琥珀色の戯言

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リアル鬼ごっこ(映画版) ☆☆☆


あらすじ: 日本で最も多い名字“佐藤”姓の人々が、全国で相次いで亡くなるというニュースが世間をにぎわせていた。ある日、不良高校生の佐藤翼(石田卓也)は、対立する不良グループとの追走劇の最中に異世界へと紛れ込んでしまう。そこでは“佐藤”姓の人々が王の仕向けた鬼に追われ、捕まると殺される鬼ごっこが行われていた。(シネマトゥデイ

あの(って言っても、僕は原作を通して読んだことないんですが)「日本語の新しい地平を切り開いた」『リアル鬼ごっこ』の映像化!
ということで、どんな突っ込みどころ満載の作品になるのかと思いきや、ごく普通のパラレルワールドものだったのでびっくりしました。いや、設定とかもうムチャクチャではあるんですけど、それを言い始めたら、「2分後の未来がわかる男」とかだっておかしいし、「死んだ妻が生き返ってくる話」「県名がついた死神がCDショップにたむろしている話」だって似たようなものだしねえ。
基本的に、「SF、ホラー好きの中学生が自分の夢に出てきた話を授業中に落書きしたようなもの」なんですが、『リアル鬼ごっこ』って、あの山田さんの独特の言い回しがないと、突っ込みどころがなくて、単なる「強引な設定のつまんないSF」になってしまうようです。
それなりにまじめに、まっとうな低予算映画として撮られているので、「戦隊ヒーローもの」を思い出して観ると、けっこう楽しめなくもないんですけどね。いっそのこと、主人公が最後にキカイダーギャバンに変身するか、いきなり竜にでもなってくれれば、もっと笑えたかもしれません。

しかし、この作品って、それでも突っ込みどころ満載。
「佐藤を捕まえて殺す理由」っていうのも、「捕まえるのはわかるけど、わざわざ殺す必要なんてないし、そもそもその方法では王様の本来の目的は果たせない確率のほうが高いんじゃない?」と言いたくなりますし、高層ビルから落ちても死なない人も出てきます。それ死んでるよ絶対!ってシーンなのに「なぜ死ななかったのか」は敢然とスルー!
おまけにあのラストだと、「無限にあるパラレルワールドのどこかで『自分の分身』が死ぬと、いまの自分も死ぬ」ってことだよね。そんなの一瞬のうちに「人類絶滅」確定!

正直、「突っ込みを入れるために観る」というスタンスなら、まあ、それなりに楽しめる映画です。逆に、これほど「思いついたことを論理的整合性なんて意識せずに作品にした」ものは少ないんじゃないかと。
「特定の名前の人物だけが、理由もわからないまま集団から排除されていく」という設定そのものはけっこう面白いですし。

まあ、流行りものなので、「話のタネ」にはなりそうです。

小説版の「凄さ」を知りたい方は、↓を読んでみてください。
参考リンク:『リアル鬼ごっこ』の魅力を奪うな!(活字中毒R。(2005/1/12))

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