琥珀色の戯言

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【読書感想】謎のあの店 1 ☆☆☆☆


謎のあの店 1 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

謎のあの店 1 (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)

内容紹介
時が止まっているかのような、佇まいからして尋常じゃない。でも、気になる。


アナタの行くいろんな所。そこに、なんだか気になる『謎のあの店』はありませんか?


その醸し出している雰囲気が心にひっかかって抜けない店。入ってみたい。こわいけど。。。


その心、果たしてきました!
なぜか気になる怪しげなお店に突撃レポ!



“鉄"づくしのあの立ち飲み、
ホンモノの猛禽を愛でるあのカフェ、
男女の激情が交錯するあの居酒屋、
強烈店主が出迎えるあのバーガー屋、


個性あふれるあの店あの街を著者独特の視線で描いた実録エッセイ。


一度読んだら病みつきになること間違いなし!!


5年前に『あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します』という本の感想を書いたことがあるのですが、僕は昔から「お客がいるとは思えないのに、なぜか潰れない店」が気になってしょうがなかったのです。
「あの店のなかは、どうなっているんだろう?」って。
とはいえ、実際にその店に入ってみる勇気もなく、いつの間にかその店が潰れてしまっていることがほとんどなので、こういう本を見かけると、つい手にとってしまうのです。

ああ、こういうのがすごく気になっているのって、僕だけじゃなかったんだなあ、って。


このマンガで採り上げられているのは、どこの町にでもあるような「なぜかずっと潰れないお菓子屋さん」や「誰が散髪に来るのか想像もつかない美容院」などですが、どの店も、「達人の元で修行する前の『愛の貧乏脱出作戦』級」ではありません。
すごく古かったり、店主の独自性があふれているものの、読んでみると「ああ、きっとこの店には固定ファンがいるんだろうなあ」と微笑ましくなる店がほとんどです。
もちろん、僕がそう感じたのは、作者が「潰れてもおかしくないような店を面白おかしくレポートする」というのではなく、そういう「どんな人がやっていて、どんなお客が来ているのか想像もつかない店への興味と愛着」を持って、「自分の店」として描いているからなんですよね。


僕はこのマンガで紹介されている「あのハンバーガー屋(立岩バーガー)」の話が大好きです。
「リンダ困まっちゃう お客も困まっちゃうバーガー ¥100」
こんな店に突入して、この「リンダ困まっちゃう……」を、つい買ってしまう人なんですよ作者は。
(ちなみに「好みはあると思いますが、素朴な味でおいしい」と書いておられます)


こういう店って、きっと、作者のような「面白い人がやっている店を、放っておけない人」たちが支えてきたのでしょうね。


ただし、単に「変なもの好き」ではない、「観察眼」を著者が持っているのも事実です。
「謎のあの店」の「ストーリー」を感じることはできても、そのストーリーの登場人物にはならない、という一線をきちんと引いて、どこか客観的に眺めている、そんな雰囲気もあるのです。


「あのガード下の居酒屋」の回で、優しい手料理自慢のおかみさんを、作者と友人はこう評します。

「自分ちの女房より ココのお母さんの方が安らぐよね…」
「圧倒的だよ!」


 グチ聞いてくれて なぐさめてくれて
 実在しないよ そんな女房
 おとぎの国だよここは 癒しのテーマパークだよ…

「通うのもわかるわ」
「プロのお母さんだよ」
「そう!プロの!」

 僕は飲み屋などで、自分の血縁でもない人を「おかあさん」って呼ぶ男が、とても苦手なんです。
 本物の「お母さん」に失礼なんじゃないか?って(マザコンなのかな……)
 僕自身が自分の母親をもう亡くしてしまっているからなのかもしれませんが……

 
 これを読んで、なんだか合点がいったんですよね。
 ああいう場での「おかあさん」っていうのは、「『プロのお母さん』の源氏名」みたいなものなんだな、って。


 でも、「のめりこめない」のは、本人にとっては、ちょっと淋しいことなのかもしれませんね。
 作者もこのストーリーの登場人物になってしまえれば、もっと楽しいのだろうけど、それだとこんなマンガは描けないだろうなあ。

 
 同好の皆様、もしいらっしゃったら、ぜひ一度読んでみてください。
 とはいえ、これを読んでもやっぱり、僕はなかなか「あの店」に入る勇気が出ないんだよねえ……


あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します (UNPOCO ESSAY SPECIAL!)

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