内容紹介
時代がスーファミに追いついた!!
「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」発売を記念して、
クソゲーハンターがスーファミハンターにジョブチェンジ!!
90年代を彩ったスーファミの名作・迷作・怪作を渾身レビュー!!
さらに「ゲーム和尚」こと、いたのくまんぼう氏が、
その原点であるチュンソフトとスーファミの時代を語る!!
「チュンソフトに入社するとき、中村光一さんに面接していただいたんです。
憧れのスタープログラマーでしたから『ナマ光一、こんな顔なんやあ』って」
「『風来のシレン』のオープニングがボツになったんですよ。
それに我慢できなくて社長室に行ったら、
中村社長が振り向いて『来ると思っていたよ』って(笑)」
「いまの僕がゲームを作って生きていられるのも、
チュンソフトのおかげだと思っています」
そしてシリーズ初の超目玉企画!!
大人気ゲームバラエティ番組『ゲームセンターCX』とのコラボが実現!!
7月29日「ゲームセンターCX夏祭り in 浅草花やしき」を独占取材!!
豪雨の「浅草・花やしき」で有野課長は奇跡を起こせたか!?
シリーズ累計30万部の大ヒットシリーズ最新巻にして決定版!!
もちろんオール書き下ろしの永久保存版!!
ゲームのふるさとで僕たちを待ってくれている
スーファミと出会い直すチャンス、それに乗り遅れるな!!
本日、2017年10月5日は、「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」の発売日です。
この「ミニスーパーファミコン」の収録ソフトに、昔を思い出したり、「自分の親は、こんなゲームをやっていたのか……」なんて興味を持ったりしている人は、多いのではないでしょうか・
スーパーファミコンが発売されたのは、1990年ですから、今から27年前。
僕が大学に入ってすぐ、スーパーファミコンが発売され、スーパーファミコンで『ストリートファイター2』の対戦を寝落ちしながら延々とやっていたのを思い出します。
『トルネコの大冒険』にハマりすぎて単位をボロボロ落としていたやつもいたなあ……
何年か前、職場にやってきた新人が、「はじめてプレイしたゲームは、スーパーファミコンの『ゼルダの伝説』です」と言ったときには、本当に、自分が年を取ったというのを感じました。
内心、「それは『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』だろ……『ゼルダの伝説』はファミコンディスクのやつ!」と、めんどくさいツッコミを入れつつ。
僕がはじめて所有したテレビゲームは「カセットビジョン」で、「ぴゅう太」の『スクランブル』でいつか遊んでみたい、と願っていたことを思い出します。
僕の息子たちは、iPhoneやiPadのタッチパネルからゲームの世界に入ってきているんですよね。
ずっとゲームの歴史をみてきた僕にとっては、スーパーファミコンというのは、カセットで遊べる「ゲーム機」(「ハードウェア」じゃなくて、「ゲーム機」のイメージなんです)の頂点であり、その後、CD-ROMなどでどんどん実写や生音が使われていくことを考えると、「ゲーム性というか、ゲーム的なアレンジの面白さを強く感じた最後のゲーム機」なんですよね。
今のハードの、電源を入れてから、ゲームを起動するまでのちょっとした手間というのは、カセット時代のことを考えると、ちょっともどかしいのだよなあ。
だからといって、昔が全部よかったとか、昔のゲームしかやらない、というわけじゃないのですが。
「思い出補正」っていうのは、ありますし。
前置きがやたらと長くなってしまったのですが、この『超スーファミ』、太田出版の『超○○』シリーズの最新作です。
僕は毎回このシリーズの、ちょっとマイナーなゲームに対する、思い入れたっぷりのレビューに引き込まれてしまうんですよね。
今回は『ミニスーパーファミコン』に収蔵されているゲームもあれば、それ以外のスーパーファミコンのゲームも紹介されているのですが、中でも心惹かれたのは、『スーパーファイヤープロレスリングSPECIAL』と『タクティクスオウガ』でした。
『ファイヤープロレスリングSPECIAL』のレビューより。
1989年にPCエンジンで産声を上げた『ファイプロ』は、他のプロレスゲームとは大きく異なる存在でした。初代作ですでに16人ものレスラーが登場し、本作では70人を突破。技数に至っては700種を越えるという狂気(ほめ言葉)のボリュームです。
例えば、普通のプロレスゲームならバックドロップは一種類ですが、本作は「バックドロップ」「ジャンピングバックドロップ」「抱え式バックドロップ」「抱え式バックドロップホールド」とかけ方の異なる四種類が登場するという細かさ。
これらの技はすべてドット絵で描かれており、小さなレスラーたちが躍動するさまは、まさに芸術といっても過言ではありません。
このゲームのひとり用モード「チャンピオンロード」のシナリオが、とにかく熱かった!
メンタルが弱い主人公は、戦いの疲れや恩師の死、そして密かに心を寄せる冴刃麗子の心ない言葉で精神と肉体にダメージを蓄積していきます。戦う意味を見失ったり、酒浸りになったりと、さ迷う主人公。そんな中からも再起を果たし、プロレス最強幻想を打ち砕いたグレイシー……もとい、ステイシー柔術との戦いに勝利。世界中から最強レスラーが集う「世界選手権」に出場し、リック・フレアー的なディック・スレンダーとの最終決戦に挑むのです。
このモードのポイントは、文章の端々から、シナリオを担当した須田剛一氏の凄まじい情念のたぎりが見えてくるところにあります。
このモードのラストについて、レビューでは思入れたっぷりに語られているのですが、僕も「なんだこれは……スーパーファミコンのゲームの終わりが、これで良いのか……?」と、驚き、かなりのトラウマになったことを覚えています。
そして、スーパーファミコンの最高傑作(ではないかと僕が思っている)『タクティクスオウガ』!
後々、ヴァレリアの戦乱で浮き彫りになる仲間の姉と親友の性格に、デニムどころかヴァレリアに生きる人々の運命は大いに振り回されることになるわけです。
カチュアは表面的には平和を愛する博愛主義者のように見えながらも、時々、言動の端々に自分とデニムの平穏を乱すヤツは絶対に許さないという断固たる自己中な意志が垣間見えます。
デニムのことをとやかく言うヤツにはキッツい牽制を、デニムが構ってくれないと思ったら、気を引くためか取り返しのつかないレベルでの恐ろしいワガママを、デニムと自分に関係なければ敵味方無関係にさらに恐ろしいワガママさ加減を発揮。かと思えば、相手の心に突き刺さる圧倒的無関心に振り回されます。
ヴァイスはとにかく生まれた境遇から来る幼なじみの親友デニムとの差が、親友だからこそ心に澱のように溜まり続けていきます。言動が荒々しく、どんどん荒んでいくのがわかります。
そしてロンウェー公爵救出後、それまでデニムの選択への逆張りを選び続けながらも、ともに戦ってきた絆が砕け散るわけです。
このヴァイス一世一代の大逆張りこそが、本作『タクティクスオウガ』のシナリオのルート分岐を決定づけるほどです。
……よくよく考えてみれば、弟を溺愛する姉と、姉を溺愛する弟と、姉を好きな親友というある意味詰んでる三角関係が、地獄のようなヴァレリアの諸民族をさらなる地獄へまとめて叩き落としていると言えなくもなりません。
いやほんと、ヴァレリアの人たちは、とんでもないとばっちりを食らいまくっているんですよ、この「詰んでる三角関係」に。
この『タクティクスオウガ』で、二度目のプレイで他のルートを選ぶつもりだったのに、「カオスルート」を選んでしまった名久井さんの気持ち、僕もわかります。
僕も「やっぱりビアンカを選んでしまう」ので。
……これを書きながら確認してみたのですが、『ミニスーファミ』には、『ファイプロ』も『タクティクスオウガ』も収蔵されていないんですよね。
この本の最大の難点は、「読んでしまうと、ミニスーファミに入っていないゲームを遊びたくなってしまうこと」ではないかと。
fujipon.hatenadiary.com
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