琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

直木賞

東野圭吾容疑者Xの献身
恩田陸『蒲公英草紙』
伊坂幸太郎 『死神の精度』
姫野カオルコ『ハルカ・エイティ』

今回の東野圭吾さんには、ものすごい追い風が吹いています。というか、『容疑者X』で獲れなかったら、もう本人もキレて、『半落ち』の人みたいになってしまうのではないでしょうか。作品の質・世間的な評価・営業上のタイミング、すべてにおいて完璧です。大本命。
あとは、『夜のピクニック』でノミネートすらされなかった恩田さんと、いつも有力候補に挙げられながら手が届かない伊坂さん、そして、今回はやや変化球勝負の姫野さんと、いずれ劣らぬ曲者揃い。僕が恩田さんを二番手にしたのは、他の作品はみんな文藝春秋からなので、とかそういう感じです。なんとなく『夜ピク』の罪滅ぼし的ノミネートのような気もしますけど。▲の伊坂さんは、本当に巧いし面白い。でも逆に、読むほうもちょっと慣れてきたかなあ、という気もします。一昨年と今年のM−1の南海キャンディーズのように、伊坂幸太郎さんの作風は、やっぱりファーストインパクトに比べると、それ以後はちょっと「こんな感じ、だよなあ」という気がするのも事実。『死神の精度』は、ちょうど今半分くらい読んだのですが、かなり面白い小説であることは間違いないんですけど。相変わらずの「寸止め」っぷりだし。ただ、伊坂さんの作品は、「現代小説に興味を持った中高生」とかを啓発するには、この上ないものだと思うので、もっとブレイクしてもらいたいなあ。「面白い」っていうのは、この上ない武器なのだし。姫野カオルコさんは、僕は今回一押しです。「長すぎ」とか言われていますけど、こういう「一代記」って好きなんですよね。『ツ、イ、ラ、ク』も『桃』も、正直「読む人を選ぶ」作品ではあったのですが、かなりの傑作です。この『ハルカ、エイティ』なら、あげるほうもあげやすいのでは。僕は『終業式』も大好きだったし、これを機会に、ぜひもっと一般に知られてほしい。

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