- 作者: 大山誠一郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2018/09/07
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- 作者: 大山誠一郎
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内容紹介
殺人を告白して死んだ推理作家のアリバイとは!? 新米刑事が思わず通う、鮮やかすぎる謎解き――。時を戻すことができました。アリバイは、崩れました――。美谷時計店には、「時計修理承ります」だけでなく「アリバイ崩し承ります」という貼り紙がある。「時計にまつわるご依頼は何でも承る」のだという。難事件に頭を悩ませる捜査一課の新米刑事は、アリバイ崩しを依頼する。ストーカーと化した元夫のアリバイ、郵便ポストに投函された拳銃のアリバイ、山荘の時計台で起きた殺人のアリバイ……7つの事件や謎に、店主の美谷時乃が挑む。あなたはこの謎を解き明かせるか?
古本屋に喫茶店に今度は時計店か……
若い女性が主人公の安楽椅子探偵ものは、もうすでに「ヒットの公式化」されているようにさえ思われます。
この『アリバイ崩し承ります」は、商店街にある時計店が舞台なのです。
「――あの、この『アリバイ崩し承ります』っていう貼り紙、何ですか?」
「当店では、先代の店主の方針で、時計にまつわるご依頼は何でも承るようにしております」
「――アリバイ崩しは、時計にまつわる依頼ですか」
「はい」
彼女は真面目な顔でうなずくと、
「アリバイがあると主張する人は、何時何分、自分はどこそこにいたと言います。つまり、時計がその主張の根拠となっているのです」
「まあ、そうですね」
「ならば、時計屋こそが、アリバイの問題をもっともよく扱える人間ではないでしょうか」
恋愛要素がほとんどなかったり、キャラクターに頼らずに「アリバイ崩し」をパズル感覚で楽しめたり、という点では、「気分転換のための読書には向いているミステリ」だとは思うのです。
その一方で、「鉄壁のアリバイ」をつくりあげるために、かなり無理があったり、そんなのよっぽどの偶然が重ならないと破綻するだろうと突っ込みを入れたくなったりする場面が多々あるのです。
僕がこれを読んでいて思い出したのは、カプコンの『ゴーストトリック』というゲームで、「風が吹けば桶屋が儲かる」的に、幽霊になった主人公が、ピタゴラスイッチのようにさまざまなものを組み合わせて動かし、事件を解決していく、という内容です。
読んでいると「こんなの読者が与えられた情報で、わかるわけないだろ!しかもこの犯人たち、運が良すぎるだろ、『逆転裁判』みたいな理不尽トリック連発だぞ!」と叫びだしたくなるんですよ。
個人的には、第1話を読んで、「それ、司法解剖をあまりにも甘く見ているのでは?というか、その状況だったら、積極的にみるつもりがなくても、『わかる』だろうよ……」とがっかりしてしまい、どうも乗り切れないところがありました。
そもそも、捜査一課の刑事が民間人に捜査情報を漏らしまくる、というのはあまりにもひどい(それには、作中でセルフ突っ込みも入っているのですが)。
時計店が舞台のわりには、時計に関する蘊蓄が語られているわけでもないのです。
ただ、『ゴーストトリック』や『逆転裁判』が、トリックが理不尽だからつまらない、というわけではなくて(僕は『逆転裁判』大好きです)、1篇が30ページくらいの、気軽に読める推理パズル短編の連作として、「これはさすがに無理だろ!」とか突っ込みを入れながら読むには「ちょうどいい」ような気もします。
正直、文庫の価格で読めば、まあ合格かな、という感じなんですよね。
- 作者: 大山誠一郎
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- 作者: 三上延,交田稜
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