- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
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ああ、横尾忠則さんの装丁が素敵だ。
久々に筒井康隆さんの長編を読んだのですが、相変わらず上手いなあ、というか、こういう妄想的にもかかわらずリズミカルな文章を書かせたら、いまだにこの人の右に出る作家はいないと思います。筒井御大、もう72歳になられるのに、過去の遺産で適当に長編書いて売ろうなんて全然思ってなさそうだものなあ。30代のときは30代にしか書けない小説を書いていて、70代になっても自分の「老い」を「新しいテーマ」として面白がって書き続けているというのは、本当にスゴイことだと思います。
この『ヘル』に関しては、正直、筒井作品を読み慣れていない人には「なんだこれは、わけわからん……」という印象を与えてしまうかもしれないし、コアなファンには「あんまり目新しくないな」と判断されてしまうかもしれませんが、この文体の凄みや堂々とイメージのカタマリを投げつけてくる横綱相撲に、僕はただ脱帽するばかりです。