琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

もし、あなたが本当に「読んでほしい」と思っているならば


ブログを始めてからアクセスが伸びるまで - 北の大地から送る物欲日記

↑のエントリを読んで考えたこと、あるいは、6年間個人サイト&ブログをやってきて、今感じていることなどを取りとめもなく書いてみる。

もう、個人サイト業界への「新規参入」の時代は終わった
↑の「終わった」というエントリで、逆に少しだけ「始まってしまった」のがこのブログだというのは皮肉な話ではあるのだけれど、「新規参入」というのは、年々厳しくなっているのではないかと思う。

id:hejihoguさんが書かれている、

私の感覚だと、今も数年前もブログの新規参入の障壁はさして変わっていないように思える。というのは、いろいろと試してみたいことがあったりして、実験的にいくつかのブログサービスで新規ブログを作成していたりするのだけども(全く別ハンドルでこことは関係のない内容)、ブログ開始当初にくるアクセスが数アクセス〜数十アクセス/日という状況が私が最初にブログを始めた2003年頃から変わっていないから。

 この点に関しては僕も同じ見解だ。実は「立ち上げ時のアクセス数」というのは、数年前も今もあんまり変わってはいないような気がする(僕も何度かリセットして別ブログを立ち上げたことがあるのだけれども、そのくらいの数だった)。そもそも、ブロガーの数は3年前に比べると激増したのではないかと思われるが、「個人ブログを好んで読む人の数」はそんなに変わっていない印象を受けるし、彼らだって1日は24時間しかないのだ。
 昔話をさせてもらえば、ブログ以前の個人サイトの「厳しさ」はもっと壮絶なもので、「新しく更新されたブログのリスト」も「キーワードリンク」も無い時代の個人サイトというのは、よっぽど運の良い例を除いては、『Read Me!』や『日記才人』などで、自ら「宣伝」しないと本当に「1日6hot」(そのうち半分は自分)だった。しかしまあ、宣伝してみたところで、6が10とかせいぜい20とかになるくらいのものだったのだけれども。
 そういう意味では、「立ち上げの段階では少しラクになった」とも言えるのだが、その一方で、「新規参入者のモチベーションを上げられるようなシステムを、この数年間、ブログサービスは生み出せていない」というのも、厳然たる事実なのだ。さまざまなブログサービスのなかで、新規参入者が恩恵を受けやすいものといえば、「キーワードリンク」「新着報告あるいは紹介」くらいのもので、これは数年前から全然かわっていない。
 ある意味、数年前の「ブログ新規参入ブーム」なんていうのは、「モーニング娘。」のオーディションみたいなもので、勢いがあった時期には、「自分もモーニング娘。に入れるんじゃないか」と期待した人たちが一斉にオーディションを受けていたが、実際にそう簡単にライバルたちを蹴落として受かるわけもなく、そうこうしているうちに、「モーニング娘。にたとえ入れたとしても、あんまり良いことなんてなさそうだ」ということにみんな気が付いてしまった、というのが今の状況ではないだろうか。

 そもそも、「ブログ」が主流になってからは、「そこそこの数の人が来てくれるブログ」を維持していくのもけっこう大変なのだ。
 大手サイトからの「エントリ単位のリンク」に乗ってやってくる人の多くは「目当てのエントリ」さえ読めればあとはもうそのブログのことなんてどうでもいいと考えている。ひとつのエントリがホットエントリになって何千人もの人が来たと思ったら、その翌日は1時間にひと桁の人しか来ない、なんてことはそんなに珍しいことじゃない。いわゆる「アルファブロガー」以外の「中堅どころ」にとっては、「とにかくずっと泳ぎ続けないと死んでしまう」のだ。でも、ここから「上を目指す」ためにはどうしたら良いかも全然わからない。

 それに、ブログを運営している側からみると、「アルファブロガーたちは、『こいつまともに働いているのか?』と疑問になるほど、エントリに手間と時間をかけている」のがよくわかる。もちろん、みんながみんなそうである、というわけじゃないんだけれども。
 そして、「アクセスが少ない」ことを嘆いているブログの多くは「内容なりのアクセス」でしかないのだ。以前書いた『弓道の話』のように。

 「なぜ自分のブログは、内容は良いはずなのに人気にならないんだ?」と悩んでいる人に、僕はひとつだけアドバイスらしきことをしておきたい。
 「やっぱり、少しくらいは恥ずかしい思いをする覚悟がないと、他人に読んでもらうのは難しいよ」
 僕が今まで見てきた「人気サイト」「人気ブログ」で、本当に「独立独歩で、全く宣伝もせず、トラックバックも送らないのに自然発生的に人気が出たブログ」というのはほとんどない。たぶん、皆無なんじゃないかと思う。
 みんな立ち上げの時期には、「大手」にトラックバックを送ったり、他のブログ(サイト)のコメント欄に書き込んだり、アクセスランキングや『テキスト庵』『Read Me!』に登録して扇情的な「更新コメント」をつけたりしていたのだ。僕も「一発太郎」とかでがんばって宣伝していた時期があるし、このサイトに来てくれる人のうち何人かでも、うちに流れてきてくれないかなあ、と思いながら、BBSに書き込んでいたりもした(だから、僕は基本的にうちのブログでも、ちゃんと内容を読んだ上で書かれていると判断した「宣伝っぽいコメント」には、なるべく寛容でありたいと思っている(さすがにあまりにも度重なる場合やスパムだと判断した際は、それなりの対応をしているのだけれども)。残念ながら、その多くは「ムダどころか多量のスパムメールの原因になった」だけなのだが、そこで宣伝していなかったら、たぶん今もこうして書いていることはなかっただろう。

 芥川賞の受賞者インタビューで、川上未映子さんが、「最初に本を出したとき、『ダ・ヴィンチ』の編集長に、自分から売り込みに行った」という話を読んで、僕は驚いてしまった。「女を武器にしているんじゃないか?」というような不快感もちょっとあったんだけれども、そのくらいの覚悟がなければ、あれだけの才能でも、そう簡単には「頭一つ抜け出す」ことすらできないんじゃないか、と思い知らされた気がした。
 「奥ゆかしさ」は人間としては大きな美徳だが、「たくさんの人に読んでもらおう」というような「厚かましい願望」を満たそうとするのならば、自分の「プライド」という名目の「羞恥心」をとりあえずちょっと捨ててみたほうが良いんじゃないかと思う。
 もちろん、「大手」ではなくても、良質なエントリを生産し続けている人もたくさんいるのだろうし、僕はなるべく「そんなに大手ではない人」が書いたものを紹介したいと考えているのだけれども、現実問題として、「売り込みをしたり、新人賞に応募したりする覚悟もないのに、『世間は自分の才能を理解してくれない』なんてボヤいていてもしょうがない」のだ。
 「良質の記事を書き続ける」のはもちろんだけれども、積極的に他所にコメントを書いたり、トラックバックを送ったり『テキスト庵』に登録するくらいの「覚悟」はないと、誰もいちいち君を探しに来てくれないにきまっているのだ。
 ただし、宣伝をするというのは、常に「イヤな奴を呼び寄せてしまう」というリスクと背中合わせだということも忘れずに。

 新規参入の障壁は、はっきり言って、かなり高い。既成の勢力だって、左団扇で過去の財産を食いつぶしながら暮らしているわけではなくて、それなりに努力をしているのだし。ブログもすでに「社会の一部」なのだから、新人作家や新興企業に対して、既成の勢力がわざわざ道を譲ってやったりするものか(まあ、ある程度は「共存」も可能ではあると思うが)。

 ブログという趣味が今後生き残っていくためには、ある程度「新規参入の可能性」が無いと辛いのではないかな、とも僕は感じているし、個人サイト文化の初期の段階では、そんなに宣伝しなくても、拾い上げてくれる人がけっこういたような気もする。
 だからこそ、ネット上では、これまであまり表に出ることがなかった「自己顕示欲がそれほど強くない人たちの、今までだったら机の中に埋もれていた表現」が大きく採り上げられ、いままでの「典型的な表現者たちの表現」とはやや違ったタイプの作品が世に出てきていたのだ。
 そういう意味では、最近のブログというツールは、あまりに「現実的」になりすぎていて、ちょっとロマンがないよな、とも思う。実際には、こういうのが「奥ゆかしい方向」に回帰することはほとんどないというのは、「メールのみのネット恋愛」が、デジカメの普及であっという間に「じゃ写真送って」に駆逐されてしまったことでも明らかなのだけれども。

 ああそうそう、ブログに新規参入しようという人にもうひとつ。「とにかく書くことそのものが楽しい(ときどき苦しくなることはあっても)」という人以外にとっては、けっこうめんどくさいだけの世界ですよここは。

 

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