琥珀色の戯言

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本棚探偵の回想 ☆☆☆☆☆

本棚探偵の回想 (双葉文庫)

本棚探偵の回想 (双葉文庫)

[BOOKデータベースより]
好評の古本エッセイ第2弾!神保町で端から順番に古本屋に入り、必ず本を買うというゲームをしたり、出版不況の日本を救うために、5万円握りしめて本屋へ向かう本棚探偵は、相変わらず本と妻と犬を愛しています。映画監督、石井輝男氏との対談「アブノーマルな乱歩世界を極める」も特別収録。函欠けだけど本にまつわるエッセイが盛りだくさんで、ためになって楽しくてとってもお買い得!のはず。

その場しのぎの第一回;
すべては俺の店;
『本棚探偵の冒険』の回想;
編まなきゃ死ねない;
本業?副業?;
日本を救え;
どっきりドキドキ;
本棚探偵の敗北;
誰かトレカを;
夏がくれば思い出す〔ほか〕

 僕はミステリマニアじゃないし、古本屋に足を運ぶ機会も少ないし、某ブックオフもけっこう利用しています。
 でも、そういうレベルの「本好き」にも、十分楽しめる「ただひたすら本のことについて語りつくし、実験しつくしたエッセイ集」でした。「本に関するエッセイ」って、ここまでやらなきゃ商品にならないのか……と唖然としてしまうくらい、喜国さんの本への「異常な愛情」が語りつくされているのですが、逆に、文庫化されるくらい、こういう超マニアックな「古本エッセイ」にニーズがあるということなんですよね。「Amazonで買えるくらいの珍しい本」にしか興味がない僕にとっては、このエッセイで展開される「本マニア」の濃厚な世界そのものがすごく新鮮でした。
 もちろん、ミステリとか喜国さんに興味がある人のほうが楽しめるとは思うのですが、「本好き」「何かにハマっているマニアを自覚している人」にとっても読み応えのある作品です。「くそっ、世の中にはこんなにすごい連中がいるのか……」と悔しがるか、「これは俺にはついていけない世界だ……」と、リアクションは極端になりそうではありますが。

参考リンク:「喜国雅彦スペシャルインタビュー〜潜入!本棚探偵の凄い本棚」
↑で紹介されている喜国さんの「本棚」なんて、もう本当に凄いとしか言いようがない。
マニアとかコレクターというのは、基本的に几帳面で整理整頓好きな人々であるにもかかわらず、モノが多くなりすぎてあふれ出し、整理しきれない、というレベルにならないと「本物」ではないみたいです。僕のようなズボラな人間は、本物の「マニア」になるのは難しそうです。

 しかし、このエッセイを読んでいると、「喜国さん、いつ『本業』のマンガを描いているんだろう?」と疑問になってしまいます。というか、ご飯すら食べていないんじゃないかと思ってしまうくらいの「古本生活」っぷり……

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