琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

眞鍋かをり、成功の秘訣

(1)芸能人で、若い女性だから
 当然、こういう要素はあると思います。そりゃあね、「120歳世界最高齢者のブログ」までいけば、それなりに希求力はありそうだけど、現代のネット文化の主役である10代後半〜30代くらいまでの男子は、やっぱり、「若くてかわいい女の子」に興味があるはずだし。眞鍋さんであれば、顔も知っているから、「憧れてみたけれど、顔をみたら…」というような事態は確実に避けられるし。
 でも、考えてみていただきたい。実は「芸能人日記」「芸能人ブログ」なんて、星の数ほどあるのですよ。で、眞鍋さんというのは、芸能人としての一般的な評価というのは「顔は知ってるけど…」というくらいのものだったような。僕だって、眞鍋さんの顔をテレビで観たなかで記憶に残っているのは、すぐにどこかに行ってしまう、映画版「ウォーターボーイズ」の先生役くらいなんだから。
 そんな眞鍋さんのブログが、他の有名芸能人ブログを差し置いて「独走」できた理由というのは、こんなふうに御本人が言われているように、まず、眞鍋さん自身が、インターネットというコミュニケーションツールに興味を強く持っていて、その使い方とリスクをよく知っていたからだと思うのです。他の有名芸能人ブログは、ブログという形態をとりながら、実は単なる「一方的な告知のためのツール」であるものがほとんどです。「○月×日に、ニューアルバムが出ます、よろしくね!」とかいうことしか書いてない「芸能人ブログ」って結構多いんだよこれが。公式サイトで十分だろう、と。


(2)万人向けで、無難
 というような評価に対しては、まあ、そんなふうに思う人がいても、仕方ないのかな、とは思うのです。でも、あえて言わせていただければ、「ココだけの話」の内容って、全然「万人向け」ではないですよ。眞鍋さんが書かれている「ドラゴンボール」のネタとか、ゲームの話というのは、たぶん、眞鍋さん自身と同世代の相手に読んでもらうことを想定して書いているのだと思います。それこそ、「友達」に、「こんな面白い話があったんだけど」というような感じで。「活字中毒R。」で、周防正行監督の「分かりやすい映画」についての話を取り上げたのですが、まさに眞鍋さんという人は、「多くの読者」を意識しつつも、「話している相手は、目の前にいる同世代の友達」のつもりで書いているのだと思うのです。だから、波長が合った人は、ものすごく親しみを感じるのです。本当に「人畜無害で、無難」だったら、結局、みんな「ふーん」と読み流して終わりなんですよね。そして、世代が離れた人に伝わらないというのも、おそらく、眞鍋さんは承知の上なのでしょう。あと、「差しさわりがないように書く」のは、営業上の理由もあるのでしょうが、眞鍋さん自身が、あのブログという場所を大事に考えていて(そして、その「影響力」も理解していて)、ずっと続けていきたいからだという感じがするんですよね。少なくとも僕には。


(3)流行り物だから
 確かに、あれだけ話題になれば、みんな一度は観に行きますよね。それは確かだと思います。でも、僕の経験からいうと、閲覧者というのは冷たいものです。ニュースサイトなどで取り上げられたときには、1日1万人もの人が訪れてくれるのですが、残念なことに、そのニュースサイトが更新されていくと、1日のアクセス数というのは、その前後ではほとんど変わりません。眞鍋かをりさんが、ブログを始めてから芸能界的に急激にドラマやバラエティでブレイクしたという話はないので、やっぱり、リピーターを生むだけの魅力があったということなのだと思います。それはもう、単なる「流行り物」だけではなくて。むしろ最近は、眞鍋さん自身のほうが「ブログタレント」なんだものなあ。


(4)眞鍋さんの視点

 ブログとかWEB日記というのは、「自分とは違う世界の人の生活を覗ける愉しみ」というのがあるのですが、眞鍋さんは自分のプライベートや友達のことをネタとして面白おかしく語っておられますが、「私生活の悩み」を書かないのと同様に、「芸能界の内幕」みたいなことについても、ほとんど触れていません。いや、芸能人相手だと、いろいろ障害があるのでしょうけど、それにしても、芸能人ブログというのは、「こんな有名人と仲良し!」みたいな感じのものが多いのではないでしょうか。でも、眞鍋さんの視点というのは、芸能人として「見られる人=芸能人」であるのと同時に、「芸能界という世界を観察している一般人」でもあるわけです。一緒に遊んでいる人も、芸能人同士じゃなくて、スタイリストさんとか、いわゆる裏方さんが多いみたいですし。そういう意味では、すごく親しみやすい感じを受けることが多いのではないでしょうか。


(5)文体の話

 前にここで「女の子のテキストサイト文体」というのを書いたのですが、こういう「テキストサイト文体」というのは、誰かひとりの手によるものではなくて、ネット愛好家たちの伝統文化みたいなものなんですよね。で、眞鍋さんのネット歴からすると、別に「狙った」わけじゃなくて、みんなに読んでもらうことを意識したら、自然とこうなったのだと思います。本当に、「書き慣れている」感じがするものね。ちなみに御本人も「他の職種の人が書いているサイトなどを何ヶ所か巡回している」そうです。むしろ「POPOI」とかの流れの延長線上に、「芸能人という仕事をしている女性のブログ」として出てきただけの話なのかも。


(6)文章力

 そもそも「私は一生懸命書いているのに、どうしてみんな読んでくれないの?」という人は、自分が書いたものを更新する前に、一度でいいから、読み直して推敲したほうがいい。たとえば「しかし」という接続詞が3連発で出てきたり、文章の繋がりがわからなくなってしまっているような書き手は、けっして少なくないのだ。内容云々言う前に、わかりやすい日本語で書くというのは、最低条件だろう。少なくとも、【とくにしっかり時間をかけて書くときは、ひとつの言葉を選ぶのに何十分もかかったり、接続詞を選ぶのに延々頭を悩ませたりとか……。すごく考えますね。】というような姿勢で書いている人というのは、ほとんどいないのではないかなあ。書くほうがただ単に垂れ流しているようなものを、誰が一生懸命読んであげるというのか。


(7)99%の真実

 もちろん好みの問題というのはあるのだろうし、みんなが肯定する必要なんて全然ないのだが、少なくとも「ココだけの話」には、人気ブログになる必然性というものがたくさんあるのです。眞鍋さんが書かれている【この本に書いてあるのは、99.9%事実です!】という言葉は非常に深く僕には感じられて、「書けない(書かない)0.1%」に、眞鍋さんの苦悩とこのブログの人気の要因があるのかなあ、と思えてなりません。

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