- 作者: 玉袋筋太郎
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2017/03/10
- メディア: 新書
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内容(「BOOK」データベースより)
いま、再びブームの兆しを見せる「スナック」。昭和レトロな看板。個性あふれるママ。家庭料理のようなお通し。常連さんとの楽しい会話。懐かしい昭和歌謡…。スナック好きを公言する著名人も多く、関心が集まる一方でスナックは「場末感」「ママが怖い」といったハードルの高さもあります。本書は日本一スナックに明るい著者が、スナック初心者に向け、スナック文化や、歴史、スナックあるある、を豊富なエピソードを交え紹介する“スナックバイブルの決定版”です。
「スナック」って、行ったことありますか?
もちろん、ポテトチップスとかじゃなくて、お酒を飲むところのほうです。
最近、あらためてその魅力が見直されてきているようなのですが、僕自身は、飲み会の3次会でみんなに付いて行くことがある、というくらいです。
そもそも、自分から外でお酒を飲みに行くことがほとんどありませんし。
車で移動中に窓の外を眺めていると、けっこうたくさんあるんですよね、スナックって。
「この店、営業しているんだろうか?」とか「誰がここに来るのだろう?」なんて疑問になるのですが、とりあえず営業はしているみたいなので、それなりに商売は成り立っている、ということなのでしょう。
でも、誰かに連れられて、ならともかく、いきなり初見のスナックに入るのは、けっこう敷居が高そうです。
お客がいないか、あるいは、入ったとたんに常連さんたちに、「あんた何者?」と値踏みされそうな気がします。
著者の玉袋筋太郎さんは、「全日本スナック協会」の会長としても活動されていて、プライベートも含めて、昨年だけで150軒のスナックに行ったそうです。
ちなみに、日本全国には約10万軒のスナックがあると言われており、2015年調べのコンビニエンスストアの数が約5万3200軒だそうですから、スナックはコンビニの倍の数が存在しているのです。
「コンビニに一度も入ったことはない」という日本人は現在ほとんどいないと思うのですが、「スナックに入ったことがない」人はけっこういるはず。
それでも、こんなにたくさんのスナックがあるのです。
意識して探してみると、たしかに「なんでこんなところに」というのも含めて、本当にたくさんあるんですよね、スナックって。
この新書を読んでいると、「スナックとはどういう場所か」というのが、少しわかってくるのです。
入口に「会員制」のプレートがかかっているスナックがありますが、これは反社会的勢力の方々や泥酔客などの入店を断るためのもので、年会費を払い、晴れて会員になってからでないと入店できない、といったシステムではありません。
たとえていうと「セコム」や「アルソック」のシールみたいなものです。だから「会員制」と書かれていても、ひるむ必要はなく普通にドアを開けて「初めてですけど、大丈夫ですか?」と聞いてみると、入店できることが多いんです。さらに確実なのは、事前にお店に電話をかけて「初めてなんですけど、いいですか?」と聞いてみることです。
そうか、あの「会員制」って、そういうことなのか!
外観からは「そんなに格式の高い店なの?」と思うようなスナックに「会員制」のプレートがかかっていて、不思議だったんですよね。
まあ、今の僕には、あえてそこで事前に確認をしてまで、「会員制スナック」に入ろうという動機はないんですが。
だいたい、あの「ママ」とか「おかあさん」って、みんなが呼ぶことに、けっこう抵抗があるんですよね。いや、僕の「おかあさん」は、この人じゃないし、って。
僕は母親が亡くなっているので、なおさら義理立てしてしまうのかもしれませんが。
玉袋さんは、こう仰っています。
実は若い人にこそ、ママと積極的に話をしてほしいと思うんです。自分の母親と同じくらい、それ以上の年齢の女性と会話をする機会なんて、そうそうあるものじゃないですし、実の親には言いたくないことも他人になら、素直に話せることもある。
親からの忠告だと耳が痛いことも、ママのアドバイスだったら素直に聞ける、なんてこともあります。
その意味ではママは最高のカウンセラーだといえるのです。
「他人だからこそ、話しやすいこともある」っていうのは、たしかにあるのかな。
この本のなかでは、「スナックでのタブー(といっても、そんなにめんどうなことじゃありません)」や「スナックのカラオケで好まれる歌」なども紹介されれていて、「スナックデビュー」してみたいという人には、かなり役に立つと思います。
ぼったくり店の見分け方、なんていうのもありますし。
(ただし、ぼったくり店はかなり少なくなっている、とのことです)
テレビでも話しているので知っている人も多いかと思いますが、わたしの実家はスナックでした。スナックを始める前は麻雀荘で、店に行くと大人たちからお小遣いをもらえたり、ジュースが飲み放題だったりするので子どもの頃は店に行くのが大好きでした。オフクロも店を手伝っていたので、そこで夕食を食べる事も多かった。スナックに替わったのは中学2年生のころです。わたしはテレビっ子だったので、スナックが、お酒を飲んだり、カラオケを歌ったりして大人たちが楽しむ場、ということは知っていたんですが、オヤジが始めたのは「オカマスナック」。
若い頃の玉袋さんには、家業への親近感と反感が入り混じっていたのです。
そういうのって、多くの人が、それぞれ抱えているものでもありますよね。
そこから、どのようにして、「全日本スナック協会」の会長として、スナックの普及につとめるようになっていったのかも、書かれています。
僕は正直、スナックという空間での、店主や他のお客さんとの「距離の近さ」が苦手だとずっと感じているのですが、年齢とともに、そういう「他人だからこそできる付き合い方」っていうのも悪くないのかな、と思うようになってきたのです。
まあでも、「人間が好き」っていうタイプの人のほうが、やっぱり「スナック向き」ではありますよね。
- 作者: 玉袋筋太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
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