琥珀色の戯言

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【読書感想】魔眼の匣の殺人 ☆☆☆☆

魔眼の匣の殺人

魔眼の匣の殺人


Kindle版もあります。

魔眼の匣の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

魔眼の匣の殺人 屍人荘の殺人シリーズ

内容紹介
あと二日で、四人死ぬ――
閉ざされた“匣"の中で告げられた死の予言は成就するのか。
ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ待望の第二弾!

その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。


 『このミス』1位など、ミステリランキングを席巻し、先日は実写映画化もされた『屍人荘の殺人』のシリーズ第二弾。
 前作は、巨大な矛盾というか、あまりにも異常な設定を笑って受け入れられれば、けっこう面白い作品だったと思います。


fujipon.hatenadiary.com
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 前作で最大の謎でありながら、華麗にスルーされていた「なぜ、あんなもの(?)が多量に出現することになったのか?その目的は何だったのか?」が、ここでついに明かされることになるのか……と期待していたんですよ。
 ところが、ついに発表された、この『魔眼の匣の殺人』は、むしろ、「またなんか『飛び道具』が追加されている……」という感じでした。
 その飛び道具は「予言」。
 「絶対当たる予言」vs「絶対事件を解決する、天才少女探偵・剣崎比留子」
 と言いたいところなのですが、まあなんというか、葉村譲と剣崎比留子のやりとりや個性的な新キャラクターも含めて、「小説としてはノンストップで読み終えてしまうくらい面白いのだけれど、これって、あまりにも偶然に頼り過ぎているのではないか」あるいは「いまの小説で、『密室』をつくるのって、やっぱりキツいよなあ」と再認識させられる、というミステリなのです。
 「携帯電話を通じなくする」というだけでも、けっこう難しいよね。今は、けっこう高い山のなかでも使えることが多いから。
 というかこれ、クローズド・サークルの作り方とか設定とか、『逆転裁判』シリーズ、とくに『3』の最後のエピソードを思い出すなあ。
 2020年度の「このミス」1位の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の設定は『逆転裁判6』みたいだったし、最近のミステリは、ゲームやアニメやライトノベルからの「逆輸入」的なものが増えてきたというか、そちらのほうから「小説を書くようになった」人が多いのかもしれませんね。
 重要そうな、というか、シリーズの鍵を握っていそうにみえるキャラクターが「出オチ」っぽい仕打ちを受けるのも、このシリーズの特徴ではあります。
 もったいない、のか、容赦ない、のか。『ダンガンロンパ』っぽいかも。

 設定はトンデモ、その設定内での謎解きは本格派、というこの『魔眼の匣の殺人』、その「トンデモ設定」を受け入れられるか、というのが、楽しめるかどうかの大きな分岐点になると思います。
 そもそも、「予言」なんて、みんな偶然かトリックだろ、でもこれ、どんなトリックなのかな……

 それに対する著者の「答え」は、正直、スッキリしないというか、「それって、『有り』なの?」と言いたくなるようなものではありました。
 でも、世界設定にもトリックにもリアリティを追求しつづけると、携帯電話やDNA鑑定、監視カメラやNシステムが無い時代の話にするか、警察の内部の人間関係とか仕組みを書くようなミステリ(『64(ロクヨン』みたいな)しか、現代では成立しなくなってしまいます。
 「リアルだけれどつまらないミステリ」よりは、「設定にはツッコミどころ満載だけれど、楽しく読めるミステリ」のほうが僕には向いている。
 作者も、開き直って、「今度はどんな『ありえない設定』を使って、クローズド・サークルを作ろうかな」って、ニヤニヤしているのではなかろうか。

 ちなみに、この本のオビに、映画『屍人荘の殺人』で葉村役の神木隆之介さんが推薦文を寄せていて、「撮影期間中に、この『魔眼の匣の殺人』を読んで、浜辺美波さんと推理対決をしていた」そうです。
 僕も浜辺さんと推理対決してみたい!
 
 
fujipon.hatenadiary.com

屍人荘の殺人 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: カプコン
  • 発売日: 2019/02/21
  • メディア: Video Game

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