琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

【読書感想】面白い本 ☆☆☆☆


面白い本 (岩波新書)

面白い本 (岩波新書)

内容(「BOOK」データベースより)
面白いにもホドがある。書評サイトHONZの代表が太鼓判を押す、選りすぐりの面白本100冊。ハードな科学本から不思議な脱力本まで。いずれ劣らぬ粒ぞろい。1冊読んだら全冊読みたくなる。本代がかかって仕方がない、なんともメイワク(?)なブックガイド。


書店で見かけて購入。
ちょっと薄いな、とか、岩波新書で『面白い本』なんていうのを出すのは勇気があるなあ、とか思いつつ。
昨今、ネットでも少なからず「書評サイト」というのは存在しており(そもそも、この本の著者の成毛さんも書評サイト『HONZ』の人ですし)、700円を出して本の情報を得ようというのも、なんだかちょっと勿体ないような気もしますよね。
でもまあ、そういう時代だからこそ、どんな目論見で書かれているのか、「読書感想サイト」をやっている僕としては、興味もありました。


この新書、タイトルは『面白い本』なのですが、内容は「面白いノンフィクション」です。
ノンフィクションを、科学とか経済とか「生きざま」とかのジャンルに分けて、100冊紹介しています。
年代的には、1990年代以降の、比較的新しいものがほとんどで、誰もが知っている「古典」は採り上げられていません。
こういう書評では、つい「誰もが認める、重厚で力の入ったノンフィクションを中心に」採り上げたくなると思うのですが、なかには「キワモノ」とか「けっこう軽く読めるような本」も紹介されているんですよね。
『なぜ人妻はそそるのか』『死にたい老人』なんて、こういう「100冊」に入れるには、けっこう勇気が要るんじゃないかと思います。
その一方で、『ポル・ポト』とか、『父さんのからだを返してーー父親骨格標本にされたエスキモーの少年』のような「硬派」のノンフィクションも多数紹介されています。

「ノンフィクション」とくに海外の翻訳モノというのは、日本の書評サイトでは比較的採り上げられにくいジャンルでもあり、「こんな本があったのか!」と感心しましたし、既読の本についても、「こんな切り口があったんだな」と参考になりました。


基本的に「面白いノンフィクション」に興味が無い人には、あまり参考にはならない本だと思いますので、読み手をかなり選ぶ内容ではあります。
でも、「本好き」とくに「ノンフィクション好き」には、けっこう役立つのではないかな。


著者は「ビジネス書」について、このような見解を示しています。

 しかし、ビジネスに役立つ本を紹介するのは、この本の趣旨ではない。あえてひと言アドバイスをするなら、いわゆるビジネス書らしい顔をしたビジネス書には時間を取られないようにすることだ。むしろ一見、ビジネスとはほとんど関係がないように見える本にこそ、大きなヒントが隠れていたりするからだ。
 ここで紹介する本のほとんどは、どれもビジネス書ではない。けれども、読みようによっては、ビジネスの世界に通じる教えや示唆が含まれているはずである。本当のビジネス書は、ビジネス書の顔をしていないのである。

 
ちなみに、この新書で紹介されていたもののなかで、僕が「読んでみたくなった本」を3冊、御紹介しておきます。

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