未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/05/16
- メディア: 新書
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未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/05/16
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内容紹介
本書は、『未来の年表』の続編である。ベストセラーの続編というのは大抵、前著の余勢を駆った「二匹目のどじょう狙い」である。しかし、本書は決して二番煎じをしようというものではない。「人口減少カレンダー」だけでは、少子高齢化という巨大なモンスターの全貌をとらえるには限界があった。だから今回は、全く違うアプローチで迫る。
今回は、少子高齢化や人口減少が人々の暮らしにどのような形で降りかかってくるかを、あなたの生活に即しながら明らかにする。言うなれば、これからあなたに起きることを、お中元やお歳暮のギフトカタログのように一覧してみようというのだ。
前著『未来の年表』が年代順というタテ軸を用いて俯瞰したのに対し、本書は起きる出来事を「ヨコ軸」、すなわち面としての広がりをもって眺める。
少子高齢化や人口減少で起きることを、家庭、職場、地域社会といったトピックスに分けてカタログ化すれば、さまざまなシーンを「あなた自身の問題」として具体的に置き換えることができる。そしてそれは、10年後、20年後の日本でうまく立ち回っていくための指針となる。
著者は、冒頭にこう書いておられます。
ベストセラーの続編というのは大抵、前著の余勢を駆った「二匹目のどじょう狙い」である。しかし、本書は決して二番煎じをしようというものではない。「人口減少カレンダー」だけでは、少子高齢化という巨大なモンスターの全貌をとらえるには限界があった。だから今回は、全く違うアプローチで迫る。
しかしながら、読んでみての僕の率直な感想は「ものすごく二番煎じっぽいのだが……」なんですよね。
著者も、こんなに胸を張って書かなければ、少しは誤魔化せただろうに……
前著『未来の年表』の目新しさというのは、「年代順というタテ軸を用いて俯瞰した」ことにあったんですよね。
ヨコ軸で「人口が減った日本では、こんなことが起こります!」と警鐘を鳴らす本は、これまでも少なからずありました。
それを「20〇〇年には(あるいは〇〇年後)には、こんなことが起こってくる」と、具体的な数字を挙げて、経時的な変化を紹介していったのが「セールスポイント」だったのに。
著者が、「切り口を変えた」のは間違いないのでしょうけど、読者にとっては、「よくある人口減少で起こってくる現象を羅列した本」になってしまっている感じなんですよ。最近、類書がたくさん出ていて、僕もけっこうそれらの本を読んできたというのもあるのでしょうけど。
もちろん、興味深い話も少なからずあります。
高齢者が独り暮らしになると、安全なはずだった自宅が凶器と化すのだ。
内閣府の「高齢社会白書」(2017年版)が、65歳以上の事故発生場所の分析を紹介しているが、「住宅」が77.1%と突出しているのである。
交通事故死と家庭内における「不慮の事故」とを、データがそろっている2016年で比較してみよう。この年の65歳以上の交通事故死は前年より109人減って2138人だった(「高齢社会白書」)。これに対し、家庭内における不慮の事故は、なんと1万2146件だ(厚労省の「人口動態調査」)。単純に比較すれば6倍もの差がついている。
要因別では、トップ3は「不慮の溺死及び溺水」の5086件(65~79歳:2075件、80歳以上3011件)、「その他の不慮の窒息」3274件(同1094件、2180件)、「転倒・転落」2362件(同834件、1528件)。いずれも交通事故を大きく上回る。
住宅において事故の発生が多い場所は、「居室」(45.0%)、「階段」(18.7%)、「台所・食堂」(17.0%)の順である。安全なはずの屋内で、しかも最も危険性が少ないと思える居室における事故が一番多く起きていることに疑問を持つ人も多いだろうが、これは高齢化との関わりが大きい。
高齢になると、体力や気力の低下で、片づけができなくなる人が増える。認知症の初期段階にでもなれば、ますます片づけられなくなる。床に物が置きっぱなしになったり、どんどん積み上がった状態になったりする。他方、運動機能や平衡感覚、体力そのものが弱っていくので、そのような置きっぱなしの物につまづいて転倒してしまうのだ。
救急外来をやっていると、まさにこのデータ通りだよなあ、と実感します。
自宅で転倒して、とか、入浴中になかなか出てこないので家族が確かめてみたら……という事例は、ものすごく多いんですよ。
自分の家だからといって、安全とはかぎらない、というか、若いころと同じつくりの家やライフスタイルを続けていると、どんどんリスクが上がっていくのです。
家庭の浴槽以外を含めた溺死者数を欧米各国と比較すると、日本が突出している。WHO(世界保健機関)が示す65歳以上の溺死者数(人口10万人中)は、日本が19.0人なのに対し、欧米各国はフランス3.5人、米国1.5人、イタリア1.1人、英国0.5人にすぎない(「New Release」)。これだけの差がついていることを見れば、熱い湯に肩までつかるという日本人特有の入浴スタイルが、高齢者にとっていかに危険なのかが分かる。
とはいえ、高齢者は浴槽でお湯につかるな、というわけにも、いかないですよね。やっぱり。
これからは、高齢化社会を見据えて、家やマンションを購入するときには、最初からバリアフリーを意識しておいたほうが良いのではないかと思います。
身近な店舗やサービスの廃業が進むと困るのが高齢者だ。マイカーを運転できなくなれば、途端に行動範囲が狭まり、日常生活に支障が出始め、地方では、ちょっとした買い物でもバスを乗り継がなくてはならない事例も見られる。
こうした「買い物弱者」対策の切り札としてネット通販への期待は高まっている。インターネットを自在に使いこなす世代が高齢になれば、そのニーズに合った商品も充実することだろう。そうなればさらに利用を考える人は増えることになる。
ところが、ネット通販の利用の伸びに合わせてドライバー不足が解決するわけではない。むしろ切り札としての期待が膨らむほど、物流の破綻に拍車をかけることになりかねない。ネット通販への依存度が高まるにつれて、店舗やサービスが縮小。撤退し、ドライバー不足の解消がさらに困難になるという悪循環が続くことになる。
トラックドライバーはすでに高年齢化している。国交省の資料によれば、若年就業者の割合は低く、相対的に中年層の占める割合が高くなっている。2014年時点で40~54歳の占める割合は44.3
のぼり、全産業の平均34.1%に比べて10ポイントも高い。
平均年齢でも、全職業が42.2歳なのに対し、大型トラックは47.5歳、中小型トラックは45.4歳だ。これでは、中長期的に若手・中堅層が極端に少ない「歪み」が生じる可能性が大きい。
若手が参入しづらい背景には、長時間労働の割に所得額が低く、人材を集めにくい労働環境に置かれていることがある。
宅配便の取扱数は1987年の7億6000万個から、2015年には37億5000万個に膨らんでいるそうです。
ネット通販をよく利用している僕の実感としては、もっと増えていそうなのですが。
自動運転車とか、ドローンによる配送とか、技術革新による運送業界の人手不足への対応も試みられつつあるのです。
状況が劇的に変わる可能性もあり、いまは人手不足でも、運送業界でずっと働けるかどうか、わからないところもあるんですよね。
仕事時間は不規則だし、きついわりには、すごく稼げるわけでもないし。
ネット通販といっても、現状は人が仕分けをして、商品を運んで、家まで届けているわけですから、一気に需要が増えたらパンクしてしまうのです。
著者は、ひとりひとりがでくる、人口減少時代における対策として、「働けるうちは、できるだけ長く働く」とか「起業する」などを挙げているのですが、僕はさまざまな本でこういう「人口減少対策」を読んできましたが、正直なところ「根本的な対策はなくて、なるようにしかならないのではないか」と思うようになりました。
みんな、当たり前のことか、大部分の人には無理なことしか提言できていないのです。
もし、根本的な解決策があるのだとしたら、日本国内で、劇的によみがえった過疎の村があるはずですし。
未来のことを考えるのは面白いのだけれど、2018年の日本は、僕が子供のころに想像していた未来とは、まったく違っているんですよね。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)
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