
- 作者: 前田亮一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/01/19
- メディア: 新書
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Kindle版もあります。

- 作者: 前田亮一
- 出版社/メーカー: 光文社
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内容(「BOOK」データベースより)
UFO、UMA、超能力、心霊写真、ピラミッド・パワー、ムー大陸などの70年代オカルトは、どこから来て、どこに向かったのか?本書は、筆者が子供時代に体験した昭和オカルトブームの検証から始まり、その発祥をたどり、日本で“オカルト”と呼ばれているものの実態に迫ろうというものである。そこからみえてくるのは、社会現象としてのオカルトブームに映し出される戦後日本や僕らの姿なのだ。ネット時代の今、個人はオカルトの自由ともいえる状況を謳歌している。混迷する21世紀を生き抜くためにも、きみもオカルト好きをカミングアウトしようではないか!
僕は1970年代のはじめに生まれたので、この本で扱われている「戦後(太平洋戦争後)オカルト」の洗礼をリアルタイムで受けてきました。
小学校時代に「ノストラダムスの大予言」を知って、「ああ、1999年に世界は恐怖の大王(=たぶん核戦争だと思っていました)によって滅ぼされてしまうんだ。30年も生きられないのか……なんて時代に生まれてしまったんだ!こうなったら、貯金とか勉強とかせずに、遊びまくってやるぜ!!」と思っていたんですよね。
……来なかったじゃないか、恐怖の大王!どうしてくれる……
というほど、ずっと信じていたワケじゃないのですけどね(『と学会』の本も読んだし)。
とはいえ、この本を読んでいると、あの頃のオカルトに染まっていた僕の子供時代が頭に浮かんできます。
UFO、ユリ・ゲラーのスプーン曲げ、「魔の海域」バミューダ・トライアングル、ピラミッドパワー、心霊写真、『大霊界』!
ホントかよ、と思いつつも「コックリさんで出てくる霊は低俗なやつだから、とりつかれたらとんでもないことになる」とかいうのが忘れられなかったり、マスクをしている若い女性をみると「口避け女……?」とか、つい考えてしまうのも事実です。
口避け女は100メートルを5秒で走る、と言われていて、事実であれば、オリンピックの陸上競技に出場すればいいのに、とも思っていました。カール君より速いぞ。
日本で俗に「オカルト」と呼ばれているものは、世界的には「パラノーマル(超常現象)」といわれているものと考えたほうがいいだろう。もともと、オカルトという言葉は「隠されたもの」を意味する。その源泉を辿ると、ヨーロッパの神秘学(オカルティズム)に行き着く。
この新書では、さまざまなジャンルの「戦後オカルト」について、それが世界で流行った時期と、どのようにして日本に伝わってきたのか、どんなブームを巻き起こしたのか、が紹介されています。
著者は「UFOブーム」について、このように述べています。
まず強調したいのは、アメリカに始まる一連のUFOブームの最初のピークは1950年代であることだ。それに比べると、70年代に巻き起こる日本のブームは、20年もの大きな時間的ギャップがあった。
戦後の「オカルト」は、海外からの輸入ネタが多くて、翻訳等の関係で、アメリカや欧米で流行してから、かなり時間が経って日本に入ってくることも多かったのです。
あの『ノストラダムスの大予言』も、原典を忠実に訳したものではなく、五島昇さんの「超訳」だったことが紹介されています。
そもそも「1999年に人類が滅亡する」なんてことは、ノストラダムスは言っていないのです。
ほんと、ネットが普及した時代だったら、大炎上してたはずなんだけど、当時はけっこうみんな本気で信じていたんですよね(僕だけ?)
ただ、今から考えたらバカバカしく思えるようなこんな「予言」には、こんな時代背景があったのです。
日本のオカルトブームが、70年代におけるテレビメディアの隆盛にけん引されてきたとするなら、欧米では、米ソ冷戦の不安こそがオカルト熱を煽ったというべきだろう。
第二次世界大戦が集結した1945年から、ベルリンの壁が崩壊する89年までの44年間、アメリカと旧ソビエト連邦は、核ミサイルによる第三次世界大戦勃発の危機を孕みながら、鉄のカーテンによって共産圏と西側諸国に世界を二分して、対峙し続けていた。だからこそ、「もし米ソの全面核戦争が起こったら、人類は滅亡する」といういい知れぬ不安が一般民衆に広く蔓延し、アメリカ、ヨーロッパにおけるオカルトブームの根底を支えていたのだ。
70年代から80年代前半くらいまでは、「米ソの核戦争で、人類が滅ぶ」というのは、ものすごくリアリティがあったんですよ。
「地球上には、人類を何十回も絶滅させられるくらいの核兵器がある」と何度も繰り返されていましたし。
今の子供や若者たち、ベルリンの壁崩壊後に物心ついた人々には、そんな「危機感」って、信じられないのではないかなあ。
そんな荒唐無稽なオカルト、とは言うけれど、それが流行るためには、それなりの事情、時代背景みたいなものもあるんですよ。
また、ユリ・ゲラーに直接会った著者の印象として、
確かに、ゲラーのまわりには、常に不思議なことが起こりそうな雰囲気が充満している。この人はやはりただものではない。それが本人と直に会ってみた素直な感想である。
と書かれています。
もちろん、「先入観」の影響はあるのかもしれないけれど。
その後、ゲラーはロンドン郊外に住み、最近では、もっぱらネットを通じてファンや支援者たちからの悩み相談や問いかけに応じている。さらに2013年、イギリスBBCのドキュメンタリー『The Secret Life og URI GELLER(ユリ・ゲラーの秘められた人生)』で、ゲラーが長年アメリカの超能力スパイとして活躍していたことを公表して、世界的な話題となっている。アメリカとロシアの核軍縮交渉において、当時副大統領であったアル・ゴアとともにロシアに出向き、ロシア外交の調印の場では、核軍縮交渉にサインするようにテレパシーを送り続けたという。また、長年ゲラーを悩ませ続けた(ジェームス・)ランディらとの超能力の真偽をめぐる論争は、アメリカ政府の極秘任務の絶好のカモフラージュとなってきたとも語っている。
本当なのか、その「超能力スパイ」って……
溺れるものは藁をもつかむ、というと失礼かもしれませんが、政治の世界で、有力政治家が占いに頼る、なんていうのはよく聞く話でもあり、信じていたかどうかはさておき、「やれるだけのことはやる」ために、ユリ・ゲラーさんを登用していた可能性はありますよね。
こういう「オカルト的なもの」が全部ウソかというと、自然界ではシーラカンスのような「そんなのいるわけないだろ、と思うような生物」が実在していることもあるわけです。
ツチノコやイエティやネッシーだって、「まだ見つかっていないだけ」という可能性はある(念のため書いておきますが、僕はこれら3種の実在については、極めて懐疑的です)。
実のところ、ダイオウイカは過去においては、海の怪物クラーケンと呼ばれて恐れられた立派な未確認生物だった。その大きさや外観のインパクトは、まさに特撮の怪獣を実体化したような迫力で、誰もが興味をそそられる人気者であったのだ。
生きているダイオウイカが海中で撮影されて、大きな話題になったのは、2012年のことでした。
クラーケンは、生きていた!
未確認生物の存在を証明するためには、その個体をひとつ見つければ済むことです。
しかしながら、「存在しないこと」を証明するのは難しい。
そういう生物が地球のどこかにいてほしい、という、人々のロマンもありますしね。
なにぶんにも採りあげられているオカルトの数もジャンルも様々なので、個々の事例についてあまり深くは触れられてはいませんが、「戦後日本のオカルト史」を概観するというか、ひらたくいえば、「ああ、子供のころ、こんなのあったよなあ!」という話が次々と出てきて飽きません。
丹波哲郎さんの『大霊界』なんて、ずいぶん昔の話のような気がしていたのですが、映画が大ヒットしたのは1989年で、僕が高校生くらいのときだったのか……
まあ、思い返してみると、みんなが真剣に受け止めていたというより、「丹波さん、どうしちゃったんだろう……」という雰囲気だったような記憶もありますが。
ネットですぐに「検証」されてしまうこともあって、昔ほどオカルトは流行らなくなりましたが、「オカルト的なもの」は、けっして滅んでもいないんですよね。
最近では、「都市伝説」ブームがありましたし、『ダ・ヴィンチ・コード』も「オカルト的」な内容ですし。

- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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