日本全国 ソウルフードを食べにいく (文春文庫 い 96-1)
- 作者: 飯窪敏彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/10/09
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- 作者: 飯窪敏彦・写真・文
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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内容紹介
地元では日常的に親しまれているのに、一歩その土地を離れると、なかなかお目にかかれなくなる「食」。郷土を離れた人たちが帰郷して、いの一番に食べたいと思う「食」―
そんな愛すべき日本全国の〈ソウルフード〉を写真と文で紹介!
帯広の豚丼・仙台の冷し中華・会津若松のソースカツ丼・富津のあなご丼・名古屋の小倉トースト・博多うどんなど、メジャーなものから、ハントンライス・えびめし・白熊・ホルモン焼きそばまで――人々と店が長い時間をかけてつくりあげた、情熱・魂がこもった土地の味をお試しあれ。
故郷の「ソウルフード」か……
うちは父親、僕と親子二代の転勤族で、「ここが故郷」と言えるような場所はありません。
それでも、なのか、だから、なのか、こういう「各地方の食べ物、しかもB級グルメ的なもの」には、ものすごく惹かれてしまうのです。
「名物にうまいものなし」なんて言いますし、シラス丼みたいに、鮮度が必要不可欠というようなものでなければ、いまの日本で、「本当に美味しい地方の名物食」は、なんらかの形で全国区になってしまうのではないか、とも思うんですよ。
でも、この本を読んでみると、意外と全国各地に「ソウルフード」って、あるものなんだなあ、と。
僕自身が普段から行っているうどん屋さんが、「福岡の博多うどん」のひとつとして紹介されていたんですよね。
ああ、こんなふうに、地元の人からすれば、名物とか名店とかいうようなイメージを持たずに普段使いしている店こそが「ソウルフード」なんだよなあ。
この本、そんなに分厚くはないのですが、日本全国のそういう食べ物や提供している店が、美味しそうな写真と一緒に紹介されています。
空腹時に読むのは避けたほうが良いかもしれません。
これ美味しそう!近くに行ったら食べてみたい!と思うものはいくつもあるのだけれど、それを食べるためにわざわざ飛行機や新幹線に乗る勇気は出ない、それが「ソウルフード」なんだよなあ。
ちなみに、前述のうどん屋さんの他に、僕が行ったことがある店は、3件ありました。
しかし、ソウルフードだからといって侮れず、函館の『ラッキーピエロ』(有名ですよね。僕も行ったことはないけど知ってます)は、函館市内とその近郊に17店舗があるそうなのですが、その売り上げがすごい。
全店で一年間にこのバーガー(チャイニーズチキンバーガー)がいくつ売れるかお教えしましょう。
三十万個です!
いやまあ、『ラッキーピエロ』は例外なのかもしれないけれど、そんなに売れているものなのか、と。
御当地「ソウルフード」にもいろいろあって、季節限定、数量限定のものもあれば、こんなに売れているものもあるんですね。
会津若松のソースカツ丼もすごい。
カツが軒並み皿からはみ出してるし。
個人的には、カツ丼は、あまりにもカツが分厚すぎると、ご飯とのバランスが悪くなるような気がするのですが、どんぶりから天高くそびえたっている、『むらい』の「ロースカツ丼」などは、「ここまでやられると、もう参りましたとしか言いようがない」のです。
どんな人が、どんな顔をして、この巨大なカツ丼に向き合っているのだろうか……
京都のオムライス文化なんて、この本ではじめて知りました。
「オムライスには何もかけない。玉子料理だから何かかけたら玉子の味が消えてしまう」と言うのは「グリル冨士屋」の主人。これも立派な見識で心から敬服する。玉子を焼き上げる時間と、ケチャップご飯に入る牛肉には厳しく、「京都の洋食屋は牛肉にこだわる」と精肉店に自ら足を運んでいるのだ。
「オムライスには、ケチャップやデミグラスソース」というのも、いわば「先入観」なわけで、たしかに、それは玉子の繊細な味を殺してしまうのかもしれません。
正直なところ、オムライスにそんなに肩肘張りたくないなあ、というのもあるのですが。
豚丼、ソーキそば、白熊……
読んでいると、本当にいろいろ食べてみたくなったり、以前食べたときのことを、懐かしく思い出したり。
こういう本で気分転換をするのって、僕はけっこう好きです。