琥珀色の戯言

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【読書感想】これからを稼ごう: 仮想通貨と未来のお金の話 ☆☆☆☆


Kindle版もあります。

内容紹介
お金は変わる。そしていずれ「なくなる」ーー。2017年、バブルを迎えた仮想通貨市場。
だが、その本質は投機対象でも決済手段でも、あるいはブロックチェーンという技術革新ですらない。
お金という存在の正体に皆が気づき始めたことこそが、革命なのだ。ビットコインが目指した自由、イーサリアムがもたらす大変革、そして新しく訪れる個人と会社・国家との関係性とは。
仮想通貨から学ぶ「これからの経済学」。


 堀江貴文さんによる「仮想通貨とお金の話」。
 僕は投機としての仮想通貨には、完全に出遅れてしまったこともあり、手を出してはいないのです。
 ただ、ブロックチェーンの技術を含む、理念としての仮想通貨には魅力を感じているんですよね。
 とはいえ、ドヤ顔で仮想通貨を勧めてくるネット有名人たちをみると、仮想通貨そのものも、なんだか信用できないような気がしてきます。
 堀江さんは、「今の世の中で、普通の生活をしていたら、100万円をこえる札束を目の当たりにする機会なんて、1年に1回あるかどうか」だと仰っていますが、確かにそうで、給料は銀行への振り込みだし、大きな買い物はカードや口座振り込みで行うことが多いですよね。
 物々交換から、珍しい貝や石、それから金や銀、それが紙幣になって、今では、電子マネーやクレジットカードの利用が多くなっています。
 昔の人にとっては、クレジットカードだって、仮想通貨みたいなものにみえるのではないでしょうか。
 これまでの通貨には、国が価値を保証してくれるという強みがあるのだけれど、それは、僕が日本という国の、比較的政治的・経済的に安定した時代を生きてきたからであって、自国の通貨が信頼できない、という人たちも、世界中には大勢いるのです。


 僕は現状、「評価経済社会」というのは、有名人の錬金術みたいなものだとしか思えないのですが(VALUとかを発行している人と、売ったあとのその人の行動をみていると、ね)、堀江さんが書いておられるように「国が価値を保証してくれているわけではない通貨的なもの」というのは、すでに身の回りにあふれているのです。

 サービスを提供したい側が、貨幣の代わりにトークンを発行し、それをユーザーが購入することによってトークンに価値が生まれる=上がる。この価値がついたトークンを通貨に見立て、取引を行うので、トークンエコノミーが成り立つ。


(中略)


 トークンエコノミーと、既存のビジネスモデルの大きな違いは、経済圏がネットワーク内で完結していることだ。
 これまでのビジネスモデルでは、国家が円やドルなどの法定通貨を発行して、企業や個人はその通貨でプレイヤーとして、ビジネスや生活を行ってきた。この枠組みの中では通貨発行者と、生産者と消費者は厳密に区別されている。
 一方、トークンエコノミーでは、国家ではなく特定のネットワーク内で流通する独自の通貨を、生産者が発行する。そこで発行されたトークンを基に、国から独立した経済圏を作り出せる。
 経済圏内の通貨となるトークンを、独自のルールで流通させる。そのルールは企業や個人や組織が自発的に考えて、自由に設計できる。国家が担当してきた経済運営の縮小版を、トークンを用いて手軽にできるのは、トークンエコノミーの大まかな構造だ。


 日本発のビジネスで、今、最もシェアリングエコノミーやトークンエコノミーに近いところにあるのが、第4章でも言及したメルカリだろう。
 メルカリが爆発的に流行った背景には「インスタ映え」の影響が大きい。
 これまでは友達におしゃれのアピールをする時は、直接会っておしゃれな洋服を見せて、自己承認欲求を満たしていた。ただ、その方法は1回に会える人数も限られている。インスタに写真を上げれば、もっと手軽に効率良く、承認欲求が満たされる。
 だから、お金がある人はZOZOTOWNで洋服を買って、インスタに写真を上げたあと、メルカリに流すという行動に出る。お金がない人は、メルカリに流れた服を買って、やっぱりインスタに上げて、再びメルカリに流す。
 これは、結果的にシェア経済ということだ。投資と消費の差がなくなり、凄まじい勢いでリセールマーケットが拡大していく。
 そして、メルカリは個人が「不要品」を売ることで、「ポイント」を得ることができる。手に入れたポイントは、日本円にも交換できるが、そのままでもメルカリ内に売られている、膨大なモノと交換できる。
 ここがとても重要で、このポイントとは、元々要らないものを売ってできた「あぶく銭」なのだ。自分にとってこれまで価値がないと思っていたモノに価値がついた。これがキャッシュに変換して使えるということは、ユーザーにとって「手離れが良いお金」を生み出したということになる。


 マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経心理学者・プレレックさんの研究によると、「現金1ドルに対して、クレジットカードの心理的な費用はたった50セント」なのだそうです。
 いつのまにか貯まっていたポイントであれば、それを使うときの心理的な障壁はさらに低くなるはず。
 僕も「もうすぐ期限切れ」のポイントを使うために、あまり必要ではないけれど、ちょっと興味があるくらいのものをネットで注文してしまったことが、何度もあるんですよね。
 メルカリは一度も利用したことがなく、こんなことになっているのか、と驚きながら読んだのですが、あの「Tポイント」も銀行で現金化してくれるわけではない「トークン」なのです。
 「仮想通貨的なもの」に、現代人は、いつのまにか慣れてきています。
 みんなが積極的に消費するようになるのが「是」なのか、というのは難しいところなのですが、そのほうが、経済が「回る」のは間違いありません。

 きっかけは投機でもいいのだ。結果的に、便利な世の中が形成されることが最も重要なことだ。こういった先のことを見越さず「仮想通貨は投機だ」なんて言っている人は、金融の素人なのだろうと思う。日本円と米ドルの通貨取引だって、ほとんどは投機だ。売りと買いがあるから成立する。
 ただ、金融の素人ですら触れるような状況が作られることが、仮想通貨が次のステージにいくポイントだと思っていた。


 僕は、あまりにも投機的な要素ばかりが強調されてしまったのは、仮想通貨にとっては長い目でみればマイナスになるのではないか、と思っているんですよ。
 その「普及」のために大損した人が少なからずいるでしょうし。
 この「投機的なフェーズ」に意味があったのかどうかの答えは、今後の仮想通貨がどうなっていくか次第だと思います。

 ノーベル経済学賞を受けたフリードリヒ・ハイエクは、自身の打ち立てた高度な経済理論の中で、こう述べた。
「国家ではない主体が発行する通貨が流通する方が、通貨はお互いに安定する」
 と。ビットコインが出現したときに、さかんに挙げられた論だ。


 僕はこの論を支持する。
 現行の円だけで経済が完結している日本社会は、僕は不安定だと思う。量的金融緩和とかマイナス金利とか、金融既得権益の上層部のわずかな操作で、景気が変動してしまうような通貨携帯は弱すぎる。だいいち、不公平だ。
 ブロックチェーンを使った仮想通貨は、人類が生み出した中で、最も公平性と透明性に満ちた経済ツールになりえると信じている。
 誤解されたくないのだが、別に円を排除すべきだとは考えていない。まずは、仮想通貨と円の共立を目指したらいいい。そうするtことで日本社会は経済的な安定を高め、世界市場からの信用度も、上昇するはずだ。
 何度も繰り返している言葉を、ここであらためて載せておこう。
「いつまで君は、円建てで、人生を考えているんだろう?」


 グローバル化が進み、国境という概念が揺らいでいる時代を考えると、国が保証する通貨よりも、仮想通貨のほうが一般的になる自時代が来るのではないか、と僕も思うのです。
 ただし、それがいつのことになるのかはわかりません。僕が生きている間には難しいのではないか、というのが実感なのですが。
 既得権益の壁を超えるのは、なかなか難しそうですし。
 

 仮想通貨そのものについての解説もあるのですが、それを主目的としている本ではありません。
 基礎的な知識は入門書で仕入れてから、これを読んだほうが良いと思います。
 しかし、「評価主義経済」って、僕にはけっこう生きづらいというか、めんどくさそうだな……


10年後の仕事図鑑

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