琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

怒号

列車事故の報道を観ていて悲しくなるのは、その映像に伴って、さまざまな怒号が飛び交っていることだ。
「人の命が犠牲になってるんだぞ!」(たぶんマスコミ関係者がJRの上層部に)
「どうしてもっと早く救助できないんだ!」(関係者が、レスキュー隊に向かって)
「なんで現場にいるJRの職員より、ニュースのほうが詳しい状況を知ってるんだ!」(たぶん家族の方が、現場で対応しているJR西日本のスタッフに向かって)

犠牲者や家族がJRに向かって、怒りをぶつける気持ちはわかる。僕だって、同じ立場だったら、そうしたかもしれない。というか、そうでもしないとやっていられないのだろうと思う。でも、実際にそういう怒号を直接浴びせられているのは、事故に直接関わっていたわけではない末端のスタッフだったり、ましてや、自分の身を危険にさらしながらも懸命に救助活動をやっている人たちだったりするのだ。僕も仕事柄、この手の罵声を浴びることはあるし、それも給料のうちだとは思うのだけれど、やっぱり、言われるほうは辛くて悲しい。
こういうのは、被害者に「冷静になれ」なんて言えるようなものではないだけに、なおさらいたたまれない気分にもなる。
本当は、早く救助できないのにも、引火の危険があるとか、倒壊の危険があるとかいう理由があるのだし、情報というのは、現場では錯綜してしまって混乱することが多いなんてことは、普通の状況であればわかるはずなのに。助けられるものならば一刻も早く助けたいと、みんな思っているに決まっているのに。
そうやって、幾重にもやりばのない怒りと悲しみが積み上げられていく。

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