琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

【読書感想】もっと自由に働きたい ☆☆☆


内容説明
貧乏、ひきこもり、中卒。
逃げてばかりで、コンプレックスの塊の僕は、
ビジネスを立ち上げて「場」をつくり続けることで、
自分の仕事をつくっている。


この本は、厳しいと言われる時代を、
悪ふざけして生き抜くための、
家入一真の「サバイバル・マニュアル」だ。


逃げてもいい。迷惑をかけてもいい。空気は読むな。
とことん自分に正直に生きろ。


110万人が選んだレンタルサーバーロリポップ!」、50万人が愛用する「ブクログ」、国内最大規模のクラウドファンディング「キャンプファイヤー」、海賊スタイルの組織「Liverty」・・・


新しいサービスや組織を生み出し続ける家入一真による、
常識をひっくり返す、新しい働き方マニュアル!


家入さんに対する僕のイメージは、「ああ、あの『studygift』で叩かれた人か」だったのですが、この本を読むと、いろいろ思うところがありました。
正直、すでにアラフォーの僕にとっては、「だから最近の若者は……」と言いたくなるようなこともたくさん書いてあるんですよ。
でも、だからこそ、いま学生で、「これからどうしようか?就職できるのかな……」なんて悩んでいる人は、一度読んでみて損はしない本だと思うのです。
そもそも、家入さん自身も、この本の冒頭で、「全部マネしろというわけじゃなくて、それぞれの読者に、少しずつでも参考になるところがあればいい」というように書いておられますし。


「3年も我慢するな」「空気は読むな」なんて書かれていて、その内容が「上司にペコペコするな」とか「会社のセミナーや会議になんか出るな」だったりすると、「そうだそうだ!」と拍手喝采したくなるのと同時に、「しかしそれだと、よっぽど仕事ができないと、真っ先にリストラ対象になるだろうな……」という気もします。
「一匹狼的な生き方」というのは、けっしてラクではない。


これを読んでいると、「引きこもり、高校中退から上場企業の社長へ!」なんて「シンデレラストーリー」の主として紹介される家入さんには「WEBに関する本を片っ端から読みあさり、勉強していた時期」もあるのです。
「勢い」や「思い切り」は大事だけれど、それだけでは成功は難しい。
やっぱり、「実力」がなければ。


とはいえ、「まずは準備をしっかり整えてから」とばかり考えていると、一生はあっという間に終わってしまいます。

 僕のビジネスの基本はいたってシンプル。小さく、素早く立ち上げて、その都度軌道修正していく。ただそれだけだ。


 小さく――1人で立ち上げて1人でやめるくらいの規模がちょうどいい。
 素早く――とにかくスピード勝負。3ヶ月を目安に形にする。
 軌道修正――常にやりながら考えて、やりながら力もつける。

 
 まずは小さく立ち上げてみることだ。勉強をして知識と技術をつけてから、資金をためてから、人を集めてから……そんな入念な準備は必要はない。立ち上げて、反応を見ながら少しずつ軌道修正して、やりながら形にする。その過程で、力も資金も、人もついてくる。

こういう言葉は、これから何かをはじめようとする人には、すごく参考になると思うんですよ。
僕もそうだけど、「いろいろ言い訳を考えているあいだに、時間はどんどん過ぎていってしまう」ものだから。


この本を読んでいて、いちばん考えさせられたのは、家入さんが「起業した理由」でした。

 僕は、大きな野望があったわけでも、成し遂げたい事業があったわけでもなく、消去法で社長になった。会社勤めが嫌で、結婚して子どもができたタイミングで、妻子を養えるくらいの収入を在宅仕事で得たい、そして家族と一緒にいたい、という思いで起業を思い立った。


 逃げる準備として、僕はやりたいこと、やるべきこと、やりたくないことの3つの軸で考えた。僕の場合は、


 やりたいこと=家族と一緒にいる、
 やるべきこと=家族を食べさせるための最低限のお金を稼ぐ、
 やりたくないこと=会社に勤める


というところからスタートした。

 「起業」というと、バリバリ働いて、自分の城(=会社)をどんどん大きくしていく、という、気合いの入った人がやることだというイメージが僕にはあります。
 でも、家入さんは、「仕事が第一じゃなくて、自分の人生を自分が望むものにするために、コンパクトに起業した人」なんですね。
 「やりたくないことをやらないための起業」か……
 考えてみれば、医者の世界にも、お金をがっぽり稼ぐためじゃなくて、「医局の人間関係が嫌になった」とか「自分がやりたい医療に少しでも近づきたい」という理由で「開業」する人がいるからなあ。
 とはいえ、小さなクリニックひとつをつくるだけでも、やっぱり、一生ものの借金ができてしまうので、そう簡単にやれるものではないですし、「地元の人たちや同業者との人間関係」みたいなものは、ついてくるのですが……


 家入さんのすごいところは、「事業がうまくいった」ときに、「自分は0を1にすることは得意だけれど、1を100にすることには向いていないから」と、社長の座から降りてしまったこと、なんですよね。
 「成功して、うまくいっているようにみえる」ときに、自分の適性を見極めて、ぐんぐん前に進んでいる列車から途中下車するのは、とても難しいことだと思います。
 

 これを読んでいると、家入さんが「studygift」であの女性を最初の対象に選んだ理由もわかるんですよね。
 「才能はあるんだけど、なんか世の中の『常識』的なものにうまくフィットできない人」を応援したいんだなあ、って。
 そして、「人と会うのがそんなに得意じゃない」はずの家入さんの周囲には、家入さんと相性が合う人たちが集まってくるようになったのです(もちろん、そうじゃないめんどくさい人たちもたくさん寄ってきたのでしょうけど)。


 ほとんどの人は、家入さんの真似をするより、誰かが敷いたレールに乗っかってしまったほうがラクなはずです。
 でも、インターネット時代には、こういう「ささやかな自由を求める生きかた」の可能性もあることは、知っておいていいんじゃないかな、と。

 僕は見たくないメールがきたら、下を向いて削除することがある。見たくない未読メールがたまって気が滅入る。そんなときは、モニターという現実から目を背けて、下向いてデリート。たったメール1通で、憂鬱になったり、ビクビクしてしまうくらいなら、見なければいい、気にしなければいい、と僕は思っている。重要なメールはまたくるし、必要なら電話がかかってくる。心配しなくていい。

 いやほんと、たしかにそうなんだと思います。
 というか、そのくらいの「ひらきなおり」って、けっこう大事なんじゃないかな。
 コミュニケーションに不安を感じている人間が、この世界で生きていくためには。

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