
- 作者:柿内尚文
- 発売日: 2020/06/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
Kindle版もあります。
企画した本1000万部突破! ベストセラー編集者、初の著書!
仕事にも、人間関係にも、恋愛にも、お金のことも、家族のことにも使える!
「想像以上の答えが見つかる思考法」●考えるには「論理的に考える」と「非論理的に考える」がある
○人は1日に6万回思考する
●「考える」の基本は「広げる」と「深める」
○「考える技術」はブルーオーシャン⁉
●新しいものを生み出す「かけあわせ法」「数珠つなぎ連想法」とは
○苦手なものが消えていく「360度分解法」
●「ずらす法」で売れないものが売れ始める
○オリジナル=マネ×マネ×マネ
●思考ノートで「思考貯金」!
○自分のアタマだけで考えず、人の頭をどんどん使え
●考える練習=「シコ練」をしているか
○思考において「性格悪い」 はほめ言葉
こんな問いの答えも紹介!
「クスッと笑える回答」から「アッと驚く回答」まで!●モテない男子高校生が女友だちをたくさん作るには?
○ダイエットを長続きさせるためには?
●松岡修造さんが日本一熱い男になれた理由とは?
○100万部以上のベストセラーが生まれる条件とは?
●さびれてきている商店街を活性化するには?
○自社の離職率を下げるには?
著者は、企画した本のうち50冊以上が10万部以上のベストセラーになり、累計1000万部を超えているというカリスマ編集者です。
この本の冒頭に出てくる問題のひとつ。
ニューヨークで、明太子を売ろうと思います。
ニューヨークでは、
生の魚の卵を食べる習慣がなく、
むしろ気持ちが悪いものととらえられています。
どうしたらニューヨークで
明太子を広めることができるでしょうか?
僕はこの問題の答えをしばらく考えてみたのです。有名な料理人に協力してもらってキャンペーンをやるとか、試作品を配って食べてみてもらう、とか……うーん、どれもコストがかかりすぎるし、それでニューヨークの人々の食習慣が変わるとは思えないよなあ……
著者は、こんな答えを提示しています。
アメリカ人はフランス料理を
リスペクトする傾向にある。
「生の魚の卵」という言い方をせず
「ハカタ スパイシーキャビア」という
ネーミングで売り出す
ちなみにこれは、ニューヨークのマンハッタンにある博多料理店が行った実話なのだそうです。
明太子を「タラの卵」とメニューに書いていたときは気持ち悪がられていたのに、呼び方を「ハカタ スパイシーキャビア」に変えたことで、大好評のメニューになったそうです。
僕はこの答えを読んで、正直、拍子抜けしたんですよ。
えっ、そんなことでいいの?って。
見かけも味も同じはずなのに、呼び方で、相手のイメージを変えてしまうだけでも大きな効果があったのです。
どうやったら、「売れるもの」をつくることができるのか?
やっぱり、センスとか天才的なひらめきが必要なのではないか、と僕も長年思っていました。
でも、実際に、ベストセラーをつくっている人たちの話を聞いたり、著書を読んだりしてみると、彼らは驚くほどのアイデアを出し、たくさんの試行錯誤をしているのです。
そして、ただやみくもに考えるだけでは意味がない、と著者は述べています。
そう、「考える」には方程式があります。
料理のレシピをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。料理が得意じゃない場合は、まずはレシピに忠実につくってみることです。勝手なアレンジを加えるとたいてい失敗します。
思考も同じです。方程式をうまく使ってみてください。
著者は、この本のなかで、効率的に考え、答えに近づくための方程式の数々を紹介しています。
以前、東大出身者に取材をしたことがあります。そのときに、東大生にはガリ勉タイプが意外に少ないという話を聞きました。
ならば、東大出身者はもともと地頭がいいから東大に行けたのでしょうか?自頭がいいとは、自ら考え抜く力があり、考察力や判断力などに優れ、コミュニケーション能力が高い人のことをいいます。いわゆる「頭のいい人」が地頭がいいといわれる人です。
でも、取材を進めていってわかったことがあります。
東大出身者の多くが、勉強をはじめる前に、まず勉強法を学び、どうやって勉強したら効率的に結果につなげられえるかを考えていたのです。
たとえば、これは有名な勉強法ですが、「数学は先に答えを見て、そこから解法を学んでいく」などです。
一方で、こんな話、よく聞きませんか?
英単語の勉強をいつもAからスタートして、途中で挫折。なので、やたらAの単語ばかり暗記していて、SやTから始まる単語は覚えられていない。
日本史で縄文・弥生時代だけやたら詳しい。でも、明治以降はまったくダメ。
なにを隠そう、僕がそうでした。
東大生は効率的でムダがない。一方で僕のような平凡な学生は頭から順に勉強していき、途中で挫折。その積み重ねが、東大に行けるかどうかの差になっているということだったんです。勉強の技術も、考える技術も同じです。
目的を設定して、目的に効率的にたどり着くための技術を身につけ、実践していく。
僕もこの「Aの英単語や縄文時代にばかり詳しい学生」だったので、これはよくわかります。
数学も、わからなければ延々と悩んで、まず自分なりの答えを出してから「解答」をみるのが「正しいプロセス」だと思いこんでいたのです。
もちろん、そうやって試行錯誤する時間も全くのムダではないのかもしれませんが、手も足も出ないような問題の場合には、まず解答を見て、解き方を理解してから自分でやり直してみるほうが、はるかに効率的ですよね。
地頭のよさ、と呼ばれるもののなかには、「正解にたどり着くための確実で効率的なルートを見つけ出す能力」が含まれているのだと思います。
著者は、「考えを広げる方法」のひとつとして、「ずらす法」というのを紹介しています。
まず、その一例として、作業服のワークマンが、作業服をスタイリッシュにすることによって、一般のお客さんがその商品を購入していることに気づき、ターゲットを作業服からアウトドアの分野に「ずらした」ことを挙げています。
ワークマンは、それまで、「高機能・高価格」が多かったアウトドアブランドに対して、「低機能・高価格」の作業服がアウトドアに使えることをアピールして、市場を広げていったのです。
僕自身の経験でも、「ずらす法」を使って、本がベストセラーになったことがあります。『「のび太」という生きかた』という本がそれです。発売は10年以上前なのですが、ここ数年で売上が伸びていて、40万部を超えるベストセラーになっています。著者はドラえもん学を長年研究している富山大学名誉教授うの横山泰行さんです。
この本はもともと若手ビジネスパーソンに向けてつくった自己啓発書です。
でもある日、この本の読者からこんなはがきが届きました。「ぼくは本を読むのが苦手だったけれど、この本だとスラスラ楽しく読めました」(男の子 11歳)
「少し漢字が難しかったですが、どんどん読むほど次が気になり、楽しく読めました。読書感想文も書きやすかったです」’(女の子 11歳)
「とてもいい本で、のび太の見方が変わりました。読書感想文に遣わせていただきます」(男の子 12歳)
書店のPOSデータを見ると、40代女性の購入者が増えているデータがありました。最初はなぜ40代女性が買っているのかわからなかったのですが、はがきが続々届くようになって気づきました。小学生、中学生の母親が勝っていたことに。
そこで、「ビジネスパーソン向けの自己啓発書」から「子ども向けの読書感想文にも使える本」に、この帆のポジションをずらしました。書店でも、「ビジネス自己啓発書」のコーナーから「児童書」のコーナーに売り場を変えてもらえるよう、お願いしてまわりました。たとえば、夏休みの課題図書の本の横に置いてもらうわけです。
すると、子どもたちに本が届くようになり、40万部を超えるベストセラーになりました。価値をずらしてヒットしたわけです。
「ずらす法」は、価値の再発見です。あたりまえになってしまったことも、一度「ずらす法」で見直すと、新しい価値が生まれる可能性があります。
仕事をやっていると、本来ターゲットとしていた人たちとは別のところに刺さってしまうことって、少なからずあるのです。
そういうのを「ありがちな例外」として無視するか、「新たな鉱脈ではないか」と考えるかによって、その後のプロモーションのやり方も変わってくるのです。
そこで「ずらすこと」に気がつくかどうかが、勝負の分かれ目なのかもしれません。
今のインターネット社会では、想定外の人たちに届いてしまって、強く批判されることも少なくないのも事実なのですが。
「自分には創造力やセンスがないから……」と決めつけてしまっている人は、一度この本を読んでみてください。
「できる」人たちも、みんなイヤになるほど、考えつづけているのです。
なんのかんの言っても、まったく勉強せずに東大に入れる人なんていないんですよね。勉強の効率の差は大きいのだとしても。

- 作者:林田 康隆
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本