
読書進化論?人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか? (小学館101新書)
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 新書
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内容紹介
勝間式「人生が進化する」本の使い方
経済評論家でベストセラー作家の勝間和代氏は、本で「成功と自由」を手に入れてきた。
著者を「進化」させた本と、本をめぐる技術のすべてを紹介します。
ウェブ時代の「本」の新しい価値と可能性について提言します。『読書進化論』とは、こんな本!
ベストセラー作家、勝間和代は、「本」で成功と自由を手に入れてきた。
勝間は、どんな本をどう使ってきたのか。勝間を「進化」させた本をめぐる技術のすべてがわかる本。
(「はじめに」より、一部抜粋)
「ウェブ」という破壊的なテクノロジーが現れたことで、私たちの読書のしかたは抜本的に変わってしまいました。
そのため、この本では、「ウェブ」を積極的に統合した、以下の3つの新しい基軸を取り込んで、
読者のみなさまを新しいウェブ時代の読書論へと誘います。1. ウェブによる本というコンテンツの読み方の進化
2. ウェブによる著者と読者の関係性や書き方の進化
3. ウェブによる本の売り方と書店の進化
最初に僕が勝間さんの著書を読むのはこれがはじめてであることと、僕が「ビジネス書」や「自己啓発本」を基本的に好まない、ということを明記しておきます。
この本、書店で見かけて「読書進化論」というタイトルに魅かれ、パラパラと少しページをめくった程度で購入したのですが、正直、期待はずれというか、「なんでこの内容に、こんなタイトルなの?」と、著者と小学館にクレームをつけたくなりました。
いや、ある意味、この内容で僕のような「読書一般に興味がある人間」に本を購入させることができたのは、この本の「マーケティング戦略」の成功の証拠なのかもしれませんけど。
『読書進化論』というタイトルで僕が想像したのは、「WEB時代に本が生き残っていくための出版社、書店の戦略」であるとか、「こういう時代に、どんな本を読んでいけばいいのか、あるいは、どんな読み方をしていけばいいのか?」というような「(一般的な)本に関する話、出版業界の未来予想図、読者と『書籍』との新しいつきあいかた」だったのです。
でもね、この本、一言でいうと、『売書進化論』ですよ、勝間和代さんが、いかにして自分の本をたくさん売ってきたか、という自慢話が延々と繰り広げられます。いや、「本を書きたい、自分の本を売りたい」っていう人は世の中にたくさんいると思いますよ。でもね、この本は、明らかに読者を「誤解」させるようなタイトルがついているし、それで売ろうとしてる。
オビには、
本は、あなたの人生を豊かにし、あなたを進化させていきます。
って書いてありますが、実際は、
という内容です。
これって、まるで「勝間教の経典」みたい。聖飢魔Ⅱかよ!(いや、デーモン閣下たちに失礼か……)
各所からの「勝間和代礼賛」のコメントなんて、「よくこんなの自分の著書に掲載できるな……」としか言いようがない。
自分の宣伝を書店で、しかもこんな誤解を招くようなタイトルで売るなんて、『読書退化の書』ですよこれ。
もちろん、「全然役に立たない」というわけじゃないし、巻末の勝間さんの「オススメ本リスト」を見ながら、「けっこう普通の小説とかも読まれているんだな」と感じたのも事実なんですが、もしあなたが「勝間和代ファン」で、「コレクターズアイテム」として買う、というのでなければ、僕はこの本をオススメしません。
なんか酷いことばっかり書いてる、と思われる方は、たぶん書店で平積みになっているであろうこの新書を、ぜひ手にとってめくってみてください。
これは、僕がいままで読んだ新書のなかで、(高田純次さんがほとんど書いていないにもかかわらず、「高田純次著」とクレジットされている)ソフトバンク新書の『適当論』以来の酷さです。
僕はこの本を読みながら、
いちばんラクして金持ちになる方法は、「ラクして金持ちになる方法」という本を書いて売ることだ。
という昔からある言葉を思い出さずにはいられませんでした。
小学館も、新書ブランドの立ち上げで知名度のある著者の本が欲しかったのだろうけど、これじゃイメージダウンにしかならないよ……
「面白い本、あるいは面白く本を読みたい人」向けの(ようにしか聞こえない)タイトルの本で、延々と「私の著書の売り方」を説明されてもねえ……
結局、「私の本を読んで、もっと買って!」ってというメッセージしか伝わってこない本。
何が『読書進化論』だよ、このタイトルに話題の著者ということで期待して損した……
マーケティングも大事だろうけど、タイトルで「釣る」ような手法は、長い目でみれば出版業界の「退化」しかもたらさないと思います。