さな野村沙知代を飼いなさい」(西原)
「とりあえず誰とでも寝てみたらいいんじゃないかな」(壇蜜


大笑いしながらも、ときにホロリ・・・・・・。大好評を博したイベント「文春トークライブ」の書籍化。


 西原理恵子×壇蜜
 接点があるような無いような、そんな二人の対談を電子書籍化したものです。
 ちなみにお二人は、これが初対面だとか。
 西原さんはいろんな方と組んで仕事をされているので、ちょっと意外でした。


 この本、電子書籍版のみで300円なのですが、ボリューム的にも、一般的な紙の本(だいたい200ページくらいとして)の4分の1から5分の1くらいです。
 300円の単行本というのは、紙の書籍だとコスト的に出しにくいのではないかと思いますが(そのおかげで、本編以外に要らない「おまけ」みたいなものが入って冗長になっている単行本って、けっこうありますよね)、こういう「必要な部分だけを、安く提供する電子書籍」というのは、電子書籍のメリットを活かしていて良いなあ、と。
 これが売れたら、対談を追加して紙の書籍化されるのだろうか。


 なんというか、「女性誌(男性誌)やネットのお洒落コンテンツには書かれることのない本音」みたいなのが満載なんですよ。

――2人から同じ質問がきています。
「お付き合いしている男性に対して、もうこれ以上はついていけない、もう我慢できない、というスイッチが入る瞬間はどんな時ですか?」(42歳・女性、46歳・男性)


壇蜜「嫌スイッチ」ですか。


西原理恵子やっぱ金っすよね。


壇蜜お金ですね。


西原:それが現実ですから。以前に聞いた「どんな相手と結婚したいか」というアンケートによると、20代の女性は、こんな回答だったそうです。


 1位:人間的に尊敬できて、価値観の合う人
 2位:尊敬できる人
 3位:高収入の人


それが、40代になると、こんな答えになっていました。


 1位:殴らない人
 2位:低収入でもいいから定職についている人
 3位:できれば優しい人


壇蜜最後の「できれば」にいじましさを感じました。


西原:20年間で現実というものを知るんですよ。働かない男と付き合うと、どんなことになるか。若い頃の私がそうでしたから。どうして、あんな……。もう、タイムマシンに乗って、あの頃の私を殴りにいきたい。なんで働かない男に惚れてたの? と、頭の中にウジが湧いていたんでしょう。


 どこで調べたアンケートなんだ、ソース出してほしい……
 とは思うのですが(西原さんの読者へのアンケートだったら、40代女性はこういう回答をしそうな気がするし)、こういうのが「現実」なのかもしれませんね。
 たしかに「できれば」って、いじましいというか、そこまで妥協しなくても……
 20代から40代までのあいだに、「殴る人」「定職についていない人」「優しくない人」(まあ、優しさについての基準は人それぞれ、っていうところはありますが)と、いろんなことがあったのだろうか。
 金の切れ目が縁の切れ目、とは言いますが、お金があれば、トラブルを避けやすいのは確かですしね。
 お金がないと、生活することそのものに疲れてしまいがち。


 この対談のなかで、「いままでに一番ハードだった仕事は?」という質問が出てきます。
 壇密さんが、「新人時代の撮影のとき、合間に出されたわずかな食べものを、スタッフが全部食べてしまったこと」と答えたあと、西原さんは、こう仰っています。

西原:でも、一番ハードな仕事といえば、結婚でしたね。


壇蜜亡くなった戦場カメラマンの鴨志田穣さんとご結婚されていましたよね。でもそれ、業務ですか。


西原:業務。鴨ちゃんとは仕事でタイにいったとき知り合ったんです。私は結婚なんて興味なかったけど、鴨ちゃんが家に転がり込んできて、「籍を入れたい」と言うから。
 でも、まともな生活ができたのは、半年くらいでした。もともとアルコール依存症だったけど、私に好きになってもらいたかったから、そうでないフリをしていたんです。それで籍を入れて安心だとわかると、病気が出てきちゃった。


壇蜜お書きになったものを読みましたが、本当に大変だったそうですね。


西原:何でこんなことになってしまったんだろう、と思いましたよ。本当に恐ろしい毎日でした。覚せい剤をやって、通り魔事件を起こした川俣軍司みたいな男と同居しているようなものですから。いつでも、ちょっとしたきっかけで暴言を吐きはじめる。すべて被害妄想ですよ。大声、小声で、何時間でも、私の悪口を言う。逆らうと、火に油を注ぐだけだから、その場から逃げるしかない。映画「エイリアン」のシガニー・ウィーバーのようだった。


 自分の家が『エイリアン』の舞台に、か……
 この例えには、思わず笑ってしまったのですが、心の休まる時間がない状態がずっと続くわけですから、本当にキツかったんだろうなあ。
 西原さんは「ふりかえってみると、その10年間(鴨志田さんと結婚してから、鴨志田さんが癌で亡くなるまで)の記憶が丸ごとないんです」と仰っています。
 でもまあ、「結婚」というのは、たしかに「ハードな仕事」なのかもしれません。うまくいっているように見えるものでさえも。

 
 価格も安いし、短時間で読めるので、西原さんと壇蜜さんの邂逅に興味がある方は、スキマ時間にでも読んでみてはいかがでしょうか。
 しかし、このふたりの話が「女性の本音」なのか、「極論」なのか、どっちなんだろうなあ。

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