琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

広告コピーってこう書くんだ!読本 ☆☆☆☆☆

広告コピーってこう書くんだ!読本

広告コピーってこう書くんだ!読本

内容紹介
本当にいいアイデアやいいコピーは、
発想法を知ればすぐに誰にでもつくれるというものではありません。
ふだんから、 発想ができるような体質、
つまり自分のアタマを“発想体質”にしておく必要があるわけですね。
(「はじめに」より)

トレーニング次第で、誰でも"発想体質"になれる!
新潮文庫「Yonda?」、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、「日テレ営業中」などの
名コピーを生み出した、論理派コピーライター谷山雅計。
彼が20年以上実践してきた「発想体質」になるための31のトレーニング法。

 僕は基本的に「ハウツー本」とか「自己啓発本」「ビジネス書」の類はあまり好きではなくて(というか嫌いなので)あまり読まないし、書店でもそういう系統の本のコーナーに寄ることは少ないのですが、この本は、なんだかすごく気になって手にとってみたのです。
 そうすると、どこかで読んで感銘を受けた文章が。

ある編集者の気になるノート : 本物の作り手になりたいなら、「なんかいいよね」を禁止しよう。
↑で紹介されていたのが、この本だったのです。
 250ページ足らずで字も結構大きいわりには値段は税込み1890円と、けっして「コストパフォーマンスが良さそうな本」ではなかったのですけど、パラパラとめくっているうちに、「この本は手元に置いておくべきた」という気分になって、そのまま買って帰ってきたのです。

 結論から言うと、これは、本当に素晴らしい本だと思います。僕はコピーライターではないし、何かを創造することを生業としている人間でもありませんが、作家やゲームデザイナー、脚本家、演出家などの「クリエイター」たちが言ったり書いたりしているものに触れるのは大好きなんです。この本は、そういう人たちが書いた「発想法」のなかでも「読みやすさ」「実践のしやすさ」「説得力」「面白さ」において、最強クラスなのではないかと。分量がそんなに多くないように感じたのですが、常に手元に置いて、何度も読み返すには、ちょうどいいくらいですしね。内容的には、多少なりとも「何かを創ろうと思っている人」にとっては、1890円以上の価値は絶対にあると思います。
 この本のなかで紹介されているいろんな広告コピーの写真も、すごく楽しいです。
 僕は「JR東海の、かに道楽のかにが伊豆の温泉に入っている広告」を嬉々として妻に見せてしまいましたし。
 こういう広告がもっとたくさんカラーで載っていて、谷山さんがもっと詳細に分析してくれている本とか、読んでみたいなあ。

 谷山さんは、プロのコピーライターとは、こういうものだと書かれています。

 1回だけの勝負では、アマチュアに負けることもある。でも、クライアントから依頼があったときには、かならずある一定以上のレベルのコピーを、何度でも書くことができる。それがコピーライターに求められる、大切な資質ではないでしょうか。

「あるレベル以上のものをくり返し書く」ために必要なのは、自分の書いたコピーがなぜいいのか、どこがいいのか正しく認識できていることです。
 ”大阪のおばちゃん”が、いつでもおもしろい発言を繰り返せるわけではないのは、自分の発言がなぜおもしろいかを正しく理解していないからです。なんとなく口にしたらおもしろかった、というノリですから、続けて同じレベルの発言をくり返すことができません。
 でも、自分のコピーのよさやすぐれているところをしっかりと理解していれば、あるいはどういうコピーが広告としてすぐれているのかがわかっていれば、同じレベルの表現をくり返し生み出すことができます。
 この本でずっと説明してきた「論理」は、この「くり返せる力」のためでもあるのです。

 昨日紹介した『ボナンザVS勝負脳』のなかでも、渡辺明竜王と「ボナンザ」の開発者の保木さんは、「近い将来、コンピュータが人間の名人クラスに一度勝つという可能性は十分ある。でも、本当にコンピュータが人間より強くなったといえるのは、ひとつの勝負での勝ち負けではなくて、100戦して60勝できるようになったときだ」と仰っておられました。
 「ひとつものすごく面白いことを考え出す」「目の前の勝負に勝つ」というのは確かにすごいことではあるのだけれど、プロとしてやっていくには、ある程度の「確実性」「持続力」が必要なのだ、ということなのでしょう。
 そして、そのためには、「面白いことを思いつく」だけではなくて、「面白いことを思いつくにはどうすればいいかを考え、自分のなかでそのための方法を確立しておく」ことが必要なのです。でも、大概の「面白い(と自分で思い込んでいる)」人は、「自分は才能があるから、自分が言うことは面白いのだ」と信じていて、そこから前に進もうとしない。それでは、すぐにその「資源」は枯渇してしまいます。

 コピーライター志望ではなくても、日常レベルで「何かを創造したい人」にとって、とても有意義な本です。もちろん、ブログに文章を書いている人にとっても。

 最後に、こういう「クリエイターの本」「自分をレベルアップさせるための本」で、僕が手元に置いているものを2冊紹介しておきます。
 どちらも、「読んで損はしない本」ですので、ぜひ。

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)

↑のほうは、つい最近文庫になったみたいです。

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